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連載コラム

第56回 加盟者事例(9)「独立して、今では年商19億円。ブレイク寸前のステーキレストランフランチャイズへの加盟が、飛躍につながりました」(株式会社RYコーポレーション 横山藤雄さん)

[ 2013年8月29日 ]

RYコーポレーションは飲食フランチャイズ加盟店舗14店舗、自社開発の飲食店14店舗を運営中。初めてのフランチャイズで赤字に苦しんだ理由、伸びるフランチャイズを見抜く力の磨き方などを伺いました。

勤めていた会社から、赤字店舗の業務委託を受け、独立

RYコーポレーション代表取締役 横山藤雄氏
RYコーポレーション代表取締役 横山藤雄氏

――RYコーポレーションについて教えてください。
横山 以前勤めていた精肉会社が、居酒屋フランチャイズ「土間土間」の加盟店3店舗を経営していました。飲食事業部長として、土間土間の立ち上げから関わっていた私は、会社から加盟店2店舗を業務委託形式で引き継ぎ、2006年に独立、RYコーポレーションを興しました。現在、RYコーポレーションは、東京・港区にあり、フランチャイズ事業としては、土間土間2店舗、ステーキレストラン「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」12店舗を展開、他に自社開発の飲食店14店舗を手掛けています。正社員60人、パート・アルバイトスタッフ約370人、2012年度年商は約19億円です。私はオペレーションの指導をしたり、新メニューの是非を判断したりなどはしますが、基本的に現場は社員に任せ、経営全般を見ています。

――勤務先から引き継いだ店舗は、厳しい経営状態だったと伺いました。なぜ、わざわざ赤字店舗を引き継がれたのでしょう。
横山 スタッフごと第三者に店舗を譲渡する話が出ていたのですが、私はそれを避けたかった。いっしょに苦労してきた仲間を失いたくなかったんです。それで、自分が店舗を譲り受け、独立しました。独立は、子どもの頃からの夢で、いずれ実現するつもりでした。

赤字の理由と対策

――引き継いだ土間土間2店舗は、今は黒字ですね。何が赤字の原因で、どうやって黒字化したのですか。

横山 主な赤字の原因は、食材コストの管理が行き届かなかったことです。食材の必要以上の仕入れや、オーダーミスなどで、食材が無駄になり、コストがかさんで、利益が伸び悩みました。飲食業で陥りやすい赤字体質になっていました。

 店舗の立て直しのために、まず、適正在庫を心掛けました。慣れるまである程度時間がかかりましたが、予約状況や、曜日別の平均的な売り上げを把握し、適量を発注するようにしました。

 さらに、スタッフに「生産者が手塩にかけて作った食材を無駄にしてはいけない」と語って、スタッフの食材を大事にする意識を育てました。こういう意識のあるスタッフは、食材廃棄につながるオーダーミスに気を付けたり、飲み放題コースでの廃棄ロスを抑えるようになります。

――飲み放題コースでの廃棄ロスとは、具体的にどんなことですか。
横山 例えば、手つかずのビール。飲み放題コースでは、ラストオーダーの際、お客様が大目にオーダーして、栓を開けたビールなどのドリンク類が、手つかずのまま何本も残ってしまうことが少なくありません。残ったドリンクはすべて廃棄せざるをえません。食材を無駄にして儲けが減る、典型的な廃棄ロスの一つです。
 廃棄ロスを防ぐために、飲み会などでは、幹事の方とよくコミュニケーションをとり、食材を大事にしたいことをお話しした上で、ラストオーダー時には「宴会終了まで残り○○分なので、ビールはオーダーいただいた半分の本数で足りるように思うのですが、いかがでしょう。足りないようでしたら追加いたしますから」とご提案するようにしています。

 しかし努力をしても、食材の余りは出るもの。余った食材は、弊社の運営する土間土間の独自メニューや、スタッフ用のまかない料理で使いきるようにしています。まかないは、長時間勤務のスタッフには無料で、短時間のスタッフには安価ですが、有料で提供しています。
 こうして食材の無駄を徹底的に省き、コスト管理を行ったた結果、土間土間2店舗は黒字経営にいたりました。

5年半余りで、12店舗出店できた理由

――もう一つのフランチャイズ事業として、「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」(以下けん)の加盟店を展開されています。2007年12月に一号店をオープンされてから、わずか5年半余りの間に12店舗まで出店されました。スピード出店できた理由は何でしょう。

横山 加盟のタイミングと物件選びでしょうか。
 私が加盟した頃は、確かチェーン全体で6店舗を数えるぐらい。一号店をオープンしたものの、知名度不足からか、厳しい経営状態が続き、正直言って、店を閉めることも考えました。ところが、運よく、けんがメディアで紹介され、大ブレイク。弊社の一号店も客足がぐっと増え、軌道に乗りました。当時、けんのような、サラダバーやライスなどが食べ放題の、お手頃価格のステーキレストランは珍しかったので、売り上げは拡大、けんの店舗に適した郊外型の居抜き物件も多かったため、次々と出店できました。競合店の増えた今では、一号店を出店した頃と比べ、売り上げを伸ばすのも、物件を見つけるのも難しくなりました。
 
 店舗物件は、人任せにせず、いつも私が選びます。飲食店の売り上げの7割は、立地で決まりますから。ステーキレストラン用の物件選びでは、周囲に大手ファミリーレストランチェーン店があるかどうかが、重要なチェックポイントの一つ。ファミレスとステーキレストランは、客層が共通しています。ファミレスが営業するエリアの物件なら、ステーキレストランの客も集めやすいんです。物件選びのポイントは、けんのフランチャイズ本部に聞いたり、けんの店舗を見て回って身に付けました。集客しやすい物件を見極めて店舗を出していったことが、いい業績、スピーディーな大量出店につながりました。

ステーキハンバーグ&サラダバー けん「味の素スタジアム店」
ステーキハンバーグ&サラダバー けん
「味の素スタジアム店」
ロティサリーチキンが人気の自社開発業態「ココリコ上野店」
ロティサリーチキンが人気の自社開発業態
「ココリコ上野店」

フランチャイズの成長性を見抜く力は、こうして身に付けた

――競合のほとんどない時期に加盟し、フランチャイズの成長の波にうまく乗ったこと、的確な物件選びが出店を加速させたわけですね。
 しかし、そもそもまだ店舗数も少なかったけんの成長性をどうやって見抜いたのですか。フランチャイズへの加盟条件も合わせて、お聞かせください。
横山 日ごろから、フランチャイズであるかどうかに関わらず、流行っている店舗は必ず見に行き、伸びる店を見抜く力を磨いてきました。だから、けんと出会った時に、「これはイケる」と直感しました。

 一定期間以上流行っている店舗を訪ねては、立地、商品、店舗の雰囲気、接客、客層などをチェックして、自分なりに人気の理由を分析する。これを繰り返していると、店舗の成長性がつかめるようになります。
 フランチャイズに関しては、成長性のほか、開業資金、売り上げ、コストと利益のバランスが取れていること、パート・アルバイトが集まりやすい業態であることなどを加盟条件と考えています。

成長初期のフランチャイズに加盟する際の心構え

――予測通り、けんは成長し、けんに加盟した御社も大きく飛躍されましたが、加盟当初は店舗の売り上げが伸び悩んだとのお話がありました。ご自身の経験から、成長初期のフランチャイズに加盟する場合の心構えなどをどうお考えですか。
横山 本部の掲げる夢や企業理念への共感、本部とともにフランチャイズを育てる決意が、安定期にあるフランチャイズに加盟するより、一層強く求められると思います。
 フランチャイズチェーンの知名度が上がるまで、加盟店経営は忍耐を強いられることもありえます。本部といっしょにフランチャイズを立ち上げる、本部を支える覚悟がないと、しい局面への対応は難しいと思います。加盟者は、本部が何をしてくれるかではなく、本部をどうサポートするかを考えなければなりません。私は、独立前に勤めていた精肉会社で築いたネットワークなどを活用し、けんの物流整備をお手伝いしました。そこまで本部をサポートできたのは、事業の成長性を感じたからだけでなく、「日本一、付加価値の高いステーキハウスをつくる」という本部のビジョンに心の底から共鳴できたからです。

――儲けのみ考えて加盟すると、成長初期の荒波を乗り切るのは難しいようですね。
さて、御社はフランチャイズ事業以外に、自社開発の飲食店を14店舗も展開されています。飲食フランチャイズの加盟者の中には、自社業態開発を夢見ている方が多数いらっしゃいます。最後に、飲食店を自社で立ち上げる際のアドバイスをお願いいたします。
横山 フランチャイズと異なり、自社で飲食店を立ち上げるには、腕のいいプロの料理人が必要です。プロを集め、長く活躍してもらうためには、経営者が彼らの価値観にあった飲食店のイメージを描き、どんどん出店して「この会社なら自分の思い描いていた店が出せそうだ」と感じてもらえるようにすることが重要です。
――ありがとうございました。

「加盟者は、本部をどうサポートするかを考えるべき」
「加盟者は、本部をどうサポートするかを考えるべき」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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