連載コラム

第15回 ベーカリーショップ

[ 2010年3月29日 ]

手ごろな食事、スイーツの一種として広く親しまれているパン。ベーカリーショップには、安定した需要が見込める反面、明確な個性がないと厳しい競合の中で生き残れません。各フランチャイズチェーンの「ウリ」に注目してみましょう。

[事例1]ベーカリーショップ「リトルマーメイド」

(フランチャイズ本部:株式会社マーメイドベーカリーパートナーズhttp://www.mermaid-bp.co.jp/
~冷凍パン生地のパイオニア、美味さ研究し全国388店舗展開~

フランチャイズ本部