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連載コラム

第42回 加盟者事例(2)「脱サラから11店舗。飲食業の課題、人手不足はこうやって解決!」(寿木本株式会社代表取締役 杉本和久さん)

[ 2012年6月25日 ]

寿木本株式会社 杉本和久氏寿木本株式会社 杉本和久氏

サーティワンアイスクリーム加盟者の杉本さん。女性スタッフの高い定着率を誇っています。定着率を高めた「人を大切にする店舗運営」について詳しく伺いました。

郊外、ショッピングモールの店は人集めがタイヘン?

――まず自己紹介をお願いいたします。
杉本 寿木本株式会社代表取締役 杉本和久62歳です。本社は東京都八王子市。35歳で、サーティワンアイスクリーム(以下サーティワン)に加盟、1984年にRS(ロードサイド)型の一号店を出店しました。サーティワンを選んだのは、開業資金が少なく、多店舗化が容易であると考えたからです。現在、サーティワン11店舗を運営、2010年度年商5億4,000万円、社員10人、パート・アルバイトは100人弱です。
――最初の店で一番苦労された点は何でしたか。
杉本 人がなかなか集まらなかったことです。
――原因は何でしょう。
杉本 飲食業はキツい仕事というイメージ、RS(ロードサイド)型店舗で駅から遠いことなどでしょうか。特に、店舗立地は人の集まり具合に大きく関係します。現在、手掛けているサーティワン11店舗の中で、駅ビルの店3店舗は良く人が集まりますが、RS店、郊外のSC(ショッピングセンター)の店は集まりにくいと感じています。大型のショッピングモールの店は11店舗中、トップクラスの売り上げですが、高い時給を謳っても人の集まりはさっぱり(笑)。160ぐらいテナントが入っているモールの場合、テナント同士でスタッフの奪い合いになりますから。駅から徒歩5分以内ぐらいの店舗でなければ、人集めに苦労します。


サーティワンアイスクリームを11店舗展開

郊外型店舗は人が集まりにくい

立地によるハンデを軽減し、良い人材を集めるには?

――人集めに最適な立地に出店できるとは限りません。立地によるハンデを軽減し、良い人材を集めるためにどうすれば良いでしょう。
杉本 立地によるハンデは、車でスタッフの送迎を行うなどの方法で対応してきました。しかし良い人材は、こうした表面的な対応策だけでは集められません。人を大切にする意識が必要です。スタッフが楽しく働けるよう配慮しながら、店舗運営を行なわなければなりません。
――具体的にお聞かせ下さい。
杉本 ではアルバイトスタッフを例にお話しします。先に採用条件について触れておきます。弊社ではアルバイトは基本的に大学生のみ。大学生なら、責任感を持って仕事に取り組んでくれそうだからです。募集広告費や教育の手間を考えると、長期間働いてくれるアルバイトを採用したいところ。ですからアルバイト希望者から問い合わせの電話があると、「1年以上働けるか」、「1カ月当たり、日曜日の半分は店に出られるか」などの条件を提示します。電話で半分以上断ることになりますが、条件に合わない人を雇ってもしょうがありませんから。面接を経て、採用条件についての説明を受け、了承したという確認書に本人と保護者のサインをもらってから採用します。
さて、私や弊社専務など幹部社員は、採用したアルバイトにとって快適な職場になるよう心を配ります。例えばシフト。弊社では、幹部社員が11店舗全店のシフトを組みます。それぞれのアルバイトによって、「たくさん稼ぎたい」、「短時間だけ働きたい」など、働く目的は違います。各々の目的や他のスタッフとの相性などを把握した上で、各アルバイトがムリなく楽しく働けるようシフトを組みます。また、ハワイ旅行プレゼントも実施しています。これは、勤務期間などの条件をクリアしたアルバイト、パート、社員対象。繁忙期で人手が足りない時や他のスタッフが休んだ時など、弊社が困っている時に、店に入って助けてくれたスタッフに、感謝の気持ちを込めてハワイ旅行をプレゼントします。1988年以来、経営が厳しい時でも毎年実施してきました。
――なるほど。杉本さん流店舗運営を取り入れる場合、注意すべきことはありますか。
杉本 先ほども申し上げたように、スタッフの送迎や旅行プレゼントなど、表面的なことだけ実行しても、良い人材は集まりません。重要なのは経営側の意識。「旅行に行かせてやっている」という意識ではうまくいきません。まず経営側が、「店はスタッフがいなければ回らない」、「スタッフが一番大事である」ことを理解し、スタッフを気遣いながら店舗を運営すること。そして経営側の気遣いを受けとめ、これに応えてくれそうな人を採用すること。お互いの気持ちがかみ合った時に、良い人材が長く働いてくれる店になります。

ベテランスタッフがいれば人件費カット、多店舗展開も容易

――長く働いてくれるベテランスタッフは、どのようなメリットを店にもたらしますか。
杉本 いろいろあります。例えば、通常なら金銭面のトラブル予防のために、2人のスタッフを店におく場合でも、信頼しているベテランスタッフなら、1人でも店を任せられます。人件費が半分ですみます。新店舗を出す際、ベテランに店に入ってもらえば、新人スタッフの経験不足によるトラブルを抑え、オープン時から円滑に店舗を運営できます。アルバイトから社員になってもらい、店長として店を任せれば、多店舗展開も容易になります。
――新しい店を任せるだけの人材がいない場合、多店舗展開は難しくなりますね。ところで、アルバイトを例にスタッフの働きやすい店舗運営について伺いましたが、社員の立場に立って、店舗運営を工夫されている点はありますか。 
杉本 はい、あります。弊社店長(社員)の大半は20代から30代前半の女性です。多くの若い女性は、強いストレスを感じてもキャリアアップを望む上昇志向ではなく、仕事とプライベートをバランスよく充実させたい安定志向です。ですから弊社では、まず週休二日制、有給休暇取得の徹底など、店長の生活を重視するようにしています。そして幹部社員が、一般的には店長の仕事である商品発注、スタッフのシフト作成、クレーム対応などを担当し、店長の負担を軽減しています。店舗ごとの売り上げ目標なども、店長のストレスになるので設定していません。
人を大切にする店舗運営のおかげで、弊社には、飲食業につきものの人手不足や社員の離職問題がありません。
――それぞれのスタッフの考えや状況に配慮した店舗運営で、より良い飲食店経営の道を開かれましたね。人材管理について、新しいアイデアなどがありましたらお聞かせ下さい。
杉本 店長(社員)は、結婚、出産などでいったん退職し、子育てが落ち着いてからパートスタッフとして復帰するケースが珍しくありません。通常、飲食業の社員は、夜遅くまで働かなければなりませんから。そこで今後は、勤務時間が17:00までの社員など、店長が家庭に入っても社員として活躍できる勤務体制を検討していきます。
――さらなるワークライフバランスの追及ですね。ぜひ実現してください。貴重なお話をありがとうございました。

「人を大切にすれば良い人材が集まる」「人を大切にすれば良い人材が集まる」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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