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連載コラム

第84回 加盟者事例(23)「2つのフランチャイズで売上日本一、現場に任せた結果です」(イッツ・コーポレーション株式会社 オーナー 小池 則雄さん)

[ 2015年12月28日 ]

アイスクリームショップ「サーティワンアイスクリーム」、中古釣具店「@タックルベリー」の2つのフランチャイズで売上日本一に輝いたイッツ・コーポレーション。同社オーナーの小池さんに、フランチャイズ選び、立地選定、店舗運営の仕方など、フランチャイズ事業運営のポイントを伺いました。

一番重要なのは、本部が加盟店の自主性を認めているか

イッツ・コーポレーション オーナー 小池 則雄氏
イッツ・コーポレーション オーナー 小池 則雄氏

――イッツ・コーポレーションの紹介からお願いします。

小池 本社を和歌山市に置く、フランチャイズ加盟店運営を主要事業とする会社です。現在「サーティワンアイスクリーム」32店舗、「@タックルベリー」6店舗、サンドイッチ店「サブウェイ」1店舗の加盟店を展開しています。売上高は約22億7000万円 (2015年3月期決算時点)、従業員数は488名うち社員48名(2015年11月現在)です。

――はじめてのフランチャイズはサーティワンアイスクリーム。たまたま知人から店舗の買い取りを持ちかけられたのがきっかけで、フランチャイズ事業を始めることになったと伺っています。いわば偶然から参入したフランチャイズ事業ですが、今では、どういう点に注意してフランチャイズを選ばれていますか。

小池 フランチャイズ選びで一番大事なのは、加盟店の自主性を認めている本部かどうかだと考えています。地域の状況は、それぞれ異なるし、それを一番よくわかっているのは現場の人間。もし、地域の状況を十分把握しきれていない本部が、商品を売ることに力を入れすぎて、加盟店のありようをむやみに統一しようとしたらどうなるか。加盟店は状況に合わせた店舗展開が難しくなり、やる気をなくしてしまいます。

偶然始めたサーティワンアイスクリームに本気で取り組むようになった理由の一つが、当時の本部トップが加盟店の自主性を認めてくれたから。フランチャイズのコンセプトなど基本を踏まえれば、後の店舗運営は任せると言ってくれたからなんです。

――地元に合った柔軟な店舗運営ができにくくなってしまうと、売上にも悪影響が出て、事業としての魅力も半減しそうです。

いい物件を押さえるには

次に立地選定について伺います。同じフランチャイズの加盟店は全く同じ事業を行うにもかかわらず、加盟店間で売上格差が生じます。その主な原因の一つが、店舗の立地。小池さんが2つのフランチャイズで売上日本一を実現できたのは、的確な立地選びをされたからだと考えられます。立地選定で大事にされていることを挙げていただけますか。

小池 日頃から、出店するのに適した場所の当たりをつけておくことです。事前に店を出したいエリアに何度も足を運び、現場を見て良さそうな場所を絞っておくんです。いい物件を押さえるのはスピード勝負。当たりがついていれば、該当の場所に物件が出た時に、即決できます。

それからサーティワンアイスクリームの場合は、物件の視認性、人通り、交通量の多さより、立地の空気感を重視して選びます。サーティワンアイスクリームは、ただアイスクリームを売るだけの店ではない、アメリカの明るく陽気なカルチャーを売る店、夢を感じてもらう店なので、立地もそんな店にふさわしい雰囲気のあるところを選ぶわけです。

ちなみに、そういう店舗ですから、店舗デザインもネオンなどにこだわって、おしゃれにします。不思議なもので、お客様は200円~300円のアイスクリームをおしゃれな店で買うと割安に感じますが、コンビニのようなキヨスク型の地味な店で買うと高く感じるんです。

――なるほど。ところで@タックルベリーの立地選定についてはいかがですか。

小池 サーティワンアイスクリームのような空気感重視ではないです。サーティワンアイスクリームはお客様の9割が女性で、売るのも女性ですが、@タックルベリーは逆。売るのも買うのも男性。店舗スタッフとお客様がいっしょに釣りに行ったり、店舗主催のコンペを開いたりする中でいい人間関係をつくり、それが「これ買ったほうがええわ」「こんなん売れる?」と、商売につながっていく店ですから。

――立地の選定基準は、店舗の特徴で変わるわけですね。

ネオンにもこだわり、夢を感じさせる店に(豊中店)
ネオンにもこだわり、夢を感じさせる店に(豊中店)

売上日本一につながった「現場任せ」

――ここまで、フランチャイズや立地選びの基準について伺ってきました。ここからは、いよいよ具体的な店舗運営の仕方についてお聞きしていきます。前述の立地選定同様、店舗運営のあり方も加盟店の売上格差を生む原因の一つ。小池さんの会社では、各店店長に決定権と責任を与える自主運営方式を採用されています。その特徴を詳しくお聞かせください。

小池 店舗の業績などに連動して、店舗スタッフの時給や給与が上がる仕組みです。また、スタッフ全員が店舗の経営状態を正しく把握して、本気で店舗運営に臨むよう、弊社の数値管理システムにより、弊社が運営する各店舗の売上や利益、原価、スタッフの時給などの店舗データは、幹部から社員、アルバイトに至るまで誰もが見られるようになっています。さらにこのシステムを使えば、過去のデータに基づき、月々の売上などが予測できます。アルバイトでも、売上予測を見て経費を抑える工夫をするなど、先手を打てるようになっているわけです。

原則的に店舗の運営は店長に任せ、オーナーや幹部社員は一切口出ししませんが、店長のサポート役としてマネージャーを置いています。また、月1回~2回はミーティングを行い、「あのスタッフはこっちの店の方が向いているのではないか」と、店長や店舗との相性を考えながら、スタッフがより活躍できる店舗を検討したりなどします。それから、オーナーである私は、店長、マネージャーからの日報メールと日々の店舗の数字を見て各店舗の状況を把握しています。この店舗運営方法はサーティワンアイスクリームと@タックルベリー両方に取り入れています。

――店舗ごとの自主運営はいつ頃、なぜ開始されたのでしょう。

小池 サーティワンアイスクリームの多店舗展開に乗り出す際、店舗の運営は現場に任せようと考えました。フランチャイズ事業では、利益を生み出す要因は、フランチャイズのブランド力や商品力が5割、店舗の立地が3割、店舗スタッフの力が2割というところです。優秀なスタッフがいれば、お客様は「この店いいわ」と店舗を利用してくれるんです。従って、スタッフの中心はアルバイトですが、利益を出すためには、彼らを接客力、アイスクリームをすくう技術などをきちんと身に付けたプロに育てなければならない。それで、現場に権限を与えることで、アルバイトスタッフをプロ集団に育てていこうと考えたわけです。

――実際に現場に任せてみていかがですか。

小池 まず、それぞれのスタッフが、それぞれの得意分野でがんばってくれるようになります。そうじが得意なスタッフはそうじ、接客が得意なスタッフは接客、リーダーシップがあるスタッフはリーダーシップを発揮して店をまとめていきます。

また、例えばFLRコスト(F=原材料費、L=人件費、R=家賃)を数値管理システムに毎日入力していくと、今月はどのくらいの赤字になるなど予測ができます。スタッフは、予測値をもとに比較的お客様が少ない時間帯に自主的にシフトを抜けて人件費を下げるなど、自ら数字を読んで積極的にコスト管理しています。

このシステムは、全店の数字を見ることもできます。スタッフは自分たちの店舗と他店の数字を見比べて「悔しい!この店に負けた!」「あの店には勝った!」とゲーム感覚で競争を楽しんでいます。アルバイトスタッフでも、休日に業績のいいライバル店舗を見に行って、接客や商品提供の仕方を研究したりしています。

店舗の業績が良くなればスタッフの時給も上がりますから、総じて店舗ごとに一つのチームとしてまとまって、みんなでどうすれば売上が上がるかを考えて行動しています。

――そうした一連の行動が、「2つのフランチャイズで売上日本一」の快挙につながったわけですね。

小池 ええ。サーティワンアイスクリームでは、加盟店として弊社運営の32店舗で売上日本一です。ずっと1位の座についている状態で、2位の加盟店より店舗数は6店舗ぐらい少ないのですが、売り上げは5億ぐらい上回っています。一方タックルベリーは、現在6店舗で日本一、もしくは2位ぐらいです。

――2つのチェーンでの快挙は、各店舗の運営を現場に一任する手法の効果を物語っています。

加盟店としてグループで売上日本一(千日前店)
加盟店としてグループで売上日本一(千日前店)

地域密着型店舗のキーパーソン

――店舗ごとにまとまって競い合っていると、アルバイトスタッフといえど店舗への愛着や所属意識が高まるように思います。アルバイトスタッフの定着率はいかがですか。

小池 定着率はいいですし、仲間意識が高いと思います。店舗ごとに2カ月に1回は食事に行ったり、半年に1回は旅行、カラオケ、バーベキューとあれこれ楽しんでいるようです。定着率についていうと、主婦のアルバイトスタッフの中には、10年、20年と活躍してくれている人がいます。弊社社員の半分は、元アルバイトスタッフです。

20年同じ店舗にいると、地元のお客様とも友だちのような信頼関係ができ、お客様から「あら、元気?」と声がかかるようになります。2年~3年周期で転勤する社員よりも、ベテランのアルバイトの方がはるかに地元に根付いています。実際、社員は「スタッフに助けられている」とよく口にします。こうした長年店舗に勤務してくれているアルバイトスタッフこそ、店舗を守り、地元のお客様に喜んでいただく地域密着型店舗を実現するために不可欠な存在です。

――現場任せの店舗運営は、人材の定着、ひいては店舗の地域密着型経営にもプラス効果を出しています。

フランチャイズ検討中の人へのメッセージと今後の計画

――さて、最後にこれからフランチャイズ事業を手がけようとしている方にメッセージと、御社の今後の計画をお聞かせください。

小池 これからフランチャイズを始めるのなら、もっともベーシックで確固とした需要のある「衣食住」の分野がいいように思います。特に食の分野なら、本部の標準モデルを地域に合わせて展開する地域密着型でいけば良いのではないでしょうか。

弊社の今後の計画については、イッツ・コーポレーションを後継者にバトンタッチして、私は別会社をつくり、新たなことに挑戦していこうかと考えています。チャレンジして、いい結果が出ればこれをイッツで手がけていきます。

――夢が広がりますね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

※イッツ・コーポレーション株式会社 オーナー 小池 則雄さんが「フランチャイズ・ショー2016」にて下記の日程で基調講演、パネルディスカッションに登壇されます。「2つのフランチャイズで売上日本一」の強さの秘密をより詳しく知りたい方、是非ご聴講ください。【受講無料、事前申し込み制】

▼3月10日(木) 13:30~16:00(お申し込みはこちらから)
基調講演&パネルディスカッション:
「勝ち抜いてきた加盟者」、その事業運営のツボを語る

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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