日経メッセ > フランチャイズ・ショー > 連載コラム > 注目のFC分野・制度紹介! > 第54回加盟者事例(8)「自社で立ち上げた飲食店4店舗が思わしくなく、ラーメン店フランチャイズに加盟、経営の柱を築きました (有限会社磯太郎フーズ代表取締役 千葉利彦さん)

連載コラム

第54回加盟者事例(8)「自社で立ち上げた飲食店4店舗が思わしくなく、ラーメン店フランチャイズに加盟、経営の柱を築きました (有限会社磯太郎フーズ代表取締役 千葉利彦さん)

[ 2013年7月8日 ]

磯太郎フーズは、ラーメン店2店舗を核にした外食事業のほか、介護関連フランチャイズにも加盟、業績を拡大中です。フランチャイズ事業をどう取り入れ、会社を発展させたかを伺いました。

外食事業、介護事業を手掛ける磯太郎フーズ

磯太郎フーズ代表取締役 千葉利彦氏
磯太郎フーズ代表取締役 千葉利彦氏

――磯太郎フーズのご紹介をお願いいたします。
千葉 東京・葛飾区に拠点を置き、外食事業、介護事業を手掛ける会社です。ラーメン店フランチャイズ「丸源ラーメン2店舗、「源蔵ラーメン」1店舗、要介護者(※)をお預かりするデイサービスフランチャイズ「茶話本舗2事業所のほか、自社で開発した割烹料理店、居酒屋を1店舗ずつ運営しています。また、関連会社、有限会社シーティーエフでも、茶話本舗3事業所を経営しています。
※要介護者:介護認定で介護が必要と認定された人

 私は外食事業全般を統括、介護事業は弊社取締役に任せています。外食事業の正社員は、7人、パート・アルバイトスタッフは約120人、介護事業では、それぞれ14人と約35人。2012年度の年商は磯太郎フーズが約6億8,000万円。シーティーエフが約1億2,000万円です。なお、私は、現在、丸源ラーメンの加盟店オーナー会の会長も務めております。オーナー会では、勉強会や懇親会などを催しています。

社内を説得して、ラーメン店フランチャイズに加盟

――フランチャイズ加盟までの経緯をお聞かせください。
千葉 以前は、割烹料理店3店舗、居酒屋1店舗を自社で立ち上げ、経営していたのですが、先行きに不安を感じていました。これらの店舗は、それなりの価格の料理を出すので、内外装にある程度お金をかけたため、投資額が大きくなりました。おまけに、生ものを扱うため、廃棄ロスが出やすい。また、料理人の腕にばらつきがあるので、教育をしなければならない。さらに、お客様を飽きさせないよう、メニューも開発しなければならない。限られた人材で、4店舗を回しながら、売上拡大策を考え、人材教育やメニュー開発までこなすのは無理がある。いずれ深刻な事態に陥るのは目に見えていました。

 一方、フランチャイズ事業なら、実証済みのビジネスモデルで黒字化しやすく、メニュー開発や教育はフランチャイズ本部の力を借り、われわれは店舗運営に集中すればいい。自社の活路を開くために、フランチャイズ加盟を考えたわけです。

――最初に加盟されたのが、丸源ラーメンでした。なぜ、丸源ラーメンだったのでしょう。
千葉 実は、加盟する何年も前から、丸源ラーメンフランチャイズ本部代表や幹部社員と付き合いがあり、社風や本部代表の人間性、フランチャイズの成長ぶりなどを熟知していたんです。丸源ラーメンの130席の店舗で、平日の昼間にお客様が20分待ちで並んでいるのを見た時には、「これはすごい。月商3,000万円というのは本当だ」と感動しました。それで2002年12月に丸源ラーメンに加盟、一号店を出しました。

――加盟に対する社内の反応はいかがでしたか。
千葉 当初は、「なんでラーメン店なんか」という状況でした。ラーメン店を軽く見ていた感じです。それで、会社の幹部や社員を丸源ラーメンの店舗や事業説明会に連れて行き、いかに繁盛しているか、なぜ繁盛できるのかを理解してもらうようにしました。

 最終的に、私の右腕だった社員が、手を挙げて、丸源ラーメン事業を担当することになりました。事業の理念を理解し、事業にかける強い想いを持った責任者さえいれば、後は何とかなるもの。もし、この条件を満たす責任者が見つからなかったら、自分が担当するつもりでした。
丸源ラーメン一号店は順調に推移し、1年4か月後に2店舗目を出店。また、同じフランチャイズ本部が運営する「源蔵ラーメン」フランチャイズの加盟店も出店しました。

