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連載コラム

第74回 加盟者事例(18)「多店舗化で人を育てた。店舗が増えると情報量も増え、人が速く育つ」 (映クラ(えくら)株式会社 代表取締役 山西 佑育(やまにし ゆうすけ)さん)

[ 2015年3月2日 ]

広島県福山市に拠点を置く映クラ。FC(フランチャイズチェーン)事業5業態の加盟店40店舗を展開中。フランチャイズの選び方、これまでに直面した課題などについて伺いました。

飲食・小売のフランチャイズ事業5業態の加盟店40店舗を展開中

映クラ(えくら)代表取締役 山西 佑育氏
映クラ(えくら)代表取締役 山西 佑育氏

――映クラ(えくら)がどういう会社か、お聞かせください。
山西 映クラは、1979年5月設立。広島県福山市に本拠を構え、広島県・岡山県内で飲食店、小売店などを50店舗以上展開しております。

その内、フランチャイズ加盟店は、炭火焼き鳥店「八剣伝」10店舗、居酒屋「酔虎伝」1店舗、中華食堂「大阪王将」13店舗、中古車買取販売店「ラビット」4店舗、コンビニエンスストア「ファミリーマート」12店舗、合計40店舗です。
正社員 113名、パート・アルバイトスタッフは511名、2013年度年商は59億7617万円です。
――なぜ、フランチャイズ事業を手掛けられるようになったのでしょう。
山西 20年程前、自ら立ち上げたビデオレンタル店を約20店舗運営していたのですが、事業の将来性に強い危機感を感じるようになりました。それで、フランチャイズ加盟による異分野進出を考え始めたんです。

なぜ、「小商圏」を条件にフランチャイズを選んだか

ラビット 福山蔵王店
ラビット 福山蔵王店

――フランチャイズ事業を選ぶ際の条件をお聞かせください。
山西 主な条件は、需要の安定性、5万人ぐらいの小商圏で成立すること、広島・岡山エリアに出店余地があることなどでした。飲食店フランチャイズの多くは、需要の安定性、5万人ぐらいの小商圏という条件を満たしていました。外食需要は常に存在しますし、一般の飲食店フランチャイズは客単価が低く、大半の人が日常的に利用するので商圏が小さい。

そこで初めてのフランチャイズは飲食店に絞って探し、当時、近隣にまだあまり出店していなかった八剣伝フランチャイズにたどり着きました。近くに出ていた「つぼ八」の店舗が繁盛していたので、居酒屋系はイケるだろうと考えたんです。

――加盟条件は、「需要の安定性・小商圏・出店余地」とのお話でした。需要が安定していて、出店余地がある点は、事業を行う上ではずせない条件です。最後に残った条件、小商圏にこだわられた理由はどこにあったのでしょう。

山西 エリア内での多店舗展開を狙っていたからです。最初に市場調査を行い、20店舗程度をどこに出すか決めてから、実際に出店を始めました。なぜ、多店舗展開を狙ったかというと、人を育てたかったからです。店舗が多くなれば、集まってくる店舗運営についての情報量が増える。情報量が増えれば人の成長速度はアップします。3店舗あれば店長会議が開けるんです。会議でそれぞれの抱えている課題や解決策などの情報を共有すれば、店長一人当たりの情報量が増えるので学習スピードがアップし、速く成長してくれるわけです。

他にも、多店舗展開していれば店長の孤立を防げます。各店舗では店長だけが唯一の社員。残りのスタッフは全員パート・アルバイト。店長は、孤独を感じがちなんです。孤独感が気分的な落ち込みを呼び、それが売上不振、離職につながるのはよくあること。でも会議で顔を合わせる店長仲間がいれば、お互いに仲間同士で支え合えます。また、積極的に出店するので社員に「次は自分が店長に」という夢を与え、やる気を起こさせたり、定着率をアップさせたりできます。

店舗数の伸びに連れ、店舗運営のレベルが上がってきた

大阪王将 広島可部店
大阪王将 広島可部店

――大体何店舗ぐらいまでは人に関しての苦労が多かったですか。また、具体的にどのような苦労がありましたか。
山西 2店舗~3店舗が一番多かった。飲食、小売といろいろ事業を手掛けましたが、どの業態でも2店舗~3店舗が苦しかった。「この人なら」と感じる人材になかなか巡り会えないし、人も育ちにくい。出店したくても店長候補がいない。「開店時間なのに店舗がオープンしていない」なんてことは日常茶飯事。研修に出した店長候補が、研修の途中で姿を消してしまったことも(笑)。それが10店舗ぐらいになってくると、店長候補が自然に出てくるようになります。

――現在、フランチャイズ加盟店だけで40店舗を展開されています。ここ最近で、人が育ってきたと感じた例を挙げていただけますか。
山西 弊社では現在、中華食堂フランチャイズ「大阪王将」の加盟店13店舗を運営しています。弊社の笠岡店が、大阪王将の「オーナーフォーラム2014」で、QSCの高さやチームワークなどを評価され、370店舗以上を数える大阪王将の中で、もっとも輝いた店舗として『KING OF OSAKA OHSHO』のグランプリに選ばれました。

「突然のできごと」本部の誠意が感じられなくなった

――さて、2番目に手掛けたフランチャイズは中古車買取販売店「ラビット」と伺っております。御社が手掛けているフランチャイズの中で、ラビットだけが客単価約50万円で、商圏が広いです。
山西 ええ。実は、最初は別の中古車買取販売店フランチャイズに加盟していたのです。地元商工会のセミナーで、初めてその中古車買取販売店を知りました。当時、これまでにない全く新しいビジネスモデルだったので、小商圏の事業ではなかったのですが、「これは面白い」と加盟しました。オープンした加盟店は繁盛しましたが、ある日突然、弊社店舗から2㎞~3㎞のところに、直営店が出店してきたんです。事前に何の知らせもなく。

こちらの店舗への影響は少なからずありますし、この直営店について本部と何度かやり取りしました。しかし、お互いの意見が一致せず、結局そのフランチャイズ事業をやめて、ラビットに加盟し、新しい店舗を出しました。最初の店舗は繁盛店だったし、社員は嫌がりましたよ。でも、本部の誠意を感じられなくなったら、フランチャイズ事業は続けられない。

ブランド名を変えての再出発はラクではありませんでしたが、時間をかけて最初の店舗より高い売上と利益を出せるようになりました。

――本部との信頼関係はフランチャイズ事業に不可欠です。『本部の誠意を感じられなくなった』というのは厳しい経験でした。それでは、逆に、本部の誠意を実感したことはありますか。
山西 ええ、もちろんあります。特に強く感じたのは大阪王将。例えば、餃子キャンペーンで餃子を安く売る時、いつもと同じ原価率にしてくれるんです。安売りしてもちゃんと利益が出るよう調整してくれるわけです。こういう本部の対応はあまり聞いたことがありません。めったにない、温かみのある本部だと思います。

料理スタッフの定着が良くなかった時、どうしたか?

――大阪王将の店舗運営の方はいかがですか。
山西 一時期苦労がありました。
大阪王将では基本的に、社員である店長が料理人も兼ねます。店長が鍋を振る一方、接客もするわけですが、弊社の店舗ではこのスタイルがなじまなかった。接客がおろそかになるのか、クレームの7割~8割が接客に集中してしまった。それで、店長には接客のみ担当してもらい、別に料理担当スタッフを雇うことにしました。ところが日本人スタッフを入れても定着してくれなくて...。結局、中国で10年以上中華料理の料理人をしていた中国人スタッフを雇うことにしました。

現在、中国人スタッフ30人が契約社員の立場で在籍しています。今後は永住ビザを取ってもらい社員として活躍して欲しいと考えています。中国人スタッフに意向を尋ねたところ、全員OKでした。OKをいただけた理由の中には、各店店長の面倒見がよく、それぞれの職場でいい人間関係が築けていることがあると思います。

社員の定着率を上げるには

――職場の人間関係が良好なのは、人が育ってきている証の一つといえそうです。御社は、これまで多店舗化で人を育ててこられました。店舗数が少なかった頃と現在を比べてみていかがですか。
山西 以前に比べれば定着率はいいですが、まだ道半ばです。最近では、社員一人当たり年4回~6回の割合で、外部の講師を招いたり、先方に派遣したりして人材教育を受けてもらっています。教育に力を入れると会社への帰属意識が強まり、定着率も向上するように感じます。ひとつの会社に定着することは、社員のスキルアップにつながりやすい。転職を繰り返しながら歳を重ねると、多くの場合スキルを磨く機会を失い、収入は減少する。これでは幸せな人生を歩めない。私は社員に幸せになって欲しい。そのためにも教育に一層力を入れ、定着率を上げていきたいです。

ですから、教育の他に、社員の状況を把握し、快適に働ける環境を整える社員管理にも力を入れています。現在、毎月の会議で社員(店長)と顔を合わせる他、最低年2回は店舗を見に行って、社員一人当たり20分程度かけて面談するようにしています。結婚した、子どもが生まれて家族が増えたなどプライベートな環境の変化を聞き、本人が希望すればより働きやすい職場に移動してもらうなど、配慮をしています。

――最後に、フランチャイズ加盟店が人を育てる上でのアドバイスなどありましたらお願いいたします。
山西 基本的なことですが、あきらめず続けるしかない。フランチャイズでよくあるのが、自分のところのスタッフを、優秀な加盟店オーナーの店舗の見学に行かせること。残念ながら、同じ店舗を見ても、現場スタッフは、オーナーと同じくらい感動して熱くなることはあまりない(笑)。それでもあきらめず、優れた店舗との交流機会を設けたり、自分の店舗のスタッフに声をかけ続けることが大事です。
――ありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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