連載コラム

第51回 丼物

[ 2013年3月29日 ]

 今回は、投資回収は約2年半という「かつ丼・とんかつ専門店」、二等立地でも客が集まる「持ち帰り海鮮丼専門店」、『福井のおいしさ』で差別化する「ソースかつ丼店」をご紹介します。

[事例1] かつ丼・とんかつ専門店「かつさと」

(フランチャイズ本部:株式会社ケイ・アライアンスシステム http://www.ohmuraya.com/franchi.htm
~リピーターと持ち帰りの多さで売り上げ拡大、約2年半で投資回収~

 かつさとでは、肉質が良いとされる三元豚(さんげんとん)を使用。かつ丼の味の決め手は、オーダーを受けてから揚げたとんかつのサクサク感と丼つゆ。丼つゆは、親会社が運営するうどん店のだしがベースです。とんかつに用いる豚肉は1枚当たり100㌘。80㌘の肉を使う競合大手チェーンのとんかつと比べると、一目で大きいと分かります。オーダーから提供までは約3分30秒。「うまい・ボリューム・速い」かつ丼が525円で食べられるため、リピーターが多くなっています。かつ丼以外の主なメニューは味噌かつ丼 525円、ロースかつ定食735円など。

 主要客層は20代~50代のサラリーマン、30代の主婦。主婦が惣菜として持ち帰ることもあり、売り上げ全体に占めるテイクアウト比率は30%~50%。テイクアウトで売り上げを一層拡大しています。1店舗当たり平均年商7,800万円、トップクラスの加盟店平均年商9,000万円。かつさとでは居抜き(いぬき)物件(※)を使って、投資額を抑制。加盟店は約2年半で投資回収しています。
※居抜き(いぬき)物件:内装、備品類などが残っている状態で売り渡したり貸したりする物件。既存の設備などの流用により、開業資金を抑えられるケースが多い。

 かつさとの店舗では、調理技術はほとんど不要。オートフライヤーに、パン粉を付けた豚肉を入れれば、自動的にとんかつが揚がり、電子調理器のスイッチを入れるだけで、とんかつをほどよく煮れるようになっています。キャベツは機械でカット。丼つゆは本部から店舗に納品。加盟者の4割が飲食業未経験です。

 オープン前研修は、店長・社員対象に4週間。直営店で調理、接客マネジメントを指導。オープン時には、本部スタッフが店に入って6日間の開店支援。オープン後は、要望に応じて店舗指導実施(要実費)。

フランチャイズ展開開始年 2006年5月
直営店舗数 / 加盟店舗数(2013年3月現在) 5店舗/ 25店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人20%、法人80%
未経験者の加盟比率 40%
標準開業資金(ロードサイド独立型店舗。物件取得費(居抜き物件)込)/標準店舗規模 約1,900万円/約45坪(建物面積)

加盟店オーナーからひとことコメント!
「オープンから15日。自社の売上予測を3割上回っています」
■かつさと 八王子平岡町店オーナー 中島康博さん

「弊社は、約40年の間に、飲食フランチャイズ10業態を経営してきました。かつさとに加盟した理由の一つは、人口、経済力が都市部に及ばない小さな町でも、十分な売り上げ、利益を出していたこと。店舗をオープン(※)して驚いたのは、多くの高齢者の方のご来店。かつ丼は、幅広い世代にとっての『ごちそう』なんだとあらためて感じました」
※2013年3月8日オープン


ケイ・アライアンスシステム開発部部長
成清一之氏

かつさと

[事例2] 持ち帰り海鮮丼専門店「丼丸」

(チェーン本部:株式会社ササフネ http://www.sasafune.co.jp/index.html
~525円均一の海鮮丼が70種類以上!うまさで二等立地でも繁盛~

 本部トップは、もともと昭和54年創業のすし店を経営。長年の経験を基に、丼丸の原価率を53%に設定しています。50%を切ると、ネタとシャリ(ご飯)の質やボリュームが落ち、客が離れるからです。原価率53%、525円の海鮮丼は「安くてうまい」。メニューは70種類以上とバリエーションも豊富。商品力で、駅からやや離れた二等立地に出店しても、ラクに集客できます。主なメニューは、海鮮丼、ウニイクラ丼、まぐろネギトロ丼(いずれも525円)。ネタ大盛り725円、ご飯の大盛り630円、特盛840円。

 一方、原価以外のコストは極力抑え、低価格でも十分な利益を確保します。二等立地で、持ち帰り専門の小型店だから家賃は低い。すし職人不要。加盟者が店長を兼ねて、人件費を抑えます。また、調理に火を使わないため、排煙設備設置にかかる工事費はカットできるし、居ぬき物件(※1)を使用するため、小資金で開業できます。一店舗当たりの平均月商(※2)は、出店地域の経済力により、200万円~300万円。都市部にある、トップクラスの加盟店平均月商は約400万円。
※1 居抜き(いぬき)物件:内装、備品類などが残っている状態で売り渡したり貸したりする物件。既存の設備などの流用により、開業資金を抑えられるケースが多い。
※2 加盟店募集開始が2012年6月なので、2013年3月の取材時点では加盟店年商は出ていない。

 調理は、ご飯を炊いたり、マグロやサーモンなどをスライスするぐらいなので、未経験でも加盟できます。オープン前研修は、直営店で仕込み、商品づくり、接客等を指導。基本的に15日間ですが、加盟者がマスターできるまで延長。オープン後のサポートは、要望に応じ、電話や店舗訪問などによる指導を実施。不定期の抜き打ち店舗検査あり。月2回の社内報で、店舗経営の改善点、客からのクレーム、仕入れ情報などを共有。

 なお、本部は、食材仕入先、店舗内・外装業者を含めた全業者を紹介しますが、決定権は加盟者にあります。同様に、加盟者が、店舗レイアウト、営業時間、独自メニューなどを決定。イートイン形式の店舗も可能。ロイヤルティはありませんが、店舗名に「丼丸」を入れるため、のれん代(店舗名使用料)月額3万円は必要。一般的なフランチャイズよりも加盟店の自由度が高いため、丼丸では、加盟店を「のれん加盟店」と呼んでいます。

フランチャイズ展開開始年 2012年6月
直営店舗数 / 加盟店舗数(2013年3月末現在) 5店舗/ 14店舗
※直営委託店28店舗
(※元従業員などに運営を任せている直営店)
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人60%、法人40%
飲食業界未経験者の加盟比率 約70%~80%
標準開業資金(居抜き物件の場合。店舗取得費込)/標準店舗規模 約500万円/6坪

加盟店オーナーからひとことコメント!
「店は駅から9分。お客様は『ネタがいい。シャリがうまい』と、ご来店」
■紀の正 丼丸 中葛西店オーナー村上正樹さん

「以前は、コンビニ加盟店を10年経営。コンビニは『立地がすべて』の商売ですが、丼丸は商品で勝負できる。駅から離れた店ですが、お客様にご来店いただいています。中には、週4回ご利用くださる方も。『ネタは厚いし、色もいい。シャリもうまい』と言われると、本当にうれしい。コンビニ時代は、弁当をほめられても何も感じなかったんですが(笑)」
※2012年10月20日オープン。2013年3月取材。


ササフネ代表取締役会長 大島純二氏

丼丸

[事例3] ソースかつ丼店「ソースかつ丼 小川家」

(フランチャイズ本部:株式会社パナクリエイトコーポレーション http://www.sauce-katsudon.jp/index.html
~福井名物「ソースかつ丼」で差別化。あっさり味で来店頻度アップ~

 小川家のソースかつ丼は、オーダーを受けてから、かつを揚げ始めます。揚げ油は高温でも劣化しにくい100%キャノーラ油。米は、福井県産コシヒカリ。特製ソースは、味をまろやかにするというモーツァルトを聞かせながら、4時間煮込んでつくります。

 そして、もう一つの看板商品「越前そば」も、そばどころ福井の名物。コシのしっかりした麺に、大根おろしを入れたおろしそばです。キャリア40年の福井のそば職人が、「かつお風味で保存料ゼロ」のそばだしをつくっています。主なメニュー(※)は、ソースヒレカツ丼(並)480円、エビカツ丼(並)480円、越前おろしそば(レギュラー)380円など。

 主要客層は30代半ばの男性。客の85%が男性です。郊外型店舗の場合、テイクアウトが多く、売り上げの50%を占めるため、売り上げが伸ばしやすくなっています。1店舗当たり平均年商3,600万円、トップクラスの加盟店平均年商4,200万円。
※メニューは地域によって異なる。

 特製ソース、そばだしは、本部から各店舗に納品。店舗での調理の基本は、かつを揚げたり、ご飯を炊いたり、そばをゆでること。難しい調理技術は不要なので、未経験でも研修を受ければ、3分以内にソースかつ丼を提供できるようになります。

 オープン前研修は、約1カ月。直営店で調理、接客、マネジメントなどを指導。オープン後は、2カ月に一度、加盟店を訪問し指導。また、開業資金は、居抜き(いぬき)物件(※)を使って抑制。
※居抜き(いぬき)物件:内装、備品類などが残っている状態で売り渡したり貸したりする物件。既存の設備などの流用により、開業資金を抑えられるケースが多い。

フランチャイズ展開開始年 2008年12月
直営店舗数 / 加盟店舗数(2013年3月19日現在) 3店舗 / 5店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人80%、法人20%
業界未経験者の加盟比率 約38%
標準開業資金(物件(居抜き物件)取得費別)/標準店舗規模 約600万円/15坪~25坪

加盟店オーナーからひとことコメント!
「ソースかつ丼は競合が少ない。あっさり味なので週3回の客が多い」
■ソースかつ丼 小川家 福井北インター店 天谷健二さん

「加盟前は、小川家フランチャイズ本部で直営店店長や、営業部長を任されていました。本部勤めで分かったのは、あっさり味だからリピーターを得やすく、時間がたっても品質が落ちにくいため持ち帰りが多いこと。福井で親しまれてきた味ですし、長期的に経営できると独立しました。現在、オープン(※)から4カ月。ほぼ、計画通りの売り上げです」
※2012年12月オープン


パナクリエイトコーポレーション
代表取締役社長小川善央氏

ソースかつ丼 小川家
注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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