日経メッセ > フランチャイズ・ショー > 連載コラム > 注目のFC分野・制度紹介! > 番外編「わが社の海外展開~FCショーも活用して海外オーナー開発中~」

連載コラム

番外編「わが社の海外展開~FCショーも活用して海外オーナー開発中~」

[ 2016年7月21日 ]

ラーメン店【麺家いろは】、加盟者の要望取り入れ商品開発

国内最大規模のラーメンイベントで過去5回売上トップ

 創業23年のフランチャイズ本部「株式会社天高く」(富山県射水市)が運営する【麺家いろは】。看板メニューである『富山ブラック黒醤油らーめん』は、黒い醤油スープという見た目の強いインパクトとは裏腹に、スープ自体はあっさりした深いコクのある味わいです。この『富山ブラック』をはじめとする個性的なラーメンで【麺家いろは】は人気を集め、国内最大規模のラーメンイベント「東京ラーメンショー」では過去5回にわたり売上数トップを達成しています。2016年6月末現在、国内7店舗(全て直営店)、海外では中国で香港1店舗、上海2店舗、武漢3店舗、タイでバンコク1店舗の合計7店舗(全て加盟店)出店。この他にバンコクの加盟者は今年8月に2店舗目、12月に3店舗目を、上海の加盟者は今秋を目処に3店舗目、4店舗目をオープン、また中国・泰州、台湾、モンゴルは加盟契約内定済みでいずれも年内出店予定です。

真っ黒いスープが印象的『富山ブラック黒醤油らーめん』
真っ黒いスープが印象的
『富山ブラック黒醤油らーめん』
激辛好きの地域で大人気『四川激辛坦々麺』
激辛好きの地域で大人気
『四川激辛坦々麺』

看板メニュー『富山ブラック』、際立つ個性で差別化

 これまで【麺家いろは】は、主にニューヨーク、東京などのフランチャイズ展示会を通じて加盟者を開拓。東京の展示会「フランチャイズ・ショー」では、バンコクの大手食品流通会社、台湾の国内トップクラスの総合食品メーカー、モンゴルの紡績会社と出会い、それぞれ加盟・加盟契約内定に至ったといいます。「FCショーのフードコートでは、店で出しているのと同じ『富山ブラック』を食べられます。加盟を決めた皆さんはいずれも『富山ブラック』を試食して、豚骨、味噌ラーメンでは目新しさがないが、インパクトある『富山ブラック』なら差別化しやすい、あっさり味で地元の人々の口に合うと評価してくれました」(天高く代表取締役会長兼社長 栗原 清さん)。ラーメンの強い個性が【麺家いろは】への加盟理由の一つになっているようです。栗原さんによると、加盟者・内定者の挙げる【麺家いろは】への主な加盟理由には、もう一つ、本部の開発力があるといいます。

「ラーメン居酒屋」「羊肉ラーメン」、加盟者の要望に応じて業態・商品開発

 本部は、【麺家いろは】の個性や美味しさを保った上で、可能な限り加盟者の要望や状況に合わせた新商品・業態を開発してきました。例えば、バンコクでは、多くのラーメン店がひしめき、厳しい競合状態にあるため、【麺家いろは】をラーメンがウリの「ラーメン居酒屋」業態に変えて差別化することにしました。そのために、本部はやや高級感のある和食のサイドメニュー約40種類を開発し、バンコク1号店に導入。現在、ラーメン居酒屋【麺家いろは】バンコク1号店は業績好調で、バンコク2号店ではサイドメニューを60種類に増やす計画です。

 一方、台湾の加盟内定者は商品の"安全・安心"をモットーにする総合食品メーカーなので、「完全無添加ラーメン」を希望。本部は、醤油、味噌、みりんなどの調味料も全て無添加のものを使ったスープ、麺のコシを出すのに不可欠と言われる添加物"かん水"まで省いた無添加麺をつくりました。かん水抜きで、コシのある美味しい麺をつくるのは至難の業だったといいます。また、羊肉が主食の国、モンゴルの加盟内定者のためには、羊肉ラーメンを開発。モンゴルで"羊肉ラーメン試食会"を開いたところ、参加者の中から「これは旨い!自分も加盟したい」と新たな加盟希望者が名乗りをあげたそうです。

ラーメン居酒屋業態のタイ・バンコク店
ラーメン居酒屋業態のタイ・バンコク店
地元の客で賑わう店内
地元の客で賑わう店内

本部、加盟者それぞれの役割に全力で取り組み成功へ

 「本部は商品開発と店舗運営指導、加盟者は店舗運営。各々の役割にそれぞれが全力で取り組み結果を出してきました。今後もこの方針は不変です」(栗原さん)。【麺家いろは】は、この方針に賛同できる加盟者を世界で募っていくということです。

天高く 代表取締役会長兼社長 栗原 清氏
天高く 代表取締役会長兼社長
栗原 清氏
店舗運営指導は各店に合わせて丁寧に実施
店舗運営指導は各店に合わせて丁寧に実施

日本式運営で海外でも業績好調、らーめん店【ばり馬】

自家製麺の濃厚豚骨醤油らーめん

 1992年設立のフランチャイズ本部「株式会社ウィズリンク」(広島県広島市)が展開する【ばり馬】は、濃厚な豚骨醤油スープ、炙りチャーシュー、店内設置の製麺機でつくる自家製麺が特徴。日本では34店舗(直営6店舗、加盟店28店舗)、海外では直営店2店舗(シンガポール)、加盟店8店舗(マレーシア2店舗、インドネシア3店舗、香港2店舗、マカオ1店舗)の合計10店舗を出店しています。なお、ウィズリンクは【ばり馬】のほかに、鶏白湯ラーメン【とりの助】、濃厚豚骨魚介つけ麺【風雲丸】というらーめん店フランチャイズも日本で30店舗展開中です。※店舗数は全て2016年6月末現在

【ばり馬】マカオ店
【ばり馬】マカオ店
【ばり馬】香港店
【ばり馬】香港店

美味しいらーめんを海外で提供できる体制

 これまで、ウィズリンクは、どの国でも【ばり馬】の美味しいらーめんを提供できる体制と日本式接客などの指導で、海外店舗の運営を支えてきました。

 まず、らーめんのスープやタレは日本でつくり、レトルトパウチにして海外の店舗に配送、海外でも安定的に美味しいスープやタレが入手できるようにしています。パウチ食品は常温で保存できるため、冷凍ものに比べ物流・倉庫での管理コストを抑えられるというメリットもあります。麺については、本部スタッフが現地で調達できる小麦の中から麺に最適なものを選び、各店舗に製麺機を使った麺づくりを指導。指導といっても、製麺作業はパート・アルバイトスタッフでも行えるほどカンタンなので、"保存料フリー"の新鮮で美味しい自家製麺を低コストに用意できます。炙りチャーシューなどの具材も現地で材料を仕入れ、調理法を教えます。

名物『ばり馬味玉』
名物『ばり馬味玉』
人気の『羽根付き肉汁餃子』
人気の『羽根付き肉汁餃子』

日本式接客でもてなす

 本部は食材供給、調理指導と同じく、日本式店舗運営・接客指導にも力を入れています。これらの指導はオープン前研修から始まり、オープン後は広島本社やシンガポールに設立したウィズリンクのグループ会社「Withlink Singapore」から定期的に派遣される海外専任SV(スーパーバイザー)によって継続的に行われます。その結果、【ばり馬】では、「すみずみまで清掃された店内で、ユニフォームをきちんと着用したスタッフが、(相手に敬意を表する意味で)客の前で膝を折って注文を取る」など、日本式接客"おもてなし"の光景が見られるようになります。

「膝を折って注文を取る」研修
「膝を折って注文を取る」研修

海外展開の成果を日本政府も評価

 【ばり馬】の独特の美味しさや接客は客の支持を集め、今や海外各店舗の月間平均客数は5000名以上。中でも「タングリン店」(シンガポール)は、メインストリートのはずれに位置するにも関わらず、2012年11月のオープン以来業績を伸ばし続けており、2014年にはシンガポールで高品質なサービスを提供する店に贈られる権威ある賞を受賞。こうした海外展開実績が評価され、2016年、ウィズリンクは日本の中小企業庁主催の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれました。

幅広い客層を集める【ばり馬】
幅広い客層を集める【ばり馬】
「シンガポールでの成功見て加盟」マレーシアの加盟者のFCマネージャー(右から3人目)
「シンガポールでの成功見て加盟」
マレーシアの加盟者のFCマネージャー(右から3人目)

3年後、海外の店舗数が国内を上回るのが目標

 本部は、これまで日本やASEANでのフランチャイズ展示会などで海外加盟店を開発。日本の「フランチャイズ・ショー」では香港の上場企業に出会い、加盟に至っています。この香港の加盟者はマカオや香港、中国本土で45店舗以上の飲食店を展開しており、【ばり馬】の美味しさに加え、本部のレスポンスの速さを評価したそうです。 「香港の加盟者は、こちらの立場に配慮してくれる紳士的な企業。海外のラーメン店の品質はまだまだだから、今、参入すればトップになれる余地がある。弊社の"道徳と経済の一体"という企業理念を共有できる加盟者とともに挑戦したい」(ウィズリンク代表取締役社長 江口歳春さん)。ウィズリンクは海外専任社員を置いた海外事業部を一層充実させ、海外展開に一段と本腰を入れるということです。

ウィズリンク代表取締役社長 江口 歳春氏(左)、常務取締役 海外事業部長兼商品開発部長 江口 順爾氏
ウィズリンク代表取締役社長 江口 歳春氏(左)、
常務取締役 海外事業部長兼商品開発部長 江口 順爾氏

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP