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連載コラム

第94回 加盟者事例(28)「スープ専門店フランチャイズで、ママ起業」(株式会社TOYCAFE 代表取締役社長 渡部 有紀さん)

[ 2016年10月31日 ]

渡部有紀さんは、ご主人と、間もなく3歳になるご長男との3人家族。2016年4月にスープ専門店フランチャイズ「ベリーベリースープ」松山銀天街店(愛媛県松山市)をオープンし、生まれて初めて自分の店を持ちました。オープンから約半年を経た10月に、フランチャイズ選びから、研修、店舗運営、育児と仕事との両立などについて伺いました。

フランチャイズ加盟で、妻・ママ・経営者の3足のわらじを履く

TOYCAFE代表取締役社長 渡部 有紀氏
TOYCAFE代表取締役社長 渡部 有紀氏

――まず、渡部さんについてお聞かせください。

渡部 愛媛県松山市に本社を置く株式会社TOYCAFEの代表取締役社長を務めています。TOYCAFEは2016年2月設立で、現在手掛けている店舗は「ベリーベリースープ」松山銀天街店1店舗のみ。私は、経営者として店舗運営全般を見る一方、社員である店長や16名のパート、アルバイトスタッフとともに店頭にも立っています。また、家に帰れば、サラリーマンの夫を持つ妻であり、1児の母でもあります。ベリーベリースープフランチャイズへの加盟を通じ、私は、はじめて経営者として自らの店を立ち上げることになりました。

――数あるフランチャイズの中で、なぜベリーベリースープを選ばれたのでしょう。

渡部 最大の理由は、私が加盟を検討していた当時、ベリーベリースープは愛媛県に未出店だったこと。県内未出店だから「今、加盟して店を出せば、愛媛初上陸の"スープ専門店"になれる。スープは万人に親しまれている料理だし、県内初の目新しいスープ専門店業態はイケるんじゃないか」と直感的に感じたのです。

私は飲食店での勤務経験があり、以前から自分でカフェをやってみたいと思っていました。ベリーベリースープは、カフェ風のオシャレな店で、フランチャイズだけれど店舗デザインなどは、加盟者がかなり自由に決められる。開業資金は、なんとか手が届く範囲。本部代表も信頼できる人柄。「このフランチャイズなら、自分の夢にかなった店が出せそう」。こう考えたことも、加盟理由に挙げられます。

――ご主人は、有紀さんの起業について、どうお考えだったのでしょう。

主人は以前から私の「カフェを出したい」という夢を知っていたし、子どものことは保育園の利用と主人の協力で対応できるからと、起業に賛成してくれました。

物件選びと研修について

「ベリーベリースープ」松山銀天街店(愛媛県松山市)
「ベリーベリースープ」松山銀天街店(愛媛県松山市)

――ご主人の後押しもあって、渡部さんは起業に踏み出されました。ここからは、店のオープンに至るまでを伺います。まず、店舗物件選びはどう進めましたか。

渡部 私の運営するベリーベリースープ松山銀天街店は、松山銀天街と呼ばれる商店街にあります。本部担当者といっしょに松山の商店街をあちこち歩き回り、担当者が「絶対ここ!」と一押しで薦めてくれた銀天街の物件に決めました。当初、私は松山は車社会だから、郊外のショッピングモールは賑わっているものの、商店街はさびれているというイメージしかなかったのです。でも、銀天街は大手パスタ店やカフェチェーンの出店に伴い、通りが華やかになり、人が戻ってきて元気になっていました。若い女の子から、子どもさん連れのお母さん、ご年配の方まで、ベリーベリースープのターゲットである幅広い年齢層の女性が行き来していました。

――次に、店舗オープン前研修について伺います。一般に飲食店フランチャイズの研修は、女性にはキツイ場合があると聞きますが、渡部さんはいかがでしたか。

渡部 研修中は毎朝「もう帰ろう」と思っていたぐらいキツかったです(笑)。
10日間の研修の中で、4日目からは店に出て開店から閉店までの作業などをみっちり体で覚えていきます。これがハードでした。体を使う仕事だし、覚えることは多いし...。私は当店の店長と研修に参加していたので、お互い励まし合ったり、毎晩ぐっすり眠ったりして乗り切りました。大変でしたが、研修のおかげで、スープ類はレシピを見ないでつくれるようになるなど、店を回す基本が身に付きました。

飲食店の悩みの種、人材確保・定着は?

――最後に、人手の確保について。最近、店舗スタッフの確保に苦労する飲食店が少なくありませんが、スタッフ集めは順調でしたか。

渡部 4月の店のオープン時に募集した時は、"愛媛初上陸のスープ専門店"と"オープニングスタッフ"というキーワードが効いて、2週間で30人ぐらいの応募者がありました。ところが、もう2人ぐらい人が欲しいと、オープン後の7月~8月にかけて追加募集した時は厳しかった。求人誌2冊を使って丸々1カ月募集したのに、応募者はたった3人。やはり、誰しも既にできあがったチームの中に後から入っていくのはイヤなので、追加募集は難しいです。

――パート、アルバイトスタッフの年齢層、男女の割合などをお聞かせください。

渡部 パート、アルバイトスタッフ16名中15名が女子で、全員10代~20代です。最年長スタッフは27歳。店は忙しいし、覚えることが多いし、スピードが求められるので、体力のある若い方でなければ、スタッフは務まらない。実は、オープンから今日までに、体力的に無理だからと退職したスタッフが1名だけいます。50代の方でした。

――スタッフが楽しく長く働いてくれるために、経営者として特にどういうことを心掛けていますか。

渡部 まずは、こまめにスタッフの声を聞くこと。
私は、個々のスタッフに、シフトがキツくないか、やりにくいことはないかなど、しつこいぐらい確認しています。私に直接言いにくいこともあるでしょうから、リーダー格のスタッフからスタッフ達が困っていることなどがあれば、教えてもらうようにしています。

それから、丁寧にくみ取ったそれぞれのスタッフの要望や事情を踏まえたシフト組み。
シフト組みは大変ですが、スタッフにとって働きやすい職場にするための重要な仕事の一つ。うちの店長は男性なので、若い女性のデリケートな心身を理解するのは難しいですし、私自らシフトを組むようにしています。

目新しい"スープ専門店"業態ならではのメリット

カフェ風の店内
カフェ風の店内

――さて、ベリーベリースープ松山銀天街店は2016年4月にオープンしました。渡部さんは最大の加盟理由として、「愛媛初上陸のスープ専門店になれる」ことを挙げられました。オープン後、目新しい業態ならではのメリットを感じたことがあればお聞かせください。

渡部 珍しいスープ専門店ということで、オープン以降、テレビ局や地元タウン誌など、メディアの取材が相次ぎました。地元で有名なグルメ番組でも取り上げていただきました。当店を紹介した時の視聴率が良かったからと、近々2回目の取材に来てくれるテレビ局もあります。

――メディアでの紹介が、集客につながった感じはありますか。

渡部 ええ。テレビで紹介されてから1週間ぐらいは、ドッとお客様が増えました。当初、この時ご来店いただいたお客様は、一回だけのご利用で終わるのだろうと思っていたのですが、予想に反してリピート利用していただいています。お客様のアンケートハガキを見る限りでは、「料理が美味しい」「店がきれい」「店の雰囲気がいい」という理由で、繰り返し足を運んでもらっているようです。

――きちんとした店舗運営をされていたことが、一時的な集客に終わらず、リピーター化につながったようですね。

オープンから約半年、店舗経営の状況

「店がきれい」「雰囲気がいい」とのアンケート結果
「店がきれい」「雰囲気がいい」とのアンケート結果

――ところで、スープには冬に強く夏に弱い商品のイメージがあります。夏の売り上げはどうでしたか。

渡部 夏は夏限定のカレーランチが好評で乗り切ったのですが、梅雨前で蒸し暑かった6月は客足に影響が出た感じでした。

――なるほど。それではオープンから約半年経った今日までの売り上げは、オープン前の売上予測に照らしてみていかがですか。主要客層、店舗坪数、平均客単価も合わせてお聞かせください。

渡部 約40坪の松山銀天街店の主要客層は、20代~30代の女性でお客様全体の7割を占めます。平均客単価は820円~830円。売り上げは、売上予測より上振れしています。

――売り上げ以外に、経営者として店舗経営を通じて得たものは何でしょう。

渡部 独特の幸福感です。
お客様に「美味しかった」と言われると、自然に今日までの道のりが思い出されます。ハードだった研修、多忙を極めたオープン準備の日々、そして、ついにオープン。多くの積み重ねの上に、お客様の「美味しかった」の一言がある。こう思うと深い喜びとお客様への感謝の気持ちがこみ上げてきます。一人のアルバイトスタッフとして飲食店で働いていた時も、喜びや感謝の気持ちはありましたが、深さが違います。この深く強い感情が経営者ならではの幸福感をもたらしてくれます。

――渡部さんは、経営者であると同時に、お母さんでもあります。育児との両立はいかがですか。

渡部 店長、スタッフの皆、主人に支えられて両立させています。周囲の皆さんには、心から感謝しています。スタッフ達は、私は子どもがいて、夜は店にいられないのを知っているので、遅い時間になってくると「後は自分たちがやっておきますから」と、私が店を出られるようにしてくれます。おかげで、子どもと過ごす時間が持てます。子どもは、最初、私が出かけるのを嫌がっていましたが、出かけてもちゃんと帰ってくると分かり、今では安心して「いってらっしゃい」と送り出してくれるようになりました。

今後の計画とメッセージ

――今後の計画と、フランチャイズ起業を検討中のお母さんたちにメッセージをお願いします。

渡部 本部の提案もあり、店の周囲へのデリバリーサービスを開始予定です。また、ベリーベリースープを3年で3店舗まで出店したい。「松山ならTOYCAFE」と言われるぐらい会社を大きくしたいです。

お母さんたちには、チャンスがあれば、つかんで欲しい。私たちが頑張れば、後に続く若い女性に「小さい子どもがいても働ける」と伝えられます。

――ありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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