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連載コラム

第103回 加盟者事例(33)「社員を多めに置く店づくりが、パート・アルバイト定着につながると考えています」(株式会社カゴハラゴルフ 代表取締役社長 奥富 昭彦さん)

[ 2017年12月14日 ]

埼玉県熊谷市に本社を置く株式会社カゴハラゴルフは、小売り、サービス、飲食店のフランチャイズに加盟。代表取締役社長の奥富 昭彦さんに、フランチャイズ選び、加盟店の立地選定、人材採用・定着などについて伺いました。

昭和47年、ゴルフ練習場として創業

カゴハラゴルフ 代表取締役社長 奥富 昭彦氏
カゴハラゴルフ 代表取締役社長 奥富 昭彦氏

――カゴハラゴルフとはどういう会社でしょう。

奥富 カゴハラゴルフは昭和47年にゴルフ練習場として創業、現在は、ゴルフ練習場5カ所やスポーツスクールの運営、屋内フットサルコートやクライミング施設といったスポーツ施設レンタルに加え、3業態のフランチャイズ加盟店運営などを行っています。正社員は約50人、パート・アルバイトスタッフはおよそ350人、2016年度年商は約20億円です。

――取り組まれているフランチャイズ事業を、具体的にお聞かせください。

奥富 新品・中古クラブ販売、クラブ買取の「ゴルフパートナー」2店舗、スポーツクラブ「ジョイフィット」3店舗、フルサービス型喫茶店「コメダ珈琲店」7店舗です。

「地域社会に喜ばれるフランチャイズを選ぶ」

――なぜ、フランチャイズ事業を始めようと考えられたのでしょう。

奥富 15年ぐらい前、幹線道路沿いに加速度的に新業態や新しいタイプの店舗が増えていきました。これを見て、当社も売上増とリスクヘッジを狙って、こうした幹線道路沿いで異業種の事業を手掛けてみたいと考えたのです。とはいえ、異業種なのでノウハウがないから、フランチャイズに加盟してやっていこうと。それで、どんな事業がいいか、リサーチをして、約10年前にゴルフパートナーとジョイフィット、5年ぐらい前にコメダ珈琲店に加盟しました。

――フランチャイズは、どういう条件で選ばれましたか。

奥富 「地域の皆様に喜んでいただけそうな事業」であることです。中でも、健全で文化的な事業がいいと考えました。当初は、「(ゴルフ練習場運営などの)既存事業にマッチすること」も条件でした。これらの条件に合ったのがゴルフパートナー。ゴルフパートナーの店舗は、弊社のゴルフ練習場内に出店しました。
 
 ジョイフィットも、地元の大人の方々に喜んでいただけると考えて加盟しました。というのも、自社で子ども向けのフットサルスクールを始めたところ、大変喜ばれましてね、こんなに喜んでいただけるなら、今度は大人向けのスポーツクラブをやろうと決めたわけです。
 
 一方、コメダ珈琲店への加盟を決めた時は、地域の皆様の一週間のサイクルに思いを巡らせ、「一週間の内、半日ぐらいは、のんびりできるといいんじゃないか」と考えました。それまで、私どもは、ゴルフ練習場など、数時間楽しめる場所をつくってきましたから、今度は、ゆったり半日過ごせるような場所をつくれば、歓迎していただけると思ったのです。ちょうどその頃知ったのが、コメダ珈琲店。コメダの「くつろぐ、いちばんいいところ」というキャッチフレーズに、「これだ。心地よい空間を提供する事業がいい」と感じました。

カゴハラゴルフが運営する「コメダ珈琲店」所沢牛沼店
カゴハラゴルフが運営する「コメダ珈琲店」所沢牛沼店

立地選定で重視していること

――加盟者にとって、フランチャイズ選びと同じく、「どこに加盟店を出すか」という加盟店の立地・物件選びも非常に重要なこと。立地・物件選定において、重視されていることはありますか。

奥富 必ず、2人で行うようにしています。立地選定だけでなくフランチャイズ選びも、私の弟で、店舗開発を担当してくれている「奥富 普」と二人三脚で取り組んできました。こうした重要なことを一人で決断するのは大変難しいし、危険でもある。一人では、個人の主観が入りがちだからです。2人の目で見ることで、より客観的に判断できます。弊社で運営しているロードサイド型のコメダ珈琲店で言うと、7店舗中4店舗は、本部から提案された物件でしたが、3店舗は弟と2人で探し出したものです。

――これまでのご経験から、「良い物件」の特徴など教えていただけますか。

奥富 ロードサイド型の場合、「生活感にあふれた通り」に面していること。反対にダメなのは、トラックが行きかうような産業道路。「生活感にあふれた」とは、歩道や並木があり、どこか人間味や温かみを感じさせるという意味です。「車の出入りがラク」という点も大事な特徴です。

採用・定着難への対応

――今は採用・定着難の時代と言われます。まず、パート・アルバイトスタッフの集まり具合はいかがですか。

奥富 スポーツ好きの若い人はいるものなので、ジョイフィットは、社員もパート・アルバイトスタッフも集まりやすいです。一方、コメダ珈琲店の方は、他の飲食店同様、新規オープンに合わせて新たに雇う「オープニングスタッフ」の集まりは比較的いいものの、それ以外はなかなか厳しい。

