連載コラム

第13回 食堂・定食店

[ 2009年12月28日 ]

第13回 食堂・定食店食堂・定食店は、お手ごろ価格とボリューム感で集客する業態が目立つため、景気低迷中の今、注目を集めています。今回は、個性豊かな食堂・定食店フランチャイズをご紹介しましょう。

[事例1]中華食堂「大阪王将」

(フランチャイズ本部:イートアンド株式会社http://fc.osaka-ohsho.com/
~不況下でも右肩上がり!プロの味で差別化~

フランチャイズ本部:イートアンド株式会社

 中華食堂「大阪王将」の主なメニューは、点心、麺類、丼もの、炒めもの、逸品料理など、多くの人に親しまれた大衆中華料理。店舗数は、直営店11店、加盟店197店(2009年10月現在)です。
 リーマンショック以降、苦戦する飲食店が多い中、大阪王将の売上は、右肩上がりで伸びています。本部では、その主な理由は、客が商品価格から予想するレベル以上の、商品品質やボリューム、店舗空間を提供していることにあると考えています。例えば大阪王将なら、お手ごろ価格で、家庭では出せないプロの味の中華料理を、お腹いっぱい食べられます。しかも、適度にポップで明るい雰囲気の店舗デザインなので、女性一人でも、家族連れでも気軽に入れます。こうした特徴が、幅広い客に評価され、大阪王将の成長を支えているというわけです。
 これらの特徴の中で、特にプロの味は、競合他社の追随を許さない強力な要因にもなっています。プロの味を習得するために、加盟店には50日間の研修が義務づけられています。この研修を受けるスタッフの条件は、飲食業経験があること。また、研修の後には、独自の検定試験も用意されています。この時間と手間がかかる研修があってこそ、初めてお手ごろ価格でプロの味を楽しませる中華食堂は成立します。このように、誰もが簡単に開業できる業態ではないので、これが参入障壁となり、中華食堂業態は過当競争に陥りにくくなっています。この業態特性は、大阪王将の安定経営を促す一因にもなっています。
 大阪王将の標準開業資金は、ビルイン型(標準店舗規模25坪~40坪)で約3200万円、ロードサイド型(同40坪~50坪)で約4800万円。ロイヤルティは不要。オープン後1年間のコンサルティングがありますが、それ以降は加盟店からの要望があったときのみ指導を行います(コンサルティング費は売上の2%)。

[事例2]定食店「大戸屋」

(フランチャイズ本部:株式会社大戸屋http://www.ootoya.com/index.html
~店内調理にこだわり、美味しさアップ~

フランチャイズ本部:イー・ライフ・グループ株式会社

 定食店「大戸屋」では、「焼き魚」「豚肉の生姜焼き」「親子丼」など、広く一般に親しまれた家庭料理を提供しています。
 大戸屋の特徴の一つが、店内での調理を重視していること。飲食チェーン業界では、セントラルキッチンなどで、下処理をしたり、ある程度調理を済ませた食材を用いるケースが目立ちますが、大戸屋は、タレや一部の食材を除き、原則的に各店で野菜、肉、魚などの食材を洗ったり、切ったりするところから調理を始め、料理を仕上げていきます。平均して、調理の80%~90%を店舗で行っています。その結果、鮮度の高い食材を使用できるため、食感が良く、味わいも深い美味しい料理を出せるわけです。大戸屋の第二の特徴は、女性一人でも気軽に入れる店作り。入り口近くに設けられた、写真付きで分かりやすいメニュー表や商品サンプルの陳列ケース、明るく清潔感ある店舗空間などで、安心感を与え来店を促します。
 これら2つの特徴により、多くの客の支持を集めた結果、大戸屋は、現在直営店122店(国内)、38店(海外)、加盟店94店を数えるまでに成長しました。中心メニューが、誰もが馴染みのある家庭料理なので、主要客層は、30代~80代までと幅広く、男女比はちょうど5対5程度、客単価は750円~780円になっています。
 なお店内調理など手間のかかる作業が多いため、本部では、加盟店に作業の効率化、コスト管理の徹底などを指導し、利益確保の容易な運営体制作りを支援していきます。加盟店オーナーの7割~8割は、こうして学んだ効率的店舗運営に加え、多店舗化して一層利益を伸ばしています。ビルイン型標準開業資金は、4500万円~5000万円(標準店舗規模45坪~50坪。店舗取得費込み)。

[事例3]肉料理専門食堂「肉屋の正直な食堂」

(フランチャイズ本部:株式会社八百八町http://e-808.com/nikuya/
~「安い・アツアツ・おかわり自由」で成長中~

フランチャイズ本部:株式会社日本介護福祉グループ

 肉料理専門食堂「肉屋の正直な食堂」では、各種ステーキ、たっぷりの肉と野菜で作る鍋もの、焼きもの、炒めものを提供しています。2006年11月に第一号店を出店、加盟店募集は09年10月よりスタート、09年12月現在、店舗数は直営5店、社員独立店4店、加盟店3店です。
 この食堂は、客に、IH調理器で自ら料理して食べてもらうタイプの店です。料理と言っても、素材に火が通るまでの数分間、適宜鍋をかきまぜる程度。自分の好みに合わせて調理ができ、アツアツの状態を保ったままで食べられます。また、好きなだけ炊き立てご飯のおかわりができます。500円~600円代のメニューも充実しており、これがオーダーの6割~7割を占めています。
 一方、店舗外観は、明るく開放感があり、一歩中に入ると、店内は、随所に飾られたアンティークの雑貨や家具、程よいボリュームで流れるジャズで、落ち着きのある空間になっています。これらの特徴を持つ「肉屋の正直な食堂」は、「安くて品質の良いもの」を求める不況下の客に認められ、リーマンショック以降、客数は40%増、売上は5%~10%増など業績好調です。
 なお店舗では少ない人手で店が回せるよう、券売機を用いた前払い制を採用、さらに調理場での主な仕事は、食材を鍋に入れたり、ご飯を盛るといったシンプルな作業なので、飲食業未経験でも取り組みやすい店舗運営になっています。
 標準開業資金20,902,500円(標準店舗規模15坪。物件取得費別)。一般的加盟契約のほかに、社員独立制度、既存店を営業委託するプレフランチャイズ制度もあります。

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執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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