日経メッセ > フランチャイズ・ショー > 連載コラム > 注目のFC分野・制度紹介! > 第58回 加盟者事例(10)「フランチャイズ加盟の条件は、薄利多売型であること。大量の販売データを基に、的確な販促、売上アップが狙えます」(株式会社ビーエーエス 倉田裕二さん)

連載コラム

第58回 加盟者事例(10)「フランチャイズ加盟の条件は、薄利多売型であること。大量の販売データを基に、的確な販促、売上アップが狙えます」(株式会社ビーエーエス 倉田裕二さん)

[ 2013年11月1日 ]

脱サラして、98年に会社を設立。現在、倉田さんは、2チェーンのフランチャイズに加盟、合計13店舗の加盟店を運営しています。販売データを基にした販促策など、フランチャイズ事業を伸ばしてきたポイントを伺いました。

脱サラから、年商約17億2,000万円の経営者へ

ビーエーエス代表取締役社長 倉田裕二氏
ビーエーエス代表取締役社長 倉田裕二氏

――ビーエーエスの概要からお聞かせください。
倉田 本社は東京・国立市に置いています。主要業務は、ビル賃貸業、携帯電話ショップ、フランチャイズ加盟店運営。フランチャイズ加盟店は、CD/DVDレンタル販売店「TSUTAYA(ツタヤ)」3店舗、オーダーメイドサンドイッチショップ「SUBWAY(サブウェイ)」10店舗です。正社員32人、パート・アルバイトスタッフ約160人、2012年度年商は約17億2,000万円です。

――現在、倉田さんは、御社のフランチャイズ事業にどのように関わっていますか。
倉田 フランチャイズ加盟、店舗物件の是非は私が決めます。また、販売データを分析し、販促策など必要に応じたテコ入れを考えています。

フランチャイズ選びの条件は、薄利多売と多店舗化

――そもそも、御社は、どういう経緯でフランチャイズ事業を手がけるようになったのでしょう。

倉田 フランチャイズ事業進出のきっかけは、携帯電話ショップ出店のために見つけた物件なんです。1階と2階をセットで借りるという条件付きだったので、1階は携帯電話ショップを出すとして、2階でも何か商売を始めなければならなくなった。ちょうど、それまで運営していた携帯電話ショップを閉店したため、閉店した店舗に勤めていた人も余っていた。そこに持ち込まれたのが、CD/DVDレンタル販売店「ツタヤ」フランチャイズの話。2002年には、ツタヤ1号店を出店しました。

――2009年には、オーダーメイドサンドイッチショップ「サブウェイ」フランチャイズの加盟店も出店されました。どういう条件でフランチャイズを選びましたか。
倉田 まずは、直感。ピンとくるものがあるかどうか。
ツタヤの話が持ち込まれた頃、国立にツタヤはまだありませんでした。当時18歳だった息子が「国立にツタヤは必要だよ。国立は学園都市なんだから」というのを聞いて、必要なのに、まだないなら作ろうかと思いました。

 サブウェイは、初めて食べたのがハワイでした。おいしかったのですが、パンの大きさにびっくり(笑)。強く印象に残りました。後になって、偶然、フランチャイズだと知り、何かしら面白そうな気がして詳しく調べ始めました。
 ピンときた事業を調べる際、最も重視するのは、薄利多売と多店舗化という2つの条件を満たしているかどうかです。

――なぜ、その2点を重視されるのでしょう。
倉田 薄利多売事業は、幅広い層が、商品やサービスを繰り返し買ったり、使ったりする事業。客層の厚さ、購買回数の多さに比例して、販売データが増えるので、大量のデータを基に、精度の高い販促を行い、売上拡大につなげやすくなります。大勢のお客様に求められるという点で、やりがいもある。
 
 また、多店舗化すれば、店長など、社員のポストを増やせるので、社員のモチベーションをアップできる。節税効果もあります。弊社の場合、年3店舗~4店舗のペースで出店し、減価償却費が発生するようにしています。

――フランチャイズを選ぶ際には、本部トップと面談したり、先輩加盟者を訪ねて情報収集するのが鉄則です。倉田さんが、本部トップ面談で、必ず確認することは何ですか。
倉田 トップ面談では、新たに加盟して多店舗化する余地、加盟店の閉店率をチェックします。弊社にとっては多店舗化がフランチャイズ加盟条件ですが、店舗数が一定以上に達しているフランチャイズの場合、加盟者が新たに出店する余地がほとんどないこともあります。長く続けられる事業かを推測する物差しの一つとして、加盟店閉店率も必ずチェックします。