――そうなると、オープニングスタッフの離職防止が重要になってくると考えられます。特に、オープンから日が浅い頃は、週末などの店の混み合う日が続くと、スタッフは、店のオペレーションに慣れていないだけにストレスが高まり、離職リスクもアップしがち。御社では、こうしたオープン間もない頃の離職リスクをどう抑えてこられましたか。

奥富 コメダ珈琲店の一号店をオープンした時は、はじめてのことですし、本部スタッフの応援を受けながら無我夢中で乗り切った感じです。二店舗目以降は、円滑に店を立ち上げることが大事であると分かってきましたから、一層真剣に研修に取り組んだり、スタッフのスキルアップを図ったりしてオープンに臨みました。

 また、「その場のリーダー」を置くようにしました。店長クラスのスタッフでなくても、「この人がいれば店が回る」というスタッフであればいい。このスタッフがリーダーとなって指示を出していけば、まだ慣れていないスタッフも右往左往しなくて済みます。本部は、2店舗目以降も、オープン時にサポートしてくれましたが、それに頼りすぎてはダメ。自分たちで対応できるようにすることが、本部にとっても加盟者にとってもベストなことです。

――リーダー格のスタッフが必ず店に入るようシフトを組んでおけば、的確なオペレーションがしやすいだけ、経験の浅いスタッフのストレス、ひいては離職リスクも軽減できます。
さて、それでは次に、オープン後、店が落ち着いてからのスタッフの定着について伺います。スタッフに長く働いてもらうために工夫されていることなどを、お聞かせください。

奥富 いろいろありますが、特徴的なものを挙げるとすれば、「社員を多めに配置すること」でしょうか。一般に、フランチャイズ事業では、社員を減らしてパート・アルバイトスタッフ中心に店を運営する傾向にありますが、当社ではどの業態の店舗でも標準より社員が多めに入っています。コメダ珈琲店で言えば、一店舗に2人~3人の社員を置いています。
実は、社員を多く置くことのそもそもの目的は、より高品質なサービスの提供です。社員を多くした結果、パート・アルバイトスタッフが定着するようになるのではないかと考えています。

――社員を多く置くことで、サービスや店舗はどう変わりますか。

奥富 通常、社員のサービスレベルはパート・アルバイトより高いですから、社員の多い店舗の方がより行き届いた接客ができ、自ずと店舗の安定感や安心感も高まります。こうした雰囲気の店舗なら、お客様に一層寛いで過ごしていただけます。

 弊社は創業から45年、地域社会との信頼関係を築いてきました。私どもが営むコメダ珈琲店は、フランチャイズ加盟店ですが、地域の皆様からすればカゴハラゴルフが運営している喫茶店。地元の方々との信頼関係を守り、カゴハラゴルフの店として、高品質なサービスで満足していただくために社員を多くしています。

――なるほど。それでは、社員を多めに配置することが、パート・アルバイトスタッフの定着にどうつながっていくのでしょう。

奥富 店舗に2人~3人の社員がいれば、クレームなどがあった場合、毎回とはいかないまでも、いずれかの社員が対応できます。社員一人体制の店舗に比べ、社員不在時などに、パート・アルバイトスタッフがクレーム対応するケースが減り、クレーム対応というスタッフにとっての大きなストレスも軽減できるわけです。

 また、複数の社員がいれば、スタッフの間に入って仲を取り持ったり、それぞれの相性を考えてシフトを組んだりするなど、スタッフへの目配りを一層きめ細かく行えます。たった一人の社員で、大勢のスタッフと密にコミュニケーションして、店舗をしっかりまとめるというのはかなり難しいでしょう。

 このように社員を多めに配置する体制は、パート・アルバイトスタッフにとって、より居心地のいい職場をつくれるため、結果的にスタッフの定着につながると考えています。効果のほどは、今はまだはっきりしませんが、店舗数が増え、年を重ねるにつれ、見えてくるのではないか、この体制が当社の強みになるのではないかと期待しています。

居心地のいい職場づくりがスタッフ定着につながる(1)    居心地のいい職場づくりがスタッフ定着につながる(2)
居心地のいい職場づくりがスタッフ定着につながる

今後の計画とアドバイス

――今後の計画についてお聞かせください。

奥富 地域の皆様に喜んでいただけそうなフランチャイズ事業があれば、前向きに検討していきたいです。

――フランチャイズ事業をはじめたいと考えている人に、アドバイスなどお願いいたします。

奥富 これまで、フランチャイズ・立地選び、スタッフの定着についてお話ししてきましたが、最後にもう一つ、加盟者にとって重要と考えていることを加えておきます。それは、金融機関との信頼関係を築くこと。普段から、事業の状況を報告したり、会社の方向性ややりたいことなどをお話したりして、いい関係が築けていると、事業計画を親身になって考え、アドバイスしてくれますし、円滑な資金調達につながります。
 
 これらのことを念頭に、慎重に綿密にシミュレーションしてから、フランチャイズ事業に取り組むようにしてください。

――ありがとうございました。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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