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連載コラム

第44回 加盟者事例(3)「フランチャイズ選びの原則は、『加盟店数10店舗以上100店舗以下』。この規模のフランチャイズのデメリットには、私なりの対処法を考えました」(株式会社東京天竜 代表取締役社長 東 雅臣さん)

[ 2012年9月4日 ]

 東京天竜の本業は給食事業。現在、4つのフランチャイズに加盟し、加盟店10店舗を運営。今日までのフランチャイズ経験で得たことを詳しく伺いました。

本部と信頼関係を築きやすくするには?

写真1東京天竜 代表取締役社長 東 雅臣氏

――東京天竜の概要を教えてください。
 本社所在地は東京・本郷。本業は給食事業です。フランチャイズ事業は、カレー専門店「ゴーゴーカレー」3店舗、シュークリーム店「ビアードパパ」2店舗、スティックケーキ店「36STICKS」1店舗、美容室「イレブンカット」4店舗を展開。現在、パート・アルバイトスタッフ約600名、正社員約400名。2010年度の年商は約24億円。2011年度は約27億円を見込んでいます。
――御社がフランチャイズ事業を始められた理由からお聞かせください。
 飲食のフランチャイズに加盟して店舗運営を学びたいと考えたからです。正社員の大半は調理師や栄養士です。彼らの中には、もともと飲食店で働いていたり、自ら飲食店を経営していたりした者が少なからずいます。こういう社員は、「やっぱり普通の飲食店で働きたい」と会社を去ってしまう傾向があります。そこで、離職者を減らすために、自社で飲食店を運営し、希望者に働いてもらえば良いと考えました。まずは飲食フランチャイズに加盟して店舗マネジメントを吸収し、それらを基にオリジナルの飲食事業を開発していくことにしたのです。
――なるほど。ところで、フランチャイズを選ぶ際、加盟店数10店舗以上100店舗以下であることを重視されたそうですね。
 ええ。このくらいの規模なら本部のサポートも手厚いのではないかと考えました。
――実際に加盟されてみて、いかがでしたか。まずメリットからお聞かせください。
 フランチャイズの成長期に加盟するので、フランチャイズの知名度が上がるにつれ、売り上げが伸びること、本部に加盟者の意見を聞く余裕があること、加盟者数がまだ少ないので、良い物件があれば本部から声をかけてもらえやすいことなどがあります。
――本部に加盟者の意見が取り入れられると、加盟者にとって具体的にどのような良い結果がもたらされますか。
 本部との一体感、信頼関係です。フランチャイズでは本部と加盟者の信頼関係が重要と言われますが、そう簡単に信頼関係は作れません。でも、お互いに意見を出し合ってフランチャイズ事業を運営していけば、共に一つのフランチャイズを育てているという仲間意識、一体感が生まれます。これが信頼関係につながっていきます。

本部が、本部として機能しない場合はどうするか?

写真2「本部が機能していない場合があります」

――では、加盟店数10店舗以上100店舗以下のフランチャイズに加盟するデメリットについてはいかがですか。
 本部が、本部として機能しない場合があるということです。
――どういう時に機能していないと感じましたか。
 食材などが自社で仕入れるより高いと分かった時や、仕入れや競業避止義務(※)について、こちらの要望が本部スタッフ間で共有されなかった時です。

※競業避止義務:加盟者が本部の営業と同一、または類似の営業行為を行うことを禁止すること。(参考文献:「フランチャイズ・ハンドブック」社団法人日本フランチャイズチェーン協会)

 弊社は今年創業40周年。長年築いてきた本業の給食事業の実績から、食材や衛生関連商品の一部を、本部よりも安く仕入れるルートをもっています。それで本部より安く仕入れられる場合は、弊社が独自に仕入れても良いことにしてもらおうと考えました。ところが本部と加盟者の間に立つSV(スーパーバイザー)の入れ替わりが激しいこともあって、この要望が本部内でなかなか共有されない。結局、この件は契約書に書き込んでもらって対応しました。
 競業避止義務も同様です。私共としては、独自の飲食店を立ち上げる計画だったので、明らかにフランチャイズ事業とバッティングしない限りは、自由に飲食店を手掛けられる状態にしておきたかった。それで、例えば「○○の専門店を出してはいけない」、「価格帯が○○円~○○円の○○料理専門店を出してはいけない」など、禁止事項をより詳細に定義した誓約書を作ることにしました。
――加盟者が不利益をこうむらないためにも、要望は積極的にどんどん出して、個々の加盟者と本部との取り決めを書き残すのが重要ですね。

異分野のフランチャイズに加盟して見えたこと

写真3異分野の美容室フランチャイズに加盟

――さて、当初、飲食フランチャイズ加盟を目指しておられた御社が、美容室フランチャイズを始められました。異分野のフランチャイズに加盟された理由をお聞かせください。
 スピーディーでお手頃価格の美容室に成長性を感じたこと、本部の経営理念や事業特性が弊社とよく似ており、相性が良いと考えたからです。
 本部も、弊社も、経営理念は、社員を大事にすること。また、美容師は職人気質と言われますが、弊社社員の中核をなす調理師、栄養士も職人気質なところがあります。社員教育を重視して、職人気質の社員に「お客様満足第一の思考と行動」を浸透させるという点も共通していました。
――実際に美容室を運営されてみていかがですか。
 本業で培ってきたことを生かし、非常に円滑に運営できています。
 これまで本業でも力を入れてきた社員教育を、うちの店の美容師たちにも実施して、サービス業者のマインドを教えています。技術面については、美容師出身のマネージャーを置き、指導させています。本部直営店より、うちの店のほうが教育に力を入れている感じですよ(笑)。
――本質的な点が一致していると、異分野のフランチャイズでも、加盟者のノウハウを活用できることがあるようです。
逆に本部側から改めて学んだことはありますか。

 はい。社員にコスト管理意識を持たせることです。美容室では、毎月、目標売り上げ、利益、客数を決めて営業をさせています。これを応用して、給食事業では、毎月の原材料費や水道光熱費などの目標値を掲げ、コストを意識しながら業務に当たるようにしました。

法人が同分野、異分野のフランチャイズを選ぶポイント

――最後に、法人が本業と同分野、異分野のフランチャイズを選ぶ場合、それぞれどういう点に注意すべきかをお聞かせください。合わせて、東京天竜としての今後の目標もお願いします。
 同分野のフランチャイズの場合、事業運営において、自社のほうが本部より上回っている点もありえます。これを踏まえた上で、最も重要な商品力がすぐれているかどうかを中心に選択すべきと考えます。異分野の場合、経営理念など事業の方向性の一致を選択条件にすると、取り組みやすい事業に出会えるのではないでしょうか。
 東京天竜としては、飲食フランチャイズを通じて、飲食店運営ノウハウも吸収できたので、平成25年には自社開発の飲食店を出店予定です。
――貴重なお話をありがとうございました。

写真4「来年は自社開発の店を出店予定」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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