連載コラム

第1回 社員独立制度

[ 2008年12月26日 ]

社員独立制度とは、FC本部社員が、加盟者として独立することを支援する制度。多くのFCが、独立に際し、一定の資格や条件を設けています。

[事例1]カレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」(FC本部:株式会社壱番屋 http://www.ichibanya.co.jp/)〜入社時は資金ゼロでもOK〜

 カレーハウスCoCo壱番屋は、日本最大のカレー専門店FC。現在、大半の加盟者が、社員独立制度を利用して独立した元社員です。
 独立希望者は、まず独立候補社員として入社。現場経験を積み、独立資格を得て独立します。入社から資格を取得して独立するまで平均4〜5年。この間に、独立候補社員は、いろいろなタイプの店、例えば、小型店、駐車場付の大型店、超繁盛店などを経験し、店舗運営スキルを高めていきます。独立候補社員に応募してくる方は、20歳〜35歳までの男性が多いそうです。また、同FCでは、調理技術やマネジメント能力などの習得ごとに付与される9つの等級が設定されており、3等級以上の取得が、独立資格の条件の一つになっています。独立資格を得るためのそのほかの条件は、「独立候補社員として入社していること」、「最低2年の勤務期間」などがあり、中でも、もっとも独立希望者を悩ませるという条件が「自己資金200万円以上の準備」だそうです。入社時は資金ゼロでも、独立までに、200万円貯金する必要があるのです。しかし貯金は、数値管理能力の基本。これをクリアできないようでは、店舗のコストを着実に管理し、利益を確実に出し続けるのは難しいはずです。ですので、本部としては、貯金も含めた資格取得への努力を、事業を成功させるための修行と考え、頑張って欲しいとのことです。

写真

[事例2]海鮮居酒屋「はなの舞」(FC本部:チムニー株式会社 http://www.chimney.co.jp)〜ポイント制で創業加盟費用を減額〜

 チムニーでは、はなの舞を初めとする複数の業態を展開しており、社員独立制度により、基本的に好きな業態を選んで独立できます。
 独立希望を表明した社員は、本部の指定する店舗に店長として入ります。そこで売上アップを果せれば、独立審査を受けることになります。このとき、登場してくるのがポイント制。独立希望者の会社への貢献度などをポイント化し、これを1ポイント=1000円で換算、経営会議の判断を加えて最終的に弾き出した金額を、独立に必要な、創業加盟費用から差し引きます。こうして算出された創業に必要な金額が、独立希望者にとって無理のないものであれば、独立が認められます。同社では、4〜5年前から社員独立制度を始めましたが、2008年7月からポイント制を導入したところ、それまで1年間で3〜4名だった独立者が、08年には13名に急増したそうです。
 同社独立制度は、勤務年数、社員等級、年齢などで制限をしていないため、08年の独立者は、25歳〜43歳と、幅広い年齢層になっています。
 また独立事例の中には、内気だった社員が、独立を志してからは、信念と努力で自らを磨き、独立審査の一環として本部から運営を任された不振店を、わずか2ヶ月で黒字にしたケースもあるといいます。独立はけして生易しいものではないので、本部としては、社員のうちに経営手腕を鍛えられる、社員独立制度に力を入れ、独立成功事例を多数出していきたいそうです。

写真

[事例3]とらふぐ専門店「玄品ふぐ」(FC本部:株式会社関門海 http://www.kanmonkai.co.jp)〜中高年の人間力生かせる社内独立制度〜

 玄品ふぐは、独自の養殖技術で、安価で美味いふぐを提供しています。同社の社内独立制度は、ある種の業務委託になっています。独立を目指す社員は、まず、ふぐ料理の免許を取得、その後直営店に店長として入ります。その店での実績をもとに、独立の成否が審査されます。審査時には、売上などの数字よりも、独立希望者の人としての魅力、人間力などを重視するそうです。なぜなら、ふぐ専門店という特性から、舌の肥えたお客様をどのくらい常連客にできるかが、問われる業態なので、店長の人間性差別化の要になるからです。従って、本部は、40代以上の人生経験豊富な方こそ、社内独立制度で力を発揮できると考えているそうです。
さて、審査に合格し、社内独立が認められれば、店を任され、店の売上の一部を報酬として受け取ることになります。なお、社内独立時には、300万円の加盟金を含み、700万円〜800万円の資金が必要になります。希望すれば、5年程度の社内独立を経験した上で、店の買い取りも可能です。
社内独立制度は、5年ほど前から実施。これまでの社内独立では、40代前半の飲食業経験者が多く、入社から独立までは2年〜3年かかっていました。今後は、未経験者の社内独立希望者も受け入れていく計画です。本部によると、店長の人間力で伸ばせる業態なので、不況にも関わらず良い業績を上げている店もあるといいます。本気で自らの力を試したい方は、全力でサポートするので、お問い合わせいただきたいということです。

写真

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP