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連載コラム

第90回 加盟者事例(26)「老舗メガジー、飲食と介護の両輪で道を開く」(メガエフシーシステムズ株式会社 代表取締役社長 中島 康博さん)

[ 2016年6月30日 ]

設立から約50年のメガエフシーシステムズ。日本を代表する飲食店フランチャイズの第一号加盟店であり、これまで飲食店中心に多くのフランチャイズ事業を手がけてきました。最近では小規模デイサービス、高齢者専門宅配弁当事業など、介護関連分野にも積極的に進出。超高齢社会を迎えた日本での、事業展開の状況や、今後の展望について同社代表取締役社長中島康博さんに伺いました。

鮮魚卸会社、牛丼店第一号加盟店を出店

メガエフシーシステムズ代表取締役社長 中島 康博氏
メガエフシーシステムズ代表取締役社長 中島 康博氏

――メガエフシーシステムズの概要からお聞かせください。

中島 神奈川県相模原市に本社を置く会社で、現在6つのフランチャイズに加盟、25店舗を展開中です。具体的には、飲食店フランチャイズは牛丼店「吉野家」、炭火焼肉店「牛角」、かつ丼店「かつさと」、とらふぐ料理専門店「玄品ふぐ」、サービス業は小規模デイサービス「茶話本舗」、高齢者専門宅配弁当「宅配クックワン・ツゥ・スリー」を運営しています。
 正社員は42名、パート・アルバイト445名(※1日8時間換算による期中平均雇用人員120名。2015年6月末日現在)、年商は2015年6月で約16億9700万円になります。

――どのような理由から、フランチャイズ事業に取り組むようになりましたか。

中島 飲食店経営に乗り出したかったことと、フランチャイズという仕組みを高く評価したことが主な理由です。

 フランチャイズ事業を始めたのは、先代なんです。先代が立ち上げた鮮魚卸会社が手形商売で苦労したため、現金商売の飲食店経営に乗り出すことになりました。その中で出会ったのが当時大繁盛していた牛丼店フランチャイズ「吉野家」。先代は、吉野家の商品力だけでなく、フランチャイズ・システムそのものにも可能性を感じたようです。科学的なマネジメントや、マニュアル活用による職人不要の飲食店経営を実現するフランチャイズ・システム。このシステムで牛丼店を経営するのは面白いと、1973年、吉野家の第一号加盟店となりました。

"高齢者ウケ"する飲食店フランチャイズ

現在、牛丼「吉野家」は9店舗運営
現在、牛丼「吉野家」は9店舗運営
かつ丼「かつさと」2店舗運営
かつ丼「かつさと」2店舗運営

――御社は、吉野家加盟以降、40年以上にわたって多数の飲食店フランチャイズ事業を営まれてきました。そういう会社のトップである中島さんが、今、飲食店フランチャイズ選びで重視されている点は何でしょうか。

中島 基本的にはフランチャイズの商品力・開発力・教育力の3つです。最近は、高齢者の需要にマッチした商品があるかという点にも注目するようになりました。

――現在運営されている牛丼、焼肉、かつ丼店は、食欲旺盛な若者向けの店というイメージがありますが、高齢者は取り込めていますか。

中島 ええ。吉野家では、すき鍋を始めてから高齢のお客様が増えました。御夫婦で来店されるケースも多いです。牛角では、ご家族と来店されたおじいちゃん、おばあちゃんが、ちょっと高い値段の柔らかい肉を注文されています。特にかつさとは、店舗をオープンしてみて、高齢のお客様が多数来店されるので驚きました。高齢者にとって、かつ丼は"ごちそう"。ごちそうが税込540円で食べられるというお得感が、集客につながっていると思います。

――飲食業界については、少子高齢化による市場の縮小傾向、慢性的人手不足など厳しい声が聞かれます。今後、飲食店フランチャイズにどう取り組まれるお考えでしょう。

中島 現在取り組んでいるフランチャイズ業態を広げていく方針です。既存の直営店や加盟店を買い取ったり、自社の店舗を業態転換したりする考えです。実は、弊社のかつさと2店舗は自社の吉野家、牛角の店舗を業態転換したものなんです。かつさとは、他の業態にはない、とんかつの惣菜としてのテイクアウト需要が見込めるなど、ポテンシャルの高い業態だととらえています。

 新規の飲食事業については、市場が読めないだけにハイリスク。投資額も大きいですから慎重に取り組みます。

かつ丼は高齢者にも人気
かつ丼は高齢者にも人気

「飲食店経営ノウハウは介護分野でも使える」

――御社は、飲食事業と並行して2007年には小規模デイサービス「茶話本舗」、2015年に高齢者専門宅配弁当「宅配クックワン・ツゥ・スリー」にそれぞれ加盟され、現在、茶話本舗6事業所、宅配クックワン・ツゥ・スリー1店舗を展開されています。

中島 今後、飲食と介護関連の両分野で事業を行う予定です。

――超高齢社会を迎えた今、そういうビジョンを描いている飲食店フランチャイズ加盟者は多いでしょう。一方で、介護保険制度は5年、介護報酬は3年を目処に見直されるため、介護保険が適用される介護関連フランチャイズは法改正の影響が大きく、人手確保も難しいので経営が不安定になりがちとも言われます。御社が手がける小規模デイサービス「茶話本舗」は介護保険適用型フランチャイズ。ちょうど2015年に、介護報酬改定、介護保険法改正が実施されました。報酬改定や法改正の影響など、現状はいかがですか。

