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連載コラム

第64回 加盟者事例(13)「本業の先行きに不安を感じ、異業種から飲食店フランチャイズへ。最初は、人の問題に悩みました」(岡田食品惣菜株式会社 代表取締役 岡田卓也さん)

[ 2014年4月30日 ]

岡田卓也さんは、三重県松阪市で、惣菜製造卸売会社を経営する一方、6業態の飲食店、2業態の教育サービスフランチャイズに加盟しています。岡田さんに、フランチャイズ選びの基準、人材教育などについて伺いました。

惣菜製造卸売業の傍ら、フランチャイズで外食、教育サービス分野に進出

岡田食品惣菜 代表取締役 岡田卓也氏
岡田食品惣菜 代表取締役 岡田卓也氏

――岡田食品惣菜は、どういう会社でしょう。
岡田 弊社は、1973年、惣菜製造卸売会社として設立されました。本社は三重県松阪市です。現在では、惣菜製造卸売業に加え、飲食店、教育サービスのフランチャイズ事業なども手掛けています。フランチャイズ事業は、グループ会社で運営しているものも含めると、飲食店フランチャイズとして、「牛角」、「大阪梅田 お好み焼本舗(以下お好み焼本舗)」、「丸源ラーメン」など5業態、14店舗、教育サービスフランチャイズとして幼児教育の「コペル」、個別指導塾の「慶桜個別指導学院」の2業態、6教室を手掛けています。

岡田食品惣菜では、社員35人、パート・アルバイト約300人を数え、2012年度年商は、約14億円です。

フランチャイズ選びの基準は「なじみやすさ、近隣での成功実績」

――フランチャイズ事業を始められた理由から、お聞かせください。
岡田 本業である惣菜の製造卸売業の先行きに不安を感じ、新たな経営の柱を求めて、フランチャイズ事業を始めました。

――これまで、どういう基準で、フランチャイズを選ばれてきましたか。合わせて、それらを基準にした理由もお聞かせください。
岡田 主な基準は2点あります。まず、弊社とのなじみやすさ、次に弊社の近隣にフランチャイズ本部、もしくは繁盛店があることです。2点を選択基準とした理由は、結果的に、取り組みやすく、成功率の高いフランチャイズを選ぶことになるからです。

弊社が飲食店フランチャイズに加盟してきたのは、弊社で扱っている惣菜と関連性が高いから。教育サービスフランチャイズは、経営理念や戦略に弊社と共通するチェーンを選んで加盟しました。関連性が高かったり、共通点があったりすれば、事業運営方法の見当がつきやすいので、取り組みやすさが増します。さらに、弊社の近隣で成功したフランチャイズなら、弊社の地元と地域特性の点で、似通った点が多いので、事業の成功率は高くなります。

――基準に合ったフランチャイズに加盟、開業されてみて、それぞれの業績はいかがですか。
岡田 概ね予測通りに推移しています。近県に本部や繁盛店があるフランチャイズは、弊社の地元でも知名度が高いので、オープン時から集客に弾みがつきやすくなりました。ネームバリューはあるのに、まだ地元に店舗がないタイミングで出店すると、先行者利益を狙えると考えています。

しかしネームバリューと集客との相関関係には、例外がありました。お好み焼本舗と牛角です。お好み焼本舗は、まだ店舗数自体が少なく、地元では知名度がほとんどない状態でしたが、斬新なデザインの大型看板で人目を引き、集客に結び付けられたので、滑り出しから大変好調でした。当時、郊外型で大型のお好み焼き専門店が珍しかったこともプラスに働いたようです。

一方、牛角は、適切な物件がなかなか見つからず、加盟から2年~3年後にやっと店舗オープンにこぎ着けました。牛角の知名度は高かったのですが、オープン時には、焼肉店人気はピークを過ぎ、出遅れた感じでした。

初めて店舗物件を探す人でも、良い物件を手にするコツ

愛知県に本部を置く「丸源ラーメン」に加盟
愛知県に本部を置く「丸源ラーメン」に加盟
2012年に開校した幼児教室「コペル」 津教室
2012年に開校した幼児教室「コペル」 津教室

――店舗物件探しに手間取ると、好機を逸します。初めて店舗物件を探す人でも、良い物件を手にするコツがあればお聞かせください。
岡田 まず、出店したいエリアに、頻繁に足を運び、近くの不動産屋さんに顔を出したり、流行っていない店(閉店する可能性が高い店)を見つけたりします。不動産屋さんには、探している物件の条件を伝えたり、物件が出た時の連絡をお願いしたりします。

一連の作業を繰り返していると、狙っているエリアの人の流れなど、エリアの情報が頭に入ってきます。蓄積してきたエリア情報があれば、いざ、寂れていた店が閉店すると連絡が入った時、閉店する店舗が借りるだけの価値ある物件かどうか、即、判断できます。こうすればタイミングを逃さず、適切な物件を押さえられます。

なお、大手ファミレス(ファミリーレストラン)の場合、不採算店舗は、早期に撤退することが少なくないので、閑古鳥が鳴いているファミレスは常にチェックして、撤退したらすぐ店舗を確保できるようにしておいたほうがいいでしょう。撤退情報など、有益な情報をいち早く教えてもらうために、不動産屋さんには日頃から礼儀正しく、密に接し、良い関係を築くことが大事です。良い物件を得るコツは、日々の地味な努力の積み重ねです。

教育サービスフランチャイズについての気づき

――なるほど。ところで、飲食店フランチャイズを手掛けられた後、教育サービスフランチャイズを始められました。教育サービス事業についての気づきなどをお聞かせください。
岡田 教育サービスにおいても、知名度は集客に大きく影響します。教育サービスは、通塾生の成績が上がったなどの口コミで、生徒集めに拍車が掛かるので、基本的に立ち上がりに時間がかかります。知名度が低いと、最初の生徒の集まりから、ゆっくりになるので、一層時間を要します。
また、通常、家計の余力分を教育への投資に回しますから、教育サービスの料金が地域の経済力から見て高めの設定になっていると、集客は非常に難しくなります。フランチャイズ加盟前に、料金設定が開業予定地域の経済力に合ったものか、十分に検討する必要があります。

人の問題で悩み、人材教育に力を入れるようになった

――フランチャイズ事業を始めたものの、人材募集、教育で試行錯誤する加盟者は少なくありません。岡田さんはいかがでしたか。
岡田 初めて、焼肉店フランチャイズの店舗を出した時に、人の獲得、教育、定着の難しさを痛感しました。なかなか人が集まらない。やっと雇っても、シフトの時間を守らないなど、社会常識に欠けた行動を取ったり、すぐ辞めてしまったり...。当時、私は、高校生、大学生のアルバイトスタッフに接するのは初めて。彼らの考え方や気持ちが分からなかったので、なぜこういう状況になるのか理解できず悩みました。

――経験を積まれた現在は、いかがですか。人の問題全般についてどのように考え、対応していますか。
岡田 今では、スタッフを家族同様に大切にしない限り、スタッフはついてきてくれないと考えています。また、多くの若いスタッフは、「仲間に会えるから」、「サークル活動みたいで楽しいから」といった理由で働いています。彼らを大事にする一方、仕事への責任など、社会常識はきちんと教えるようにしています。

基本的に、スタッフは、各フランチャイズ本部が用意しているスタッフ向け研修を通じ、教育しますが、現場での指導や信頼関係づくりは、各店の店長に任せています。信頼関係の第一歩は、相手に関心を持つこと。店長には、最低でも、スタッフの住所と通っている学校を頭に入れてもらいます。万一、遅刻が目立つなど、スタッフがルールを守らない場合、相手が問題を抱えていないか、生活面にも踏み込んで状況を聞き、必要に応じて、問題解決のサポートができないかを考えます。時間と手間をかけ、一人一人のスタッフに向き合っていくと、こちらの気持ちが相手にも伝わるもの。信頼関係ができれば、スタッフは「この店長のために働こう」と考えてくれるようになります。

一層の事業拡大を目指して

――人材教育の充実は、事業拡大に欠かせません。今後の発展のために、教育をどう進めていくお考えですか。
岡田 実は、2008年から、自社で本格的に、社員教育に取り組み始めました。店舗数が増え、私が社員やパート・アルバイトスタッフと直に触れ合う機会が減ってきたためです。  

自分の仕事や人生に対する想いを、経営理念の形にまとめ、会議や年一回の決起大会で唱和したり、理念を共有する目的で合宿したり、お互いに褒め合う仕組み「サンクスカード」などを導入しました。教育開始から5年後の2013年に従業員満足度調査を実施したところ、7割以上の従業員が、(弊社の店舗には)「仕事の楽しさ、やりがい、仕事仲間への信頼がある」と答えてくれました。

今後は、社員教育を一層充実させ、さらなる従業員満足の向上、ひいてはサービス品質、顧客満足、業績の3点についての向上へとつなげてゆく考えです。
――フランチャイズ本部の力を活用するところと、自社で努力するところをわきまえて、成長されているようです。今後のご発展をお祈りしています。

岡田氏の想いを明文化した経営理念(岡田食品惣菜ホームページより転載)
岡田氏の想いを明文化した経営理念(岡田食品惣菜ホームページより転載)

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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