――先輩加盟者を訪ねる場合、どういったことを質問してみると良いですか。
倉田 例えば、本部は、店舗物件を何件ぐらい紹介してくれるかなど、本部の力量が具体的に推し量れることを尋ねてみるといいでしょう。サブウェイを例に挙げると、一度に3件~4件物件を提案してくれるので、物件を見比べて選べます。大変助かります。一般の加盟者では、それだけの件数を一度に探し出せません。

サブウェイ イオンモール日の出店
サブウェイ イオンモール日の出店
ツタヤ国立大学通り店
ツタヤ国立大学通り店

4年間で10店舗出店を実現できた理由

――そういう手順を経て2009年にサブウェイ一号店をオープンされました。それから4年間で10店舗まで多店舗化されました。スピード出店を実現できた理由を、どうお考えですか。

倉田 サブウェイは、そもそも開業資金が少ないから、多店舗化しやすい業態です。加えて、社員が活躍できる店舗をつくるという私の経営者としての責任感、社員の頑張り、それから的確な販促策で、売上を伸ばせた点もあります。

 弊社では、毎日、全店の売り上げ、客単価などを記載したレポートを出します。各店舗のデータを見比べて、それぞれの特徴に合わせた販促策を考えます。

 今夏の販促例をご紹介しましょう。
 サブウェイには1,000円単位でチャージして、店舗で使える「サブクラブカード」があり、カード利用者は、客単価が高くなる傾向があります。データを見て、現金での購入者より、カード利用者の利用額が多い店舗では、サブクラブカードへの2,000円チャージで『7色に光るうちわ』プレゼントを実施、利用額をさらに伸ばしました。また、他店と比べて客単価が低い店舗は、理由を探ると、店舗の隣に大手ハンバーガーショップがある。ドリンクはハンバーガーショップで買うから、客単価が低くなっているらしい。そこで1,000円以上お買い上げいただいたお客様には「光るブレスレット」プレゼントで、客単価アップを図りました。

――販促策としてプレゼントキャンペーンなどを実行し、成功させるには、店長やスタッフが、熱心にキャンペーンの紹介をするなど、現場の協力が必要です。どのようにして、現場が販促策に積極的に取り組むようにしていますか。
倉田 全店舗の数字を公開しています。
 売り上げ、客単価など、弊社で運営する各店舗の数字を見せると、社員は納得して、こちらの指示に従ってくれます。全店舗のデータが分かりますから、互いに競争して、いい結果を出すようになります。

飲食業の課題、「人手不足と定着」について

――人手不足で、なかなか出店できないと嘆く飲食分野のフランチャイズ加盟者は少なくありません。倉田さんは、10店舗出店までを振り返っていかがですか。
倉田 人に関しては、サブウェイは人が集まりすぎるぐらいです。一号店からそうでしたし、今でもその傾向は変わりません。
 理由のひとつは、きれいで、かっこいい仕事というイメージがあること。サブウェイでは、パート・アルバイトスタッフは「アテンダント」と呼ばれます。アテンダントは、店内でパンを焼いたり、どのパンにどのドレッシングが合うか覚えたりなど、ある程度の技術を身につけなければならないし、頭も使う。そしてサンドイッチを自らメイクする(つくる)。単純作業ではない、友達にも自慢できる仕事と捉えられているようです。
 9割が、家計を支える主婦のアテンダントさんだから、モチベーションも高い。中には、アテンダントさんたちが、商品のチラシを手作りしている店舗もあります。仲間といっしょに、自分たちで店をつくっていく楽しさもあるんでしょう。

――同じ飲食分野でも、事業内容によって人の集まり具合には差があるようですね。加盟前に、人材が集まりやすいフランチャイズかどうか、確認したいところです。
 しかし、いくら、人が集まりやすいフランチャイズでも、職場が、働く人にとって楽しいものでなければ離職につながります。最後に、倉田さんが、楽しい職場になるよう心がけていることをお聞かせください。

倉田 感謝の気持ちです。心がけているというより、自然に湧いてきました。以前、自分が夜遅く、一杯飲んでいる時に、『こうしている今も、店舗で頑張ってくれている社員やアテンダントさんがいるんだ』とはっとしてから、自ずと感謝するようになりました。感謝の気持ちがあるから、社員を大切にします。また、アテンダントさんあっての店舗だと痛感しているから、そう社員にも伝えています。社員やアテンダントさんを大切にすることが、楽しい職場づくりにつながっているように思います。

――貴重なお話をありがとうございました。

「感謝の気持ちが、楽しい職場につながる」
「感謝の気持ちが、楽しい職場につながる」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP