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連載コラム

第102回 加盟者事例(32)「『生鮮特化型の業務用スーパー』を27店舗展開中」(佐竹食品株式会社 代表取締役社長 梅原 一嘉さん)

[ 2017年6月29日 ]

佐竹食品株式会社は、関連会社で、業務用スーパーのフランチャイズ加盟店を、大阪・兵庫・神奈川を中心に27店舗展開しています。加盟から今日までの道のりを、同社代表取締役社長の梅原一嘉さんにお聞きしました。

昭和44年創業、本業は一般向けスーパーマーケット運営

佐竹食品 代表取締役社長 梅原 一嘉氏
佐竹食品 代表取締役社長 梅原 一嘉氏

――佐竹食品と手掛けていらっしゃるフランチャイズ事業について、教えてください。

梅原 弊社は、昭和44年(1969年)創業、大阪府吹田市に本社を置く総合食料品スーパーマーケットの運営会社です。一般のお客様を対象にしたスーパーマーケット「Foods Market SATAKE」など13店舗を展開しています。
 フランチャイズ事業の方は、私が代表を務める関連会社で、業務用スーパーのフランチャイズ「業務スーパー」の加盟店27店舗を展開しています。2社合わせて、社員、パート・アルバイトスタッフは1,800名以上、2016年度年商は約518億円です。

――フランチャイズ事業の現状について、いかがですか。

梅原 正直、加盟当初は、27店舗も出店するとは想像していませんでした。ここまでの結果を出せた主な理由は、まず、業務スーパーらしさを守りながら「青果・鮮魚・精肉」の生鮮食品特化型店舗にしたこと。業務スーパーの加盟店の中で、一番最初に生鮮に特化したのが弊社の店なんです。そして、時間と手間を惜しまず、人材育成を続けてきたことなどだと考えています。

加盟までの経緯

――業務スーパーに加盟されるまでの経緯をお聞かせください。

梅原 加盟のきっかけは、自社競合です。加盟前、吹田に出していた、うちのスーパー2店舗が、明らかに競合していたんです。なにしろ、徒歩1分~2分で行き来できるぐらい近くにあったので。なんとかしようと、バブル期には、1店舗を高級スーパーに変えたりしましたが、パッとしない。だからと言って、店舗を手放せば、他社のスーパーが出てくるだけ。どうしたものかと考えていた頃、巡り合ったのが業務スーパーでした。

 当時、業務用のスーパー(小売店)は、ほとんどありませんでした。初めて見た時の感想は「なんやこれ!冷凍食品ばっかりや!」。しかも、とにかく安い。中には、弊社のスーパーでの仕入れ値より安く売られている商品もありました。こういう業務用スーパーなら、一般のスーパーとは競合しません。
 それから、業務スーパーでは特売をしないので、特売用の広告費・人手・手間もかからず、オペレーションがカンタン。それもあって、スーパー運営未経験でも店長になれた。本部の「加盟者といっしょに業務スーパーをつくっていこう」という姿勢も良かった。
 「このフランチャイズなら自社競合も解決できる。売り方も斬新で面白い」。こう考えて、加盟を決意し、弊社の「Foods Market SATAKE」吹田店を「業務スーパーTAKENOKO」吹田店に改装、2000年11月に全国で10番目の業務スーパーとしてオープンしました。自社競合解消が、そもそもの加盟理由だったので、何年までに何店舗出すとか、目標売上などは特に決めずに事業を始めました。ちなみに、加盟店名のTAKENOKO(タケノコ)は、「佐竹(食品)の子やから、タケノコや」と考えて決めたもの。"すくすく育つ"という意味もあります。

「業務スーパー」加盟店27店舗を展開
「業務スーパー」加盟店27店舗を展開

加盟店は、"業務スーパーらしさ"を打ち出しながら生鮮に特化

――業務スーパーフランチャイズは、もともと生鮮食品を扱っていませんが、その加盟店である「業務スーパーTAKENOKO」では、生鮮に重きを置かれました。生鮮に特化したいという加盟者の考えに対し、本部の反応はいかがでしたか。

梅原 野菜や肉も売りたいと伝えたところ、本部の回答は「いいですよ。ただし、"業務スーパーらしさ"は出してくださいね」。即答してくれました。本部は、加盟者の自主性を認め、良い意見は、どんどん吸収していこうとしている感じでした。

 私は、生来スーパーが大好き。業務スーパーの運営にも、熱が入りました。それで、自社のスーパー運営の経験を基に、「業務スーパーTAKENOKO」に生鮮を取り入れてみたいと考えたんです。本部の許可を受け、試行錯誤しながら、生鮮特化型業務スーパーをつくっていきました。

――本部のつくった業務スーパーという業態に、加盟者である佐竹食品のノウハウを重ねて、生鮮特化型業務スーパーというスタイルを生み出されたわけですね。"業務スーパーらしさ"を打ち出すために、どういう点に注意しましたか。

梅原 商品は量が多くて安いものにすることと、簡素なオペレーションに徹すること。これらが業務スーパーらしさですから。

 キャベツは丸ごと一玉で売り、カットの手間を省く。豚の切り落としは1パック1キロ以上、さんまの開きは1パック6枚~7枚入り、豚かつは10枚入り。1パック当たりの量を増やして、パックの総数を減らし、パックする手間を省く。「豚かつ、減らして」とおっしゃるお客様がいらしても、丁寧にお断りしました。業務スーパーは、良質でボリューム満点な商品を安く提供してお客様に喜んでいただくスーパー。これを実現するためには、シンプルなオぺレーションに徹しなければならない。だから、敢えてお客様のご要望に応えてはいけない。現場のスタッフには「10枚は10枚や。どんなに暇でも減らしたら、あかん。業務スーパーらしくせにゃ、あかんねや」と伝えて、徹底させました。

――「豚かつ1パック10枚」など、各商品の最適な量は、どうやって決めていかれましたか。

梅原 いろいろ試して、もっとも売れる量を見つけていきました。「業務スーパーTAKENOKO」のお客様は8割以上が一般のお客様。意外かもしれませんが、「豚かつ1パック10枚」は、すごく売れます。

――生鮮に特化してみて、人件費などの経費や売り上げ、利益などはどうなりましたか。

梅原 経費は増えましたが、それをはるかに上回る売り上げ、利益を出せました。簡素なオペレーションに徹したので、人手が増えたというものの、弊社の一般向けスーパーの6掛けぐらいのスタッフ数で店を回せます。一貫して業務スーパーらしさを追求したため、一般のスーパーとの差別化もできました。

生鮮に特化した業務スーパー
生鮮に特化した業務スーパー

人材育成について

――さて、フランチャイズ事業の場合、パート・アルバイトスタッフ中心に店舗を運営するケースが多く、その教育の充実度は加盟店の業績にも影響を与えます。梅原さんは、先ほど「業務スーパーTAKENOKO」を27店舗まで拡大できた理由の一つに、人材育成に力を入れてきたことを挙げられました。御社でのパート・アルバイト教育に臨む姿勢や、指導する上で大事にされていることなど、お聞かせください。

梅原 まず、社員、パートさん、アルバイトさんは、いずれも、いっしょに働く仲間、違うのは働き方だけだと考えています。長くても4年程度で辞めることになる学生アルバイトさんの教育は目下の課題ですが、勤続20年という例が珍しくないパートさんについては、社員と同じ時間と手間をかけて教育しています。
 それから、パート・アルバイト教育に限らず、そもそも教育を進める上での大前提は、自分たちは「どうなりたい」という自社のビジョンや、会社として大切にしてきた企業理念が明確であることだと考えています。しかも、これらは、自分たちで考え抜いて、自分たちの言葉で表現されたもの、自社で働いている人たちが共感できるものでなければなりません。ビジョンや理念を確立しないまま、あれこれやっても、期待したような結果を出すのは難しいでしょう。

 こう言っている私ですが、実は以前は、理念やビジョンといったものには否定的でした。弊社のビジョン「日本一楽しいスーパー」や企業理念「ありがとうの理念」を明確にして、研修などを通じて社内に浸透を図り始めたのも、業務スーパーフランチャイズ加盟から数年後のことです。ビジョンや理念の確立・浸透の前後で比べると、業務スーパー事業の売り上げ、利益率など、全てが改善しました。今では、自分たちの目指す姿、大切にしてきたことを言語化して、共有することが、いかに重要か実感しています。

――ビジョンや理念の浸透に、効果を感じていらっしゃる方法や工夫をお聞かせください。そのほか、パートの活性化に効果的な方法なども合わせて教えてください。

梅原 ビジョンや理念浸透の主な方法としては、まずは、社員やパートさんを対象にした3日間の研修や、2年に1度、全店舗の社員、パートさん、アルバイトさんを集めて行う総会。研修でビジョンや理念を学び、総会で、それらを、あらためて確認しています。

 また、日々の仕事の中での工夫としては、理念のカードの読み合わせやカレンダーなどです。カレンダーは、お客様から感謝されたエピソードを紹介したもの。「しんどそうなおばあちゃんを家までお送りしたら、感謝の言葉と菓子折りをいただいた」など、弊社の「ありがとうの理念」を実践するとは、具体的にどういうことか、伝えるためにつくりました。

 それから、パートさんの売上意識を変えるのに、デジタルサイネージが効果的でした。従業員の休憩室に設置したデジタルサイネージは、お客様から頂戴した感謝の言葉をまとめた「39のありがとうワード」の他、各店舗のイベントの様子や全店の売り上げなどが分かるようになっています。売り上げがいい店は青、もう一歩は黄、悪いところは赤と、お互いの店の状況が色分けされて一目でわかるので、さすがに「がんばろう」という気になってくれます。
 
 そして、会社や仕事に対する満足度調査は、組織の状態を把握し、改善するのに大変役立っています。調査は、年2回、社員、パートさん、アルバイトさん全てを対象に実施しています。モチベーションが下がっているなど、調査結果から、課題が見つかった店には役員が店に入って話を聞くなどして、課題の解決に当たります。調査の結果は、経営者にとって通信簿のようなもの。正直言って、結果を見るのに勇気がいる。でも、組織の規模や時代の変化に合わせて組織を変えていかなければならないので、この調査を続けています。

今後の計画とアドバイス

――今後の計画についてお聞かせください。

梅原 今後も、弊社のビジョン「日本一楽しいスーパー」を目指して歩みます。ビジョンの実現につながるフランチャイズ事業があれば、前向きに検討したいと思います。

――フランチャイズ事業をはじめたいと考えている人に、アドバイスなどお願いいたします。

梅原 一番大事なのは、自分がやりたい事業、情熱を感じる事業を手掛けることだと思います。先ほど申し上げたように、私は、そもそもスーパーが大好き。うちの従業員も、そうです。だから、熱が入って「こっちの並べ方の方が、もっと売れる!」と、現場で本部スタッフとぶつかったこともあったでしょう。でも、お互いに目指すところはいっしょ。パートナーとして知恵を出し合って、より良い業務スーパーをつくってこれました。「儲かるから」という理由だけでフランチャイズを選んでは、なかなか知恵も出ないし、苦しい時に頑張れないのではないでしょうか。

――貴重なお話をありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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