連載コラム

第81回 障がい者サポートサービス

[ 2015年9月30日 ]

 今回ご紹介するフランチャイズは、コミュニケーション力育成プログラムで支持集める「放課後等(ほうかごとう)デイサービス(※)」、運営指導SV(スーパーバイザー)に加え、障がい児の発達支援専門スタッフも置いたダブル支援体制の「放課後等デイサービス」、売り上げは介護保険から払われる事業報酬という「障がい者就労支援サービス」です。
※放課後等デイサービス:発達障害などの障害を抱えた7歳から18歳(最長20歳)の児童生徒対象の学童保育

[事例1] 放課後等デイサービス「ハッピーテラス」

(フランチャイズ本部:ハッピーテラス株式会社)
http://www.a-t-company.jp/excellent/dayservice/
※ATカンパニー株式会社はハッピーテラスのフランチャイズ展開をサポートしている
~コミュニケーション力育成プログラムで保護者の支持集め、拡大中~

売上の約9割は行政からの報酬、障がい児向けの新しい福祉事業
 ハッピーテラスは、コミュニケーション力育成トレーニングを行う「療育型」の放課後等デイサービス。トレーニングは、障がいで悩む子ども達が、電話で聞いたことをちゃんと書き留めたり、一人で買いものをしたりするなど、社会生活で求められる一般的なコミュニケーション力を磨くものです。「療育型」デイサービスがまだ少ないこともあり、ハッピーテラスは、特に発達障害を抱えた子どもの保護者から大きな支持を集めています。

 放課後等デイサービスの事業としての特徴は、まず、利用者が7歳~18歳までの長期間にわたって利用するサービスであること、それから行政から報酬を得る指定事業であることです。行政からの報酬は、売上の約9割を占めます。

 放課後等デイサービスの平均報酬は9,000円~10,000円(利用者1人1日当たり)、その内約1割が基本的に利用者負担。定員10名の施設の場合、損益分岐点の目安は利用登録者数25名~30名ぐらいで、ハッピーテラスでは、この人数は開所から早くて4カ月、通常半年程度で集まります。投資回収目標は2年半。加盟店の想定売上は、月商約260万円、年商約3,200万円です。

加盟者に対するオープン前研修、オープン後のサポートについて
 加盟者は主に保護者への対応、教室全体の管理にあたり、子どもの専門的なケアやトレーニングは、資格と実務経験のある教室スタッフが中心になって行います。また、本部によるオープン前研修、オープン後のサポートで、加盟者は利用者募集、障がいについての知識や子どもの指導方法、子どもや保護者への対応、教室運営全般について指導を受けることができます。

 ハッピーテラスで特にユニークなのは、まず利用者募集、そしてコミュニケーション力育成プログラムを担当する指導スタッフの教育です。まず、一般的な利用者募集手段である自治体担当者へのあいさつ回りに加え、「預かり型」デイサービスにハッピーテラス利用の提案を行うなど、斬新な手法で需要を掘り起こします。そして、指導スタッフにはプログラムの進め方などについて年3回の教育を実施、さらに保護者との個別面談や無記名式アンケートなどを通じ、スタッフ評価を行い、スタッフのやる気と指導力アップにつなげます。

 なお、加盟教室で対応の難しい課題については、直営教室スタッフや本部の介護福祉士など有資格スタッフに相談したり、課題と解決方法をフランチャイズ全体で共有したりできる体制を整えています。そのほか、利用者の出席管理など管理業務を効率化する独自システムも用意しています。なお、ハッピーテラスは、今後は、障がい者の就労支援事業など、サービスの幅を拡大し、総合福祉事業展開を視野に入れているということです。

加盟教室募集エリア 全国
チェーン展開開始年 2014年7月
直営教室数 / 加盟教室数(2015年9月24日末現在) 直営3教室 / 加盟16教室
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人約15% 法人約85%
加盟者全体に占める福祉関連業未経験者の比率 約80%
指定申請手続きなどの申請業務、開業に関する業務について 本部が代行(一部、加盟者業務あり)
オープン前の主な加盟店研修内容と日数 開業前研修1日、加盟店社内研修1週間程度、実地研修2週間程度。※累積120時間以上の研修。
オープン後のサポート内容 開業後1カ月研修、定期集合研修、電話メールサポート、臨店(必要に応じて)
ロイヤルティ 売上対比5~7%程度、業績連動
標準開業資金(物件取得費込み) / 標準店舗規模 約900万円 / 30坪前後
※別途運転資金6カ月分として600万円程度

加盟店オーナーからひとことコメント!
「『療育型』は珍しいので、自治体にあいさつに行くと歓迎されている感じ」
■わらび駅東口教室 (埼玉県川口市)オーナー 嶋田 悟志さん

「私は、高齢者対象の総合サービス会社を経営しています。この教室は開所からまだ1カ月弱。周囲に『預かり型』の放課後等デイサービスが36教室ぐらいありますが、このエリアでは放課後等デイサービスはまだ不足気味のようです。『療育型』は珍しいので、教室の見学者も多く、手応えを感じています。教室スタッフの集まりも非常に良いです」

※2015年9月オープン

ハッピーテラス代表取締役 上 岳史(うえ たけし)氏
ハッピーテラス代表取締役
上 岳史(うえ たけし)氏
ハッピーテラス
ハッピーテラス

[事例2] 放課後等デイサービス「おもちゃ箱」

(フランチャイズ本部:Fits横濱株式会社)
http://www.omochabako.net/lp/
~運営指導SVと発達支援専門スタッフの2名体制で加盟者サポート~

送迎付き放課後等デイサービス、料金の約9割を行政が負担
 おもちゃ箱の特徴は、障がいのある子どもへの対応経験豊富な本部スタッフが、子どもの発達支援専門スタッフとして、加盟教室を必要に応じて訪問、個々の子どもに合わせた指導やトレーニングなどについてアドバイスを行うことです。また、子どもの送迎も行っています。

 放課後等デイサービスは、行政による指定事業。そのため利用料金の約9割を行政が負担、必要以上に同業他社が増えることもありません。さらに多くの場合、このサービスは、日常的かつ長期にわたり利用されます。放課後等デイサービスは、安定性と社会貢献度の高い事業です。

 おもちゃ箱の平均客単価は10,580円(送迎費込み)。利用者の所得などによっても異なりますが、通常、料金の約1割を利用者が負担します。標準規模の教室(定員10名)では、利用登録者数25名~30名程度が損益分岐点。オープンから平均半年で損益分岐点をクリアしますが、中には1カ月~2カ月で分岐点を達成するところもあります。平均投資回収は1年半。加盟店の収益モデルは、月商約240万円、年商約2,880万円です。

本部同行などで「あいさつ回り」指導
 おもちゃ箱では、保護者対応や教室の管理・運営は加盟者が行い、子どもへの対応は、主に経験豊かな有資格の教室スタッフが担当します。本部は、3日間のオープン前研修で、子どもの発達や障がいについての全般的知識や対応方法、保護者や学校との連携の仕方、事業所の運営・管理、報酬の仕組みなどについて指導します。中でも利用者募集については、市区町村の福祉課、相談支援事業所、特別支援学校へのあいさつ回りを本部が同行して指導したり、利用者からの問い合わせへの電話対応などはロールプレイングなどを通じて教えたりします。

 また、オープン後は、直営事業所で経験を積んだSVが必要に応じ加盟教室を訪ね、運営全般をチェックしたり、教室スタッフの教育を行ったりします。さらに、例えば自閉傾向の強い子どもなど、より専門的なケアが必要なケースについては、先に触れた発達支援専門スタッフが加盟教室に出向いて指導します。

 本部は、煩雑な事務作業を効率化させるための請求ソフトを加盟者に提供しています。
なお、契約終了後、加盟者は同業での独立ができます。希望すれば、本部によるサポートを受けられます。

加盟教室募集エリア 首都圏エリア(東京、神奈川、千葉、埼玉)
チェーン展開開始年 2015年2月
直営教室数 / 加盟教室数(2015年9月24日末現在) 直営4教室 / 加盟4教室(※提携5教室)
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
個人約60% 法人約40%
加盟者全体に占める福祉関連業未経験者の比率 約40%
認可指定について 本部が代行
オープン前の主な加盟店研修内容と日数 開業前研修3日間。障がいについての知識や対応方法、保護者や学校との連携の仕方、事業所の運営・管理、報酬の仕組みなど。
オープン後のサポート内容 必要に応じ、SVと発達支援専門スタッフが臨店指導
ロイヤルティ 売り上げの7%
標準開業資金(物件取得費込み) / 標準店舗規模 約800万円※ / 25坪~30坪
※人材募集広告費など込み。別途運転資金6カ月分として600万円程度

加盟店オーナーからひとことコメント!
「開所から3カ月で利用登録者数13名、半年で損益分岐点は達成できそう」
■よつかいどう教室(千葉県四街道市)オーナー 渕上 浩司さん

「元自衛隊員で、放課後等デイサービス勤務経験があります。本部代表と会った時、『障がい者目線で教室運営できる人』だと感じて、加盟。例えば、子どもに机の角は危ないことを学ばせるために、敢えて角にカバーをつけず、『角に気をつけて』と言葉をかけるだけにするなど、本部は、保護者の方が本当に望んでいる子どもへの対応を指導してくれます」

※2015年7月オープン

Fits横濱代表取締役 澤田 恒彦氏
Fits横濱代表取締役
澤田 恒彦氏
おもちゃ箱
おもちゃ箱

[事例3] 障がい者就労支援サービス「レインツリー」

(フランチャイズ本部:株式会社ナチュラルライフサポート)
http://www.natural-life-support.com/
~ガーデニング作業を障がい者に提供、報酬は介護保険から払われる~

仕事の提供のみで、雇用なし
 レインツリーは、比較的軽度な障がい者に、主に、本部が行っているガーデニングサービス「グラスホッパー」での仕事を提供する福祉サービスのフランチャイズ。福祉分野未経験でも加盟できます。この福祉サービスは、「就労継続支援B型」と呼ばれる認可事業で、一般就労は困難な障がい者に雇用契約を結ばないで働く機会を提供するものです。

 グラスホッパーで得た売り上げは、経費を差し引いた上で仕事を引き受けた障がい者に工賃として分配します。一方、レインツリーの売り上げは、就労継続支援B型事業所に対し介護保険から支払われる事業報酬です。レインツリーの仕事提供サービス利用者数が1日当たり20名、1カ月で延べ400名ぐらいになると、平均月商は約360万円、年商約4,320万円になります。これだけの利用者数達成の目安は、事業所オープンから10カ月~12カ月ぐらいです。

ガーデニングの顧客、サービス利用者(障がい者)集めは容易
 加盟者の主な役割は、第一にグラスホッパーの顧客、及びレインツリー利用者(障がい者)の募集と対応、第二にレインツリー利用者とともにグラスホッパーに参加してガーデニングを行うことです。グラスホッパーもレインツリーもそれぞれ差別化されているので、顧客、利用者募集は比較的容易にできるそうです。

 まずグラスホッパーは、年間契約で毎月1回、約1時間4500円で一般住宅の庭や団地などの緑地を手入れするサービス。一回当たり少なくとも数万円かかる植木屋やシルバー人材センターに比べ、結果的に低料金になります。レインツリー本部によると、グラスホッパーのような定期的なガーデニングを行う業者はほとんど見当たらないので、タウン誌への記事広告やポスティング程度でそれなりの問い合わせがあるということです。また、就労継続支援B型事業所で、ガーデニングという仕事を提供するところは全国的にも珍しいそうです。樹木に触れるガーデニングは、利用者の心身に良い影響を与える特徴もあります。こうしたことから、レインツリーの利用者募集のために、就労援助センターや養護学校などにあいさつ回りに行くと、好反応が得られるようです。

 福祉分野未経験の加盟者が事業所長を務める場合、加盟者は主に顧客への対応、事業所管理全般を行い、利用者への対応は基本的にサービス管理責任者が担当します。サービス管理責任者とは、就労継続支援B型事業所に配置が義務付けられている社会福祉士などの資格と経験を持つスタッフです。本部はオープン前研修で、グラスホッパーやレインツリーの顧客、利用者募集方法、障がい者を利用者として受け入れる際のチェックポイント、顧客や利用者への対応など事業所運営全般、及びガーデニング業務などを加盟者に指導します。また、本部代表自らがSVとして臨店指導を行い、これまでの経験で培ったノウハウを加盟者に伝授します。

加盟事業所募集エリア 全国
チェーン展開開始年 2015年
直営事業所数 / 加盟事業所数(2015年9月10日現在) 直営2カ所 / 0カ所
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む)
加盟者全体に占める福祉関連業未経験者の比率
認可指定について 本部がサポートする
オープン前の主な加盟店研修内容と日数 事業所オペレーション及び管理者業務 10日 ガーデニング業務20日
オープン後のサポート内容 スーパーバイザーによる毎月1回の訪問指導(2年目以降は3カ月に1回)
ロイヤルティ 初年度月額20万円、2年目以降月額5万円
標準開業資金(物件取得費別) / 標準店舗規模 約1,000万円※ / 30坪
※加盟金0円。運転資金(6カ月分)600万円込み。

※レインツリーの「加盟店オーナーからひとことコメント!」は掲載していません。

ナチュラルライフサポート代表取締役 古里 靖氏
ナチュラルライフサポート代表取締役
古里 靖氏
レインツリー
レインツリー

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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