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連載コラム

第66回 加盟者事例(14)「本部から繁盛店を譲り受けたものの、弊社で運営を始めた当初は、売り上げが伸び悩みました。原因は...」(株式会社エイト取締役 営業部長 辻憲昌さん)

[ 2014年7月1日 ]

株式会社エイトが本部からはじめて買い取った繁盛店は、当初、売り上げが伸び悩んだそうです。しかしその経験を以降の繁盛店買い取りに活かし、同社は成長しました。今日までのフランチャイズ事業で学んだことを伺いました。

3業態のフランチャイズを手掛ける、年商15億円の加盟社

エイト取締役営業部長 辻 憲昌氏
エイト取締役営業部長 辻 憲昌氏

――まず、株式会社エイトについて教えてください。
 弊社は、1976年設立、本社を大阪府吹田市に置いています。もともとはコンピューター・ソフトウェア開発・販売会社でしたが、現在は、フランチャイズ加盟店運営専業で、CD/DVDレンタル・販売、本・ゲームリサイクルショップ「TSUTAYA」5店舗、中古書店「ブックオフ」2店舗、カフェ「カフェ・ド・クリエ」3店舗を手掛けています。正社員24人、パート・アルバイトスタッフ約220人に支えられ、2012年度年商は約15億円になりました。

――辻さんは、御社で展開されているフランチャイズ事業にどうかかわっていらっしゃいますか。
 私は、フランチャイズチェーンの調査、選択を始め、フランチャイズ事業運営全般を見ております。

初めての繁盛店買い取りで、つまずいた理由とは?

――初めてのフランチャイズ事業は、1986年に出店された「TSUTAYA」と伺いました。
 ええ。当時は、まだ数える程しか店舗数がなかったのですが、レンタルビデオ市場が右肩上がりの時代だったので、加盟、開業したんです。弊社にとっての「TSUTAYA」加盟店1号店、2号店は自社でゼロから立ち上げましたが、3号店に当たる大阪府吹田市の江坂店は本部から買い取りました。繁盛店だったのですが、譲り受けてから伸び悩みました。

――なぜ伸び悩んだんでしょう。
 一番大きな理由は、江坂店をアルバイトスタッフごと譲り受けたにもかかわらず、スタッフに、弊社が店舗を運営することになったと、事前にちゃんと伝えなかったことです。スタッフからすると、突然、直営店から加盟店に変わり、見ず知らずの新しい店長がやってきたわけです。混乱して不安になったり、いきなり現れた「よそ者」店長に反感を持ったかもしれません。実は、この時の「よそ者」店長が私なんです(笑)。

 江坂店はオープンから10年以上経った店舗でしたから、スタッフの間には前の店長の店舗運営スタイルが定着していました。だから、私のスタイルになかなか合わせてもらえなくて、指示すれば指示通りに動くだけで、こちらの要望を察して、より良いやり方を探ったり、提案してくれたりなどといったことはありませんでした。スタッフと私との距離感はなかなか縮まりませんでしたね。

 スタッフとのギクシャクした関係が原因なのか、売り上げは落ちることはありませんでしたが、本来もっと売れる店舗なのに伸び悩むことに。私は3カ月ほど孤軍奮闘しましたが、結局新しいスタッフを投入、売り上げは徐々に伸びるようになりました。

繁盛店を円滑に引き継ぐためには?

――その後も「TSUTAYA」の繁盛店を3店舗ほど買い取られたと伺いました。初めて買い取った時の経験を活かし、2度目以降の買い取りでは、買い取る店舗のスタッフにどのように対応されましたか。
 前もって、個々のスタッフと2回面談するようにしました。最初の面談では、弊社がどういう会社かを説明して、いっしょに働いてもらえそうか考えてくれるようお願いし、2回目の面接で返事を聞かせてもらいました。この方式にしてからは、比較的円滑に店舗を引き継げるようになりました。

 初めて店舗を買い取った時の苦い経験から、繁盛店であり続けるには、アルバイトスタッフがどうすれば気持ちよく働いてくれるかを真剣に考えて、実行することが大切だとわかりました。今では、各種社内コンテストの開催、月間MVP選出など、スタッフを適切に評価する場をつくったり、懇親会で、「お客様に喜んでいただける店舗を作りたい」という弊社の思いを語ったりなどして、スタッフと目指すところを共有するようにしています。

――他に、直営店を買い取る際の注意点などがあればお聞かせください。
 オープン後どのくらいたった店舗かは、重要なチェックポイントです。オープンから買い取るまでの期間が長い店舗ほど、スタッフは前店長のカラーに染まっているもの。10年以上経過した店舗では、それまでの店舗運営スタイルがスタッフに浸透しています。それだけ、新しいやり方になじむのに時間がかかりがちです。

 一方、オープン後数ヶ月の直営店は、売り場のレイアウト、POPなどの販促ツールに本部の最新ノウハウが反映されているし、スタッフは新しい教育システムで育てられています。こういう店舗を買えば、最新ノウハウをまるごと吸収できます。

「TSUTAYA」北千住店
「TSUTAYA」北千住店
「カフェ・ド・クリエ」 TSUTAYA北千住店
「カフェ・ド・クリエ」 TSUTAYA北千住店

中古書店で、CD/DVDレンタル店のメリットを活かし、デメリットを補完する

――御社は、適宜繁盛店を買い取りながら「TSUTAYA」事業を拡大させた後、2番目のフランチャイズ事業として、中古書店「ブックオフ」を始められました。なぜ、「ブックオフ」だったのでしょう。
 まず、収益性、そしてレンタル業「TSUTAYA」との親和性、さらに「TSUTAYA」事業で得た弊社のメリットを活かす一方、デメリットを補完する狙いで加盟を決めました。

――「TSUTAYA」事業で得たメリットとデメリットを具体的にお聞かせください。
 メリットは、売れる店づくりのノウハウ。弊社の「TSUTAYA」北千住店は、本部から「レンタル売り上げ最優秀店舗」として表彰されたことがあります。売る力には自信があったので、これを「ブックオフ」事業に活かせば、いい結果が出せると考えました。

 逆に、デメリットは、スタッフの間で"商品を大事にする"意識が十分育たなかったこと。「TSUTAYA」事業はシステムがしっかりしているので、加盟店はラクができるんです。ラクして儲かると、人は物事を考えなくなる。私は、一時期、弊社スタッフも考えなくなりかかっていると感じていました。そう感じたのは、スタッフが商品を床に置いているのを見たときです。もし、料金を払ったお客様に、さっきまで床に置いてあった商品を手渡したら、お客様はどう思うか。商品を大事にすることはお客様に喜んで頂くことにつながるのに、そこまで考えが及ばなくなっている。これは危険な兆候です。

 一方、「ブックオフ」は、自然に商品を大事にするようになる商売だと考えました。お客様の持ち込みで品揃えをするため、中にはなかなか手に入らない商品があるし、入ってきた商品は汚れを落とす作業を経ないと店頭に並べられない。時間と手間をかけて品揃えをすれば、商品への愛着もわきます。この事業なら、スタッフの"商品を大事にする"意識を刺激できるように思ったわけです。

――なるほど。実際に「ブックオフ」を始めてみて、狙い通りの効果は出ましたか。
 売れる店づくりのノウハウは活かせました。弊社にとっての「ブックオフ」一号店は、弊社の「TSUTAYA」北千住店が1階、2階に入っているビルの3階に出店しました。この店舗は、「ブックオフ」の100坪~150坪クラスの店舗の坪当たり売り上げで、ずっとトップクラスでした(※取材時点)。
 「TSUTAYA」事業で培ってきた店頭POPや、当時は珍しかった特定分野の商品のコーナー作り、例えばF1に関連した商品を集めた"F1コーナー"などで集客し、売り上げを伸ばしました。

――「ブックオフ」は、スタッフの"商品を大事にする"意識を育むきっかけになったようですか。
 はい、なったと思います。例えば、「ブックオフ」フランチャイズの接客コンテストは、とてもレベルが高い。弊社店舗スタッフもコンテストに参加して刺激を受け、これが「TSUTAYA」事業のスタッフにいろんな形で伝わりますから。

今後の夢とフランチャイズ事業を成功させるためのアドバイス

――さて、3つめのフランチャイズ事業は「カフェ・ド・クリエ」。初めて飲食分野に進出されました。どういう点に注目してカフェフランチャイズを選びましたか。
 手頃な開業資金、事業の収益性、本部の事業に対する思い入れ、加盟者に対する姿勢といったところでしょうか。
 本部の事業に対する思い入れ、加盟者に対する姿勢は、本部担当者との話から感じ取れます。カフェ・ド・クリエの場合、「一杯のコーヒーでお客様にくつろいでいただきたい」という本部の思いが伝わってきたし、厳しく指導する時もあるが、加盟店の意見には耳を傾けるという姿勢が感じられました。弊社としても「このチェーンに加わって、いっしょに成長していきたい」と思うようになり、加盟を決めました。
 在庫不要の飲食分野は、今後、力を入れていきたいんです。さすがに最初から重飲食はしんどいので、カフェ事業を手始めに、これから、しっかり飲食事業に取り組んで行きます。
――最後に、フランチャイズ事業を成功させるためのアドバイスをお願いいたします。
 大切なのは、アルバイトスタッフといいチームを作ること。手がけているフランチャイズ事業で何を実現したいのかという経営側の思いをスタッフと共有し、いっしょに店舗を盛り上げていけるようにすることです。
――貴重なお話をありがとうございました。

「大切なのは、アルバイトスタッフといいチームを作ること」
「大切なのは、アルバイトスタッフといいチームを作ること」

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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