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連載コラム

第92回 加盟者事例(27)「スタッフへの思いやり優先でカフェ事業展開中」(有限会社クレストプラザ 代表取締役 藤野 英明さん)

[ 2016年8月30日 ]

脱サラしてコンビニエンスストアフランチャイズに加盟、今ではコンビニ5店舗のほかに、カフェフランチャイズの加盟店のオーナーでもある藤野英明さん。特にカフェについては、デリバリーを取り入れたり、スタッフを思いやって職場環境を整えたりしながら運営しています。藤野さんに、カフェ運営について伺いました。

脱サラからコンビニ、カフェのオーナーに

藤野さんが運営する「カフェ・ド・クリエ神戸元町店」
藤野さんが運営する「カフェ・ド・クリエ神戸元町店」

――藤野さんが代表を務めるクレストプラザは、どういう会社ですか。

藤野 1995年設立の兵庫県神戸市にある会社で、主な事業はコンビニエンスストアとカフェ経営です。コンビニは5店舗、カフェは "カフェ・ド・クリエ" フランチャイズの加盟店を神戸、大阪に出店しています。正社員11名、パート・アルバイト200名で店を回し、2015年度年商は約13億円になりました。

――もともとコンビニ事業で独立されたと伺っています。そこからカフェ事業に乗り出された理由をお聞かせください。

藤野 まずは、私がカフェ好きであること。カフェでゆったり時間を過ごすのが、好きなんです。コンビニ以外の事業を始めたかったことも、もう一つの理由です。コンビニは24時間、365日オープンしている事業。自らが店頭に立っていなくても、常に店のことが気にかかってゆっくり酒も飲めない(笑)。それで24時間経営ではない事業を手掛けてみたいと考えました。
 そういうことを漠然と考えていた頃、たまたまカフェのフランチャイズがあると知り、好きなカフェの事業ならやってみたいと加盟の検討を始めたんです。

カフェフランチャイズ加盟から約6年を振り返り

――カフェフランチャイズは複数あります。いろいろ比較されたと思いますが、最終的に加盟の決め手になったのは何でしたか。

藤野 担当者の熱意と詳細な売り上げ予測の資料などでしょうか。私が比較したフランチャイズ本部はいずれも全国に150店舗ぐらい出店、フランチャイズパッケージもしっかりできており、チェーンとしては同等レベルだったと思います。

 その中で、カフェ・ド・クリエの担当者は資料請求の翌日には面会して、熱心に事業の説明をしたり、こちらの疑問に答えたりしてくれました。物件も、それぞれ売り上げがプラスマイナス10%異なった場合の利益率の違いなど、詳しい資料付きで2件紹介してくれました。そうした態度に熱意や誠意を感じ、カフェ・ド・クリエ加盟にいたりました。

――加盟から約6年、今では神戸、大阪で複数のカフェを経営されています。藤野さんから見たカフェ経営のメリット、デメリットを挙げるとすれば何ですか。

藤野 メリットというか、嬉しいのは地域の皆様にゆったりくつろげるサードプレイスを提供できること。そのせいか、カフェのオーナーに対する社会的評価は悪くないと感じています。

 一方、デメリットは初期投資額が大きくなりがちなこと。これは特定のフランチャイズではなく、カフェ全般に共通している点だと思います。カフェを一等地に出店するとなると、家賃、保証金など高くなる傾向にあります。投資回収までは頑張らなければなりませんが、おかげさまで運営している「カフェ・ド・クリエ神戸元町店」「毎日インテシオ店」(大阪)の投資回収は、ほぼ計画通りに推移しています。

――加盟から今日までを振り返って、本部サポートについてはいかがですか。

藤野 もっともありがたかったのはオープン時のサポート。オープン前後、カフェ運営に不慣れで一番不安な時に、本部スタッフが店に入ってサポートしながら運営指導も行ってくれるんです。店舗の状況を見て、店長経験のあるベテランスタッフが、既定の日数より長めにサポートに入ってくれたので助かりました。
 その後も、例えばトイレがつまったとか、店の電気機器の不具合など、ちょっとしたことでも本部スタッフが「私、電気機器に詳しいですから、行きますよ」とすぐ店まで来て対応してくれます。アットホームな本部です。

デリバリーをカフェの売り上げの柱に

デリバリーの拠点、「毎日インテシオ店」
デリバリーの拠点、「毎日インテシオ店」

――ところで、先ほど投資回収のお話が出ました。回収スピードアップのためにも、売り上げ拡大を図りたいところです。売り上げ増を目指し、加盟者として取り組まれていることをお聞かせください。

藤野 お客様にご利用いただいくためには、店のレベルを上げるのが一番ですから、まずはもっとも基本的なQSCの徹底、そしてカフェ・ド・クリエではデリバリーサービスを導入できるので、デリバリーサービスを行っています。

 QSCについては、例えば、個々のスタッフの調理時間を計るなど、それぞれがスピードを意識して作業を行うようにして、迅速なサービス提供に努めるなど地道に試行錯誤しながら進めています。

 またデリバリーについては、神戸元町店の女性店長がデリバリーの営業主任も兼務して、毎日インテシオ店を中心に活動しています。現在のところ、かなりの注文を取れてきているのでカフェ事業の売り上げの柱に育てたいと考えています。

――それは素晴らしいですね。なぜ毎日インテシオ店中心にデリバリーを行われたり、神戸元町店の女性店長を営業主任に抜擢されたりしたのかなど、デリバリーついて詳しくお聞かせください。

藤野 毎日インテシオ店は大手新聞社の本社ビルに近く、周囲にホールや会議室が多いオフィス街にあります。各種のイベントや集まりなどが頻繁に開かれ、大勢の人が集まる機会が多いエリアなので、コーヒーのデリバリー需要も多い。そこで、このエリアでデリバリーに力を入れようと考えたわけです。

 偶然にも、毎日インテシオ店のお客様の中に、これらのホールや会議室のデリバリー業者を選定する担当者の方々がいらっしゃいました。神戸元町店の女性店長(以下女性店長)は、度々、助っ人として毎日インテシオ店を手伝う機会があり、この間に、業者選定の担当者のみなさんと自然に懇意になっていったようです。というのも、この女性店長は"接客するために生まれてきたような人"で(笑)、多くのお客様から信頼されている人。彼女は「毎日インテシオ店にデリバリーを任せてください」ともちかけ、「あなたが担当してくれるなら」と何百杯ものコーヒーデリバリーを受注していきました。既に女性店長は毎日インテシオ店を核に多くの人脈を築いていますし、営業主任を任せることにしました。

――なるほど。デリバリーサービスは、需要が見込めるオフィス街の店舗で、営業力ある人材に任せて始めたことが好発進につながったようです。

スタッフへの深い思いやりで団結力ある店に育てる

――さて、店舗運営においては、売り上げアップと同時に経費抑制、中でも人件費をどう抑えるかは重要です。この点はどう取り組まれていますか。

藤野 アルバイトスタッフのシフト組みなどについては、基本的に店長に任せています。人件費抑制は重視していますが、現場の事情もあるので必ずしも人件費抑制を優先した店舗運営ではありません。

 デリバリーの営業主任でもある女性店長率いる神戸元町店では、時にはバイトスタッフの事情に配慮して、店としては1時間だけ働いてもらえばいい場合でも2時間~3時間店に入ってもらうことがあります。中には、お金が必要なスタッフもいるので。そういうケースでは、それだけ余分な人件費がかかりますが、女性店長が常にスタッフの事情を踏まえて対応するため、スタッフの店長への信頼が厚く、団結力のあるいい店になっています。

――チームワークのいい店は自ずと明るい温かい雰囲気の店になり、集客力も高まりやすくなります。女性店長はスタッフへの配慮が最優先なんですね。

藤野 はい。女性スタッフが多い職場なので防犯対策の充実やスタッフの負担を減らすための高性能の掃除機の購入など、いつもスタッフにとって働きやすい環境づくりをオーナーである私に求めてきます。女性店長からは「神戸元町店をいい店にしたい。スタッフが夢を描き、その夢に向かって仕事ができるようにしたい。オーナーはそのために何をしてくれますか?」と言われています。ここまでスタッフのことを考えて行動する店長は、あまりいないと思います。
 
 女性店長は厳しいところもありますが、スタッフをとても大事にしているので皆ついて行くんです。卒業や就職で職場を離れるスタッフの送別会でも、辞めていくスタッフが「店長にはどこまでもついて行く」と泣きながら言っていました。仕事の場で、あれだけの信頼関係ができるのかと考えさせられました。

――経費抑制は重要ですが、効率優先のあまりスタッフとの関係が崩れてしまってはいけません。快適な職場づくりなどスタッフを深く思いやる姿勢は、女性店長から学びたいところです。

スタッフへの思いやりが、いい店づくりにつながる
スタッフへの思いやりが、いい店づくりにつながる

今後の計画とメッセージ

――最後に今後の計画とカフェフランチャイズ加盟を検討中の読者にアドバイスなどお願いいたします。

藤野 コンビニ同様、カフェも5店舗まで拡大し、それぞれ統括責任者を置いて運営しながら人も育てていこうと考えています。

 カフェ運営を希望される方は、定石どおり、まずはカフェに適した物件を慎重に選ぶことが大事。それから長い目で取り組む事業なので何よりもカフェが好きであること、カフェを営むこと自体にそれなりの満足感を覚えられるぐらいの方に向く商売だと思います。

――貴重なお話をありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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