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連載コラム

第82回 加盟者事例(22)「弊社のはじめてのフランチャイズは、葬儀会館です」 (株式会社スミノ管理部長 安藤 修司さん)

[ 2015年10月29日 ]

アパレルを主要事業とする株式会社スミノ。同社管理部長である安藤さんに、葬儀ビジネス参入についての社内の反応から、葬儀会館の立地選び、スタッフ募集・育成、販促・営業などについて伺いました。

老舗アパレル会社、葬儀ビジネスに参入

ティア相模大塚スタッフの皆さん
ティア相模大塚スタッフの皆さん

――株式会社スミノについてお聞かせください。

安藤 弊社は、創業以来約60年にわたり、アパレルを主要事業としてきました。本社を神奈川県横浜市に置き、全国に40店舗を展開、売上高は約28億3千万円になります。来月(2015年11月)、葬儀会館フランチャイズ「ティア」の加盟店である「ティア相模大塚」をオープンし、弊社にとってのはじめてのフランチャイズ事業を本格的にスタートさせます。

――どういう経緯で、異業種から葬儀ビジネスに参入されることになったのでしょう。

安藤 少子高齢時代のアパレル業界はなかなか厳しく、弊社は、新分野にも進出して業容拡大を図ることになりました。新事業の条件は「息の長い事業であること」と「本業で培ってきた接客ノウハウが活かせるもの」。それで私は10年以上前からフランチャイズ・ショーなどの展示会に足を運ぶようになり、ファストフード、スイーツ、うどん、そばなど飲食店フランチャイズで何社か新事業候補を見つけましたが、最終的に役員会にあげたのは葬儀会館のティアだけだったんです。ティアには2013年3月のフランチャイズ・ショーで出会い、5月頃から詳しい話を聞き始めて、13年の12月の役員会で新事業として提案しました。

――なぜ、葬儀ビジネス、中でもティアだったのですか。

安藤 葬儀ビジネスに行き着いた最大の理由は、市場の成長性です。葬儀ビジネスフランチャイズの中でもティアを選んだのは、著名な大手企業が加盟していること、3カ月にわたるスタッフ研修などフランチャイズシステムの完成度の高さなどの点で信頼できたからです。候補に挙がったほかの事業は、一時的な流行で終わるリスクや本部企業の信頼度が高くないなどの理由で見送りました。

――葬儀事業なら、息の長い事業ですし、接客ノウハウも生かせるでしょうから、御社の新事業の条件にも合います。しかし一方で葬儀は特殊な仕事。葬儀事業参入について、役員会や社内の反応はいかがでしたか。

安藤 拒否反応のようなものはありませんでした。たまたま、社長が参列した葬儀に感動した経験があり、葬儀事業に前向きでしたし、「新分野に進出して成長を目指す」という考えが社内に浸透していましたから。葬儀事業参入はスムースに進みました。

――なるほど。それでは新事業として葬儀事業フランチャイズ「ティア」を選ばれて、具体的な出店計画はどう立てましたか。合わせて、売上予想についてもお聞かせください。

安藤 一定エリア内にドミナント展開して知名度を上げ、集客に結びつけるために、現時点では、神奈川県内に6年間で5店舗出店する計画です。会館オープンから2年ぐらいまでは知名度が低いので、売り上げをゆっくり伸ばし3年目に単年度の黒字化を目指しています。

葬儀会館事業の最初のハードル

ティア相模大塚イメージ
ティア相模大塚イメージ

――さて、ここからは葬儀会館出店について具体的に伺ってまいります。ティアフランチャイズは直営店43店舗と加盟店37店舗(※2015年11月オープン予定の「ティア相模大塚」含む)を合わせ、総店舗数が80店舗。2015年10月現在、加盟社10社全てが異業種からの参入ですが、本部指導やサポートにより、葬儀業界未経験の加盟社でも円滑に葬儀会館を運営できるとのことです。

御社の「ティア相模大塚」は来月オープン予定で、まだ本格営業前ですが、今日までに受けた本部指導やサポートの中で、異業種参入を可能にしていると特に感じたものがあれば、挙げていただけますか。

安藤 いろいろありますが、中でも強く感じたのは、葬儀会館の立地選びと「ティアアカデミー」というスタッフ研修です。まず、立地選びについては、本部は、本部に集まってくる立地情報の中から、人口や競合状況、面積などの点でティアの葬儀会館に適したものを選び、提案してくれました。いずれの提案もいいものでした。われわれは、提案された立地を検討して最終的な候補地を決めればいいわけです。

そもそも素人は、そういった立地情報を入手しにくい。特に都市部ではティアに適した広さ、賃料の立地そのものが多くないでしょうから、探し出すのは非常に難しい。おまけに、仮に情報が入ってきても何を基準に選べばいいか分からない。立地選びは葬儀会館事業の最初のハードルです。本部のサポートがないと、適切な立地選びはできないでしょう。

――本部のサポートで立地を選ばれたわけですが、決定に至るまでには、候補地の所有者が、葬儀会館建設に難色を示し、話が流れることなどがありましたか。

安藤 ありました。それで、立地を探し始めてから決まるまでに1年ぐらいかかりました。ただし、これは弊社のケース。土地の所有者の方にもよるので、すぐ決まる場合もあると思います。

スタッフの集まり具合と選定基準

――それでは次にスタッフ研修についてお聞かせください。今、人手不足に悩む企業は少なくありませんが、ティアスタッフの集まり具合はいかがだったでしょう。スタッフ募集の反応からお願いいたします。

安藤 「ティア相模大塚」は「セレモニーディレクター」と呼ばれる社員4名と事務のパートスタッフ1名で回す予定です。パート1名は一般から募集しましたが、セレモニーディレクターは本業のアパレル部門の社員から選びました。

パートスタッフ募集の反応は良かったと思います。事務職の募集だったためか、選ぶのに迷うぐらい良い人材が20名ぐらい応募してきてくれました。パート採用の立会、教育は本部のSV(スーパーバイザー)が担当してくれました。

――セレモニーディレクターの仕事は、どのようなものですか。また、どういう基準で選ばれたのでしょう。

安藤 セレモニーディレクターの仕事は、主にお通夜と葬儀の監督、そして販促・営業を行います。例えば、故人のご趣味などをご遺族から伺って、故人の好きだったものを反映させた葬儀をご提案するなど、セレモニーディレクターにはお客様の立場に立った創意工夫が求められるので、企画力がある人にはやりがいを感じられる仕事だと思います。

選定基準については、本部に相談しました。お客様の気持ちを察知して行動できる人は葬儀事業への適性があるとのことでしたので、接客力の高さを基準にしました。多少、力仕事がありますが、協力して対応すればいいので年齢、性別は不問。弊社では、本人たちの意向を確認した上で、40代~50代の男性3名、女性1名を選びました。

3カ月間のスタッフ研修、苦労した点

葬儀ホールイメージ
葬儀ホールイメージ

――セレモニーディレクターに選ばれた社員の方々が受けた研修「ティアアカデミー」は、ティア本部のある名古屋で座学とOJTを含み3カ月間実施されると伺っています。研修前後を比較して、社員の皆さんの変化などはいかがでしたか。

安藤 社員4名はいずれもファッション販売の経験しかなかったのですが、2015年5月~7月の研修で、葬儀の仕事を一通り経験して知識を叩き込み、一人で葬儀を取り仕切れるセレモニーディレクターになって戻ってきました。「一皮むけた」感じでした。
研修前、感受性の強い社員は、ご遺族の悲しみに共感しすぎて辛くなるのではないかと心配していましたが、実際は仕事と割り切って対応できたので大丈夫だったようです。

――ご遺体に触れることについての不安や苦労については、いかがでしたか。

安藤 不安や苦労はあったと思います。最も苦労したのは、葬儀についての用語など暗記することが多かったことだと聞いています。覚えないと本部からOKが出ないので、仕事を終え、自室に戻ってから暗記するなど努力したとのことです。また、OJTでは緊張したようです。何しろ葬儀業に就くのははじめての経験ですし、ご遺族にとってはたった一度の大切なセレモニーで失敗は許されませんから。

――社員の皆さんが、本社から遠く離れた地域で長期間の研修に参加するに当たり、会社として、どのような対応をされましたか。

安藤 まず、社員には研修内容について毎週レポートを送ってもらい、状況を把握していました。それから社長、役員、私も含め研修している名古屋まで出向き、社員と会食をして、話を聞き、労をねぎらうこともありました。また、ティア本部も、弊社社員と密にコミュニケーションしてメンタルな負担を和らげてくれたと聞いています。

――社員の方々は、会社の側面からの支えも受けながら、研修でセレモニーディレクターへと育っていったようです。

楽しいオープンイベントも実施、販促・営業活動

――先程セレモニーディレクターの仕事は通夜と葬儀の監督のほかに、販促・営業もあるとのお話がありました。来月のオープンに向けて、これまでにセレモニーディレクターはどのような販促・営業を行ってきましたか。

安藤 7月の研修終了後、8月からチラシ、ポスティング、地域の皆様を1軒ずつ訪問するドアコ-ル営業などに本腰を入れ始めました。10月までにチラシは約126万部をまき、ポスティングとドアコールはお寺さんや自治会なども含め、約1万5000軒に対し行いました。

8月からの営業活動本格化に伴い、本部SVが電話やメールはもちろん、一週間に一回ぐらいの割合で頻繁にやってきては指導してくれています。また、葬儀会館オープン前後1カ月はSVがこちらに滞在し、サポートに入る予定です。セレモニーディレクターは葬儀を一人で執り行えるようになったというものの、研修から数カ月たっていますから、SVのサポートは心丈夫です。

――ティアでは販促・営業活動で、様々な特典付きの「ティアの会」への入会を促すということです。ティアの会会員は将来のティア利用者です。会員獲得状況など販促・営業活動の効果のほどはいかがですか。

安藤 活動を始めた8月は、まだ葬儀会館のオープン前で知名度が低く厳しかったのですが、9月に入ると徐々に入会者が増えてきました。

――いよいよ11月には葬儀会館がオープンします。最後に、今後の販促・営業活動の予定をお聞かせください。

安藤 葬儀会館としては珍しいのですが、商業施設などでのイベントを積極的に開いて一層知名度を上げ、ティアの会会員獲得に結びつけていきます。11月のオープン見学会では抽選会を開いたり、屋台を出したりなど、子どもさん連れでも楽しめるようなものにして、大勢の方に集まっていただこうと、ティア本部とも話しています。本部は豊富なイベント開催経験がありますし、具体的な内容は、本部の知恵を借りて、これから詰めていく予定です。

――貴重なお話をありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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