中島 弊社事業所を置いた地域では、小規模デイサービスへのニーズがあり、財政的にも余力があったため、昨年の改定で、幸運にも報酬は加算されることになりました。ただし、今日までの経験を踏まえると、仮に介護報酬が下がったとしても、事業所の稼働率を上げ法令遵守のもとに効率的な運営を行えば、利益は出せると考えています。現在、弊社収益における茶話本舗事業のシェアは、かなりのものになってきました。飲食店経営で磨いてきたスタッフのシフト組み、QSC(Quality・Service・Cleanliness) などの考え方やノウハウを活かして、介護事業を効率化したり、ご利用者とそのご家族に支持されるようにしたりなどして利益を確保しています。

――それは素晴らしいことです。どのようにして稼働率を上げ、法令に則りつつ効率的な運営を行い、結果を出されているのか、詳しくお聞かせください。

中島 そもそも小規模デイサービスは、1事業所あたり1日の利用者数が最大で10人、月間で300人と決まっています。従って稼働率アップが非常に重要になります。稼働率アップの決め手は、ご利用者の要望に沿ったサービスの提供。例えば、一般的デイサービスでは、ご利用者をお預かりする時間が9時~17時ですが、茶話本舗は、前後2時間の延長が可能で、実質的に7時~19時までお預かりできます。このように、ご利用者側が求めているサービスを行うことで、選ばれ、稼働率アップにつなげています。

――提供するサービスについて、加盟者として工夫されていることはありますか。

中島 小規模デイサービス業は法令遵守が大前提。法令違反が怖いので、本部の指示通りのサービス提供に徹しています。

――なるほど。それでは、稼働率アップは、本部がどれだけ充実したサービスを開発できているかによるところが大きくなりますね。稼働率に続いて、事業所運営の効率化についてはいかがですか。

中島 効率化のポイントは、事業所のコストで大きな部分を占める人件費です。法令に沿った人員配置を行いながら、時間単位のシフト組みで人件費の無駄をなくしています。短時間労働を前提に、各スタッフに週の中で働く日数を決めてもらい、それぞれの希望をパズルのように組み合わせてシフトを組んでいきます。この方法は吉野家でのシフト組みが基本になっています。

 また、月2回のミーティングも重視しています。ミーティングでは、こういう課題に対してこんな対策が効果的だったなどの情報共有をしたり、先月の振り返りをもとに、今月はどう営業していくかというアクションプランを立てたりします。同時に損益計算書を見ながら、「この経費は何に使ったか」を明らかにして、無駄なコストが発生していないかを確認します。

――シフト組みはもとより、計画的に行動したり、スタッフのコスト意識を高めたりなどして、効率化を図っているわけですか。

中島 ええ。飲食店フランチャイズで培ったマネジメント手法をそのまま使って、飲食で出してきたのと同じ結果を出しています。

 実は、稼働率や効率化と合わせ、もう一点重視していることがあります。事業所の責任者である管理者の意識改革です。彼らに「小規模デイサービスの存在価値は何か」「なぜ利益を出さなければならないか」という話を繰り返ししています。ご利用者様に必要とされるほど稼働率は高まり、自分たちの存在価値も高まる。価値あるところにしか、お金は流れていかない。利益は、ご利用者様やご家族、ケアマネさんからの信頼を反映しているものだと教えていきます。

――利益を利用者とその関係者からの信頼の証と考えれば、真摯に利用者のケアにあたりながら利益も意識するという、スタッフの理想的な働き方につながるでしょう。
 ところで、介護関連事業所は人手の確保・定着に悩むところが少なくありません。これらを解決する妙案はあるものですか。

中島 あったら是非教えて欲しい(笑)。一つ言えるのは、小規模デイサービスは、大型の介護施設と比べて、施設内の移動にかかる体力的負担が少ないので、中高年のスタッフでも務まりやすい。特にわたくし共の事業所は勤務日数も少なく、短時間勤務ですから体はラクでしょう。中高年スタッフが働きやすい点は、若干人手を確保する上でプラスかもしれません。現在、わたくし共の事業所の最高齢のスタッフは80歳で、元気に活躍しています。

 また、今のところ、スタッフの定着促進策は、私が直にスタッフと接することだと考え、各事業所のミーティングに顔を出すなど意識的に接触機会を増やしています。結局、人としてのふれあいが信頼関係の基礎をつくると感じています。

今後の計画とメッセージ

――先ほど少し触れていただきましたが、今後の計画をお聞かせください。また、最後に中島さんのように、飲食店フランチャイズ加盟者で介護分野のフランチャイズ加盟を考えている読者に向けてメッセージなどお願いいたします。

中島 今後の計画については、繰り返しになりますが、飲食と介護の二本立てで進んでいく考えです。飲食は既存業態中心に事業を広げ、介護については茶話本舗を少なくとも10事業所まで拡大予定です。そして、もう一つ大きな夢があります。高齢者や障害のある人、学生などいろいろな状況にある人たちも、それぞれの立場で地域社会に参加し、皆で協力して一つのコミュニティをつくる。いずれ、そんな町づくりの中心になって、飲食と介護分野を担当していきたいと考えています。

 また、メッセージとして申し上げたいのは、介護系フランチャイズは飲食店フランチャイズと同じく、基本的に人が好きな方、興味がある方に向いているということ。ただし介護系はコンプライアンスの徹底が求められるため自由度は低い。法令はルール変更があるし、読み込むべき文書も多く、おまけにこれらの文書は難しくてわかりにくい。本部に業界情報を教えてもらうのも大切ですが、加盟者自ら情報収集して勉強する姿勢は必須です。

――"勉強必須"は介護分野ならではのハードルのようです。ありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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