日経メッセ > フランチャイズ・ショー > 連載コラム > 注目のFC分野・制度紹介! > 第98回 加盟者事例(30)「人口減少の今、『人手をあまり必要としない』フランチャイズを選んでいます」(東食品株式会社 代表取締役社長 鈴木 勝さん)

連載コラム

第98回 加盟者事例(30)「人口減少の今、『人手をあまり必要としない』フランチャイズを選んでいます」(東食品株式会社 代表取締役社長 鈴木 勝さん)

[ 2017年2月24日 ]

東食品は、自社業態であるスーパーマーケットなどを経営する一方、サービス、小売り、外食分野のフランチャイズに加盟し、合計24店舗の加盟店を展開。同社代表取締役社長の鈴木勝さんに、フランチャイズを選ぶ際の要件、他加盟者からの"加盟店買い取り"成功のコツ、社員の活躍する場づくりなど、加盟店運営で学んだことを伺いました。

スーパーマーケット経営からフランチャイズ事業へ

東食品 代表取締役社長 鈴木 勝氏
東食品 代表取締役社長 鈴木 勝氏

――東食品は、どういう会社なのか、教えてください。

鈴木 弊社は、昭和5年(1930年) に八百屋として創業。私は、創業者である祖父から数えて三代目になります。現在、本社を東京・南青山に置き、主に自社ブランドのスーパーマーケットやフランチャイズ加盟店運営などを行っています。取り組んでいるフランチャイズは、CD・DVD・コミックのレンタル・販売店「TSUTAYA」11店舗、業務用スーパー「業務スーパー」3店舗、焼き肉店「牛角」4店舗、24時間年中無休のフィットネスジム「エニタイムフィットネス」6店舗、平成28年8月期の年商は約40億円です。

――フランチャイズ事業を始められるまでの経緯をお聞かせください。

鈴木 大手スーパーが台頭するようになり、中小規模のスーパーを営む当社は、生き残りをかけて、スーパー以外の新たな事業を模索せざるを得なくなりました。試行錯誤する中で銀行から紹介されたのが、当時、既に「レンタルビデオ業界で日本一」と評されていた「TSUTAYA」の代表。小さくて暗い雰囲気のレンタルビデオ店が主流だった時代に、彼の「ライフスタイル発信基地をつくる」というビジョンは革新的だったし、大型でオシャレな「TSUTAYA」の店舗にはワクワクさせられました。「この人について行ったら面白いことになりそうだ」と感じましたね。それに、競合大手を恐れながら歩んできた弊社でも、日本一のフランチャイズに加盟すれば、競合を怖がらなくていい。こう考えて「TSUTAYA」に加盟、1992年にTSUTAYA青山店を開店しました。

自社業態のスーパー
自社業態のスーパー

フランチャイズを選ぶ際の条件

「フランチャイズ選びの基本条件は4つ」(写真:エニタイムフィットネス武蔵境店)
「フランチャイズ選びの基本条件は4つ」(写真:エニタイムフィットネス武蔵境店)

――はじめてフランチャイズに加盟してから今日まで、様々なフランチャイズ事業を手掛けられたと伺っています。これまでの経験を踏まえ、現在では、どういった条件でフランチャイズ事業を選んでいますか。

鈴木 当社がフランチャイズを選ぶ際の基本的な条件は、
・時流に乗っている
・競合がない
・人手をあまり必要としない
・マニュアル通りに運営すれば良い
という4つ。
 はじめの2つを条件とする理由は、言うまでもないでしょう。残りの2つの内、「人手をあまり必要としない」は、今後の労働力人口の減少を考えてのこと。また、 "指示通りに行う仕事"を好む若者の傾向を踏まえ、フランチャイズの中でも、創意工夫する必要性の低い「マニュアル通りに運営すれば良い」フランチャイズを選ぶようにしています。

――これまで加盟したフランチャイズが、それらの条件をどう満たしていたか、どういう点を評価して加盟に至ったのかなど、フランチャイズ選びの具体例を挙げていただけますか。

鈴木 それでは24時間年中無休のフィットネスジム「エニタイムフィットネス」を例にとります。
 知り合いから「24時間年中無休のフィットネスジムは儲かっている」と聞き、興味を持っていた頃、たまたま紹介されたのが「エニタイムフィットネス」。この業態は繁盛しているようだから、時代に求められている商売だと考えました。一方で、業態自体がまだ珍しいから競合は少ない状況。ジムで働きたい人は多そうなので、そもそも人手に困らないだろうし、仕事もマニュアルに従って進めれば良さそうでした。このように、「エニタイムフィットネス」は4つの条件をクリアしていたわけです。

 さらに、2階でも地階でも出店可能な点が魅力でした。1階の優良物件は、なかなか出ません。スーパーの物件探しで、さんざん苦労してきました。しかし、2階や地階なら、いい物件が出るので、物件獲得がラクになります。このフランチャイズの場合、物件押さえのラクな点が、最大の加盟理由と言っていいぐらい、物件確保は重視しています。物件確保に関連して言うと、ちょうど加盟を検討していた頃は、居酒屋の閉店が増え、これから「元居酒屋」物件が大量に出てくると予想していた時期。掘り出し物件を見つけるのに、ベストなタイミングでもありました。

 また、差別化もできそうでした。マシン特化型の24時間年中無休フィットネスジム業態の場合、最終的な差別化のポイントは知名度でしょう。ということは、基本的に出店速度が勝負どころ。加盟検討当時、この業態の大手でフランチャイズ制をとっているところはなかったから、「エニタイムフィットネス」がフランチャイズならではのスピード出店で、市場シェアトップの座につき、アメリカ発の"イケてるジム"として名を上げ、差別化できるとみました。

 それから、需要はあるのに競合が少ない会員制ビジネスなので、万一、お客様が十分集まらなくても、店舗の視認性を改善したり、営業や販促を行ったりして、お客様を掘り起こしていけば勝てると考えました。こうして多様な角度で検討し、加盟に至りました。

(写真:エニタイムフィットネス大鳥居店)    (写真:エニタイムフィットネス池袋店)
(写真:エニタイムフィットネス大鳥居店(左)、池袋店)

"加盟店買い取り"成功のコツ

――御社では、自社で新規に出店した加盟店だけでなく、他の加盟者から譲り受けた店舗もあるとお聞きしています。加盟者が譲り受けた店舗の運営に苦労する話を耳にすることがありますが、御社の場合はいかがでしょう。上手く軌道に乗せるポイントなどについて、お聞かせください。

鈴木 店舗譲受の成否は、譲り受ける側の姿勢とコミュニケーションにかかっていると考えています。
 当社では、「TSUTAYA」は11店舗全て、「牛角」は4店舗中3店舗が譲り受けた店舗です。これまで業績が良くない店舗、いい店舗の両方を、基本的に社員付きで譲り受けて運営してきました。業績不振店については、店長力が不十分、人件費がかかりすぎているなど、不振の原因が明確で当社で解決できると判断した場合、譲り受けるようにしています。店舗の売り上げと家賃がわかれば、利益を出せるかどうかの目安はつきます。

 譲り受ける際、重要なのは、"上から目線"の姿勢にならないよう注意すること。ついつい店舗を譲ってくださる加盟者さんや先方のスタッフに対し、「店舗を買ってやるんだ」的な態度になりがちです。これでは反感を持たれます。

 また、スタッフと早期に十分なコミュニケーションをとることも不可欠。譲受店舗のスタッフは「自分たちは"買われる身"だ」と思って身構えがちです。できるだけ早く、しっかりとこちらの考えを伝え、不安を取り除き、当社の一員として活躍してもらうようにしなければなりません。そのため、弊社では、店舗譲受がはっきりした段階で、加盟者さんから譲受について先方のスタッフに開示し、合わせて、引受先となる当社がどういう会社かも伝えてもらうようにしています。その後は、スタッフとの面接、歓迎会などを通じコミュニケーションを深めます。面接で必ず伝えるのは、「お客様に笑顔で帰っていただく」という当社の接客の基本は守って欲しいこと、一方で、店舗運営の方法など、当社と違う点は大歓迎、譲受店舗やスタッフの個性は伸ばしたいし、良い所は積極的に学ばせて欲しいということです。これだけを理解してもらってから、譲受店舗と当方のスタッフ同士が交流する歓迎会などを開いているので、お互いすぐ打ちとけて、仲良くなっています。

将来にわたって社員の豊かな人生を支えるために

「社員1人で複数店舗を見られる業態に注目」
「社員1人で複数店舗を見られる業態に注目」

――フランチャイズ事業の成功には、いい人材が必須。いい人材の確保と定着のために、加盟者は、社員が活躍できる機会や場を増やすなど、魅力的な職場をつくっていかなければなりません。この点についていかがですか。

鈴木 成長性の見込める新しい業態に取り組む一方、こうした業態を社員が経験する機会を設けています。社員が、将来、新しい業態でも活躍しやすくするためです。例えば、うちの「TSUTAYA」の店長は、「エニタイムフィットネス」の研修を受け、人手が必要な時は、いつでも「エニタイムフィットネス」の店に入れる状態になっています。

 これまで手掛けてきた業態が、今後も伸び続けるとは限りません。会社としては、新しい業態を積極的に取り入れ、社員がこれに親しむ機会を設けて、将来、社員が任される業態が変わっても我が社で活躍できるようにしているわけです。

 一方で、私は社員にいつも言っているのです。「『お客様を常に笑顔で帰せる』スキル、つまり顧客満足の提供スキルと、アルバイトスタッフを方向付けするスキルの2つを身に付けて欲しい。そうすれば、どんな新しい業態でも、仮にうちを辞めて別の会社に行っても、活躍できるから」と。これら2つのスキルは、非常に重要でベーシックな能力。これらができる優秀な人材であれば、業態が変わっても、ペーペーからやり直す必要はなく、顧客対応とアルバイトの方向付けをしながら新しい業態について学んで、活躍できます。実際、当社の「TSUTAYA」事業部のエリアマネージャーだった女性社員は、「エニタイムフィットネス」事業部に移ってから1年未満で事業部部長に就任しています。

 それからもう1点、私が社員に言っているのは「社員は1人、後はアルバイトスタッフで2店舗回せるようにしたいね」ということです。要するに、社員1人が2店舗を見るわけです。これからの時代、1店舗の収益が上がり続けるのは難しいと見ています。そこで、社員がマネジメント能力を上げ、1人で2店舗を見れるなど、守備範囲を広げるのに合わせ、社員の給料を上げていく体制を考えています。

――業種、業態によっては、社員1人で複数店舗を見るのは難しいように感じます。

鈴木 ええ。飲食業は難しいでしょう。しかし、スタッフが基本的にマニュアル通りに動けばいい業態、もしくは若干工夫を加えればいい業態なら可能です。当社で手掛けている「TSUTAYA」、「業務スーパー」、「エニタイムフィットネス」ならできます。現在、我が社は4年前と比べ、店舗数は増えたにもかかわらず、社員数は4年前より3名減って42名、一方アルバイトは200名以上増え、520名ぐらいになっています。私どもの場合、アルバイトを戦力化する店づくりをしていることもあって、アルバイトスタッフの成長が速いんです。この点も、社員1人で複数店舗を見ることを容易化させていると考えています。

今後の計画とアドバイス

――今後の計画と、フランチャイズへの加盟を考えている読者へのアドバイスなどお願いします。

鈴木 今後も、情報を常に集めて、いいビジネスモデルのフランチャイズを探していきます。最終的に自社業態にも挑戦してみたいです。これからフランチャイズを始められる方にアドバイスさせていただくとしたら、フランチャイズは選ぶのも手掛けるのも自分。本部が儲けさせてくれるわけではないということです。

――ありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP