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連載コラム

第60回 加盟者事例(11)「未経験で、介護系フランチャイズの第一号加盟者に。自ら介護を勉強して、現在、11事業所運営中」(株式会社シン・プレイス 斎藤 眞吾さん)

[ 2014年1月6日 ]

金融関係のサラリーマンだった斉藤さん。脱サラして、2007年に会社を設立、現在、2チェーンのフランチャイズに加盟(内1チェーンは関連会社で加盟)する一方、これまでの経験を基に、自らフランチャイズチェーンを立ち上げるまでになりました。どうやって、今日まで事業を拡大してきたかを伺いました。

脱サラから約8年、静岡と東京に拠点を置き、活躍中

シン・プレイス代表取締役社長 斎藤 眞吾氏
シン・プレイス代表取締役社長 斎藤 眞吾氏

――シン・プレイスの概要について教えてください。
斎藤 本社は静岡市。メインの事業は3つ。デイサービス(※)フランチャイズ「茶話本舗(さわほんぽ)」11事業所、介護予防・機能訓練に特化した直営のデイサービス「リ・ボン倶楽部」、及びケアプラン(要介護者への介護サービスの計画)作成などを行う居宅介護支援事業所を1事業所ずつ運営しています。
※デイサービス:要介護者(要介護認定で支援や介護が必要と認定された人)を一時的に預かる施設

 また、関連会社で、茶話本舗の静岡県エリアパートナーとして、本部業務の代行、及び、整体・骨盤矯正サロンフランチャイズ「カラダファクトリー」2店舗の運営を行っています。シン・プレイスは、正社員18人、準社員7人、パート82人、関連会社は、正社員4人、契約社員2人、アルバイト7人(本部スタッフ含む)。2013年度年商は関連会社と合わせて、5億円を見込んでいます。
 独立当初は、自ら茶話本舗の事業所でご利用者様をお世話したり、ケアマネに営業したりなどしましたが、現在は、基本的に経営に専念し、現場は社員たちに任せています。

未経験で、介護系フランチャイズの第一号加盟者に

――斉藤さんは、介護業未経験にも関わらず、茶話本舗フランチャイズの加盟者第一号となったそうですね。なぜ、敢えて、実績の少ないフランチャイズに加盟されたのでしょう。

斎藤 茶話本舗創始者である、現会長にお会いしたり、茶話本舗の事業所を拝見して、「これはイケる!」と直感したからです。

 金融関係の会社に長く勤め、多数の事業計画書を目にしてきましたから、ビジネスプランを見れば、事業の成長性は大体わかります。また、ちょうど、自分で介護事業を始めようかと、独学で介護事業を学んでいたので、ある程度業界の知識もありました。現会長の介護に臨む純粋な姿勢にも心を動かされました。それで、当時、茶話本舗は、まだ、アパートの一室に拠点があるような状態でしたが、加盟を即決したんです。

――加盟者第一号のメリット、デメリットは何でしょう。
斎藤 メリットは、ご利用者様が集まりやすかった点。当時、競合がほとんどない時代でしたから。2施設目も、周囲に「つくってくれ」と頼まれて出したぐらいでした。今は、競争が厳しいので、以前に比べれば、集まりにくくなりました。
 敢えてデメリットというなら、スーパーバイザーによる臨店指導など、いわゆる、ちゃんとした本部指導がなかったことでしょうか。しかし、本部スタッフといっしょに現場を経験させてもらい、ノウハウを積み上げましたので、臨店指導がなくてひどく困ることはありませんでした。

――フランチャイズ初期に加盟して、フランチャイズ事業が成功すれば、初期の加盟店は大きく売り上げを伸ばしやすいと聞きます。しかし、事業が成功するかどうかは、結局、やってみないとわからない。斉藤さんは、まだ実績の少ないフランチャイズへの加盟を見極めるポイントを、どう考えていますか。
斎藤 フランチャイズの成長性に、確信が持てるかどうかでしょうか。私はサラリーマン時代の経験や、介護ビジネスについてのある程度の知識、創始者の人柄などから、確信を持って、茶話本舗への加盟に踏み切りました。リスクは高いですから、どこか不安が残るようならやめたほうがいいでしょうね。

デイサービス「茶話本舗」
デイサービス「茶話本舗」

どうやって介護スキル、ケアマネ営業力を身につけたか

――未経験で飛び込まれて、介護スキルやケアマネ(※)営業などを、どうやって自分のものにされましたか。
※ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者に合わせて、どのような介護サービスが必要かを調べ、ケアプランを作成したり、自治体や介護事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。
一般に、介護事業者は、近隣の居宅介護支援事業者や介護保険施設などのケアマネに営業をかけ、ケアマネから要支援者・要介護者に紹介してもらう形で、利用者を開発する。

斎藤 現場で経験を重ねながら、空いた時間で少しづつ介護を勉強し、自信を持って現場に出られるようにしていきました。経験や知識が身についてくると、弊社のスタッフに的確に指示したり、ケアマネに堂々と営業したり、現場をパッと見てどこに問題点があるか見当がつきやすくなりました。
 ケアマネ営業では、ケアマネの介護保険上の立場などを理解した上で、われわれ事業所に何を求めているのかを把握することが重要です。ケアマネが何を考えているのか、常に思いを巡らせながら接するようにしていました。

 大事なのは、勉強し続けることです。先程もふれましたように、現在は、私が加盟した当時より競争が厳しくなっています。介護事業に限らず、どんな分野でも、環境は変わりますから、昔、習い覚えた手法が、ずっと通用するとは限りません。本部からの情報だけでなく、加盟者自ら常に学んだ方が、変化への適応力は高まります。弊社でも、今まで以上に職員研修に力を入れています。

――変化といえば、介護事業固有のリスクとして、介護保険法改正の事業への影響があります。この点はどのように対応されていますか。
斎藤 保険が適応されない自費サービスの導入や、事業の多角化で対応しています。

約6年の間に、11事業所までオープンできた理由

――さて御社にとっての、茶話本舗第一事業所オープンから約6年の間に、11事業所までオープンされました。なぜ、スピード展開できたとお考えですか。
斎藤 社員が、がんばってくれたおかげです。
私が心がけているのは、いつまでに、何をどうするか、具体的に社員に約束し、守ること。約束というのは、例えば、「○○年までに3店舗出して、○○、○○、○○を店長にする」といったものです。これまで約束したことは達成してきているので、社員も私を信じてがんばってくれています。そのおかげで、会社は今日まで成長できました。介護事業には珍しく、社員の離職率も低く、介護事業関係者にはよく驚かれます。

 私のミッションのひとつは、弊社の幹部社員を幸せにすることです。彼らには「3年で売り上げ10億円を達成、幹部社員の給料を倍増させる」と約束しています。事業計画を見ても、この約束は、実現可能です。私が幹部社員を大事にすれば、幹部社員は事業所のスタッフたちを大事にするし、スタッフはお客様を大事にします。そういう好循環があるので、幹部社員を幸せにすることをミッションと考えているわけです。 

手がける事業の条件

――なるほど。ところで、複数の事業所開設とともに、関連会社を通じた多業態化も進めていらっしゃいます。多業態化の条件などあればお聞かせください。
斎藤 一つ目の条件は、リスクにつながるので在庫を持つ事業は手がけない。二つ目は、既存事業と関連性ある事業を選ぶ。
 現在、関連会社で手がけている整体・骨盤矯正サロンフランチャイズ「カラダファクトリー」は、茶話本舗とホスピタリティ、コミュニケーション重視という点が共通しています。事業同士の関連性が高いと、それぞれで得た情報を相互に生かせてムダがない。2つの事業で得た情報を活用して、自社のオリジナル業態である、介護予防・機能訓練に特化したデイサービス「リ・ボン倶楽部」の開発にも至りました。弊社が本部となって、この業態をフランチャイズ展開する予定で、既に加盟者2社が内定しています。

――関連する3つの事業を走らせている状況は、社員にどういう影響を与えていますか。
斎藤 活躍できる場が多い分だけ、会社の成長性を感じているようです。そう思ったのは、カラダファクトリー二号店を開始した時です。実は、二号店の島忠仙川ホームズ店は直営店を買い取ったものなんです。店舗を譲り受ける際、店舗で働いていた店長を含む7人のスタッフに「本部に戻ってもいいし、うちに来てくれてもいいよ」と伝えたところ、7人全員が弊社(の関連会社)に移りたいと言ってくれました。こういうケースはめったにないと聞いています。
 社員は、茶話本舗とカラダファクトリーそれぞれの研修を受けてもらっていますし、いずれも共通点のある事業なので、人事異動にも抵抗はない感じですね。カラダファクトリーの社員も、茶話本舗同様、離職率が非常に低いです。

整体・骨盤矯正サロン「カラダファクトリー」
整体・骨盤矯正サロン
「カラダファクトリー」
自社開発した機能訓練特化型デイサービス「リ・ボン倶楽部」
自社開発した機能訓練特化型デイサービス
「リ・ボン倶楽部」

約一年、店の売り上げが伸び悩んだ時、どうしたか

――斉藤さんは、会社を大きく成長させましたが、今日に至るまでは、困難な局面も少なからずあったかと思います。直面された課題と解決策を、一例挙げていただけますか。
斎藤 カラダファクトリーの一号店目、西友阿佐ヶ谷店は、一年ぐらい売り上げが上がらなかったんです。当時、私は、週3日は阿佐ヶ谷店に張り付いていました。売り上げが芳しくないと、店舗の雰囲気も暗くなりがちです。それでスタッフの士気を上げようと、私自らポスティングを始めました。

 自分がポスティングするからには、なんとしてもお客様に入ってもらわなければならない。居住者の方をお見かけしたら、笑顔で「こんにちは。よろしくお願いいたします」とお声をかけて手渡すようにしました。
 店舗のスタッフは、「社長自らポスティングまでやってる!あんなにがんばってくれてるんだから、自分たちもがんばろう」と思ってくれたのか、しばらくして売り上げは急激に上がり始めました。

今後の計画

――最後に、今後の計画をお聞かせください。
斎藤 茶話本舗、カラダファクトリーの加盟店出店、オリジナル業態「リ・ボン倶楽部」の出店とフランチャイズ展開を軸に、活動していく予定です。また、出店エリアを、関西、関東にまで広げます。特に、愛知、名古屋は押さえたいですね。

――今後のご活躍をお祈りしています。貴重なお話をありがとうございました。

「今後は関西、関東に出店したい」
「今後は関西、関東に出店したい」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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