自社で立ち上げた会席料理店
自社で立ち上げた会席料理店
 丸源ラーメン千葉寺店
丸源ラーメン千葉寺店

「介護事業は、外食事業で培ったサービス業マインドで勝てる」と感じた

――丸源ラーメン加盟後に、要介護者を預かるデイサービスフランチャイズ「茶話本舗
にも加盟されました。
千葉 ええ。少子高齢化社会の中で、弊社が、外食事業だけで成長し続けるのは難しいと考えたからです。まず、介護市場の成長性、茶話本舗の小投資額、高い収益性、外食と比べた利益率の高さなどに関心を持ち、「外食事業で培ったサービス業マインドで勝てる」と感じて、加盟を決めました。これまでお客様に喜んでいただくこと第一に、外食事業を行ってきたので、今度はデイサービスのご利用者さん、その家族、さらに、ご利用者さんたちと弊社をつなぐケアマネ(※)に喜んでいただくことを第一に行動すればいいだけだと考えたんです。

※ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者に合わせて、どのような介護サービスが必要かを調べ、ケアプランを作成したり、自治体や介護事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。
一般に、介護事業者は、近隣の居宅介護支援事業者や介護保険施設などのケアマネに営業をかけ、ケアマネから要支援者・要介護者に紹介してもらう形で、利用者を開発する。

 でも、今回も、社内の反応は冷たかった(笑)。社員には、今後の社会動向と弊社が外食事業に特化した場合の危険性を話し、茶話本舗の事業所を見学してもらいました。こうして社内の理解を得て、外食事業で活躍してきた取締役が責任者になり、2008年10月に第一号事業所を開設、以降2年間でさらに4事業所をオープン、現在、高い稼働率で5事業所を運営しています。

――2年間で5事業所をオープンとはスピーディーですね。
千葉 はい。投資額が小さいこともありますが、最大の理由は「介護保険法改正」というリスク。法改正で、万一、規制が強化され、収益性に影響が出る前に、事業所を開設しました。今後、介護関連フランチャイズ加盟を検討される方は、法改正リスクを頭に事業を検討するべきでしょうね。

加盟店オーナー同士の横のつながりが、事業を成長させる

――千葉さんは、丸源ラーメンの加盟店オーナー会会長も務めていらっしゃいます。オーナー同士の横のつながりから、どんなメリットを得られますか。
千葉 貴重な相談相手を得られます。
加盟してからの年数や店舗数などで、個々のオーナーの店舗運営に関する問題発見、解決能力のレベルは違うもの。横のつながりがあれば、自分より優秀なオーナーに気軽に相談したり、店舗を見学させてもらったりできます。そのほうが、自分の店舗をより良くできます。

 私は、静岡の業績のいい加盟店を見学して、スタッフの笑顔や対応の素晴らしさに感銘を受けたことがあります。早速、なぜ、素晴らしいスタッフが集まっているのか尋ねてみると、採用段階から弊社とは違うと分かりました。そこで、スタッフ募集の媒体選びから、面接マニュアルなど勉強させてもらいました。

――茶話本舗のオーナー同士のつながりについてはいかがですか。
千葉 弊社が事業所を展開する葛飾区内の他の加盟事業所や直営事業所に、私から声をかけて、定期的に親睦会を開き、情報を共有する体制をつくりました。

 介護保険制度は、市町村及び特別区(東京23区)ごとに、要介護や要支援の認定を行うため、同じ東京都内でも区によって、制度についての見解が異なる場合があります。ですから、例えば、葛飾区は要介護者への宿泊サービスの認定についてどれぐらい厳しくチェックしたかなど、同じ区内で活動している事業所同士の経験を持ち寄って、対応策を共有するようにしました。また、事業所には定員があるため、ご利用者さんを受けきれない時には、区内のほかの茶話本舗事業所にお願いするようにしています。

 短期間に急速に拡大したフランチャイズの場合、細かい点まで本部の手が行き届かないこともあります。そういう時は、加盟者自ら動かなければなりません。それだけ加盟者の負担が増えるともいえます。

フランチャイズは、「経営の柱」「省力化」「社員の意識の変化」をもたらした

――さて、御社が、初めてフランチャイズ事業を手掛けてから約10年経ちました。2つのフランチャイズ事業がもたらしたものをお聞かせください。
千葉 まず、丸源ラーメンが経営の柱になってくれました。
フランチャイズ事業開始前、自社開発の割烹料理店、居酒屋は合計4店舗ありましたが、現在は2店舗。これらにラーメン店3店舗を加え、今、5店舗を運営していますが、フランチャイズ加盟店は本部のサポートがあるため、以前に比べ、店舗運営にかかる労力は半減した感じです。

 また、茶話本舗を始めた結果、社員の意識が変わりました。これからの時代に外食事業だけでは生き残れないという危機感、会社が変化する必要性、そして外食事業で育んだサービス業マインドが介護にも生かせることに、気づいてもらえたと思っています。

――最後に、フランチャイズ加盟を検討中の方にアドバイスをお願いいたします。
千葉 フランチャイズ本部の経営理念や本部トップの人間性、本部が提示してくる情報が正しいものかどうかを知るために、できるだけ多くの加盟店オーナーに会って話を聞き、加盟店舗を見て回るのが一番重要です。

――貴重なお話をありがとうございました。

「加盟前に、加盟店を見たり、オーナーに会うのが重要」
「加盟前に、加盟店を見たり、オーナーに会うのが重要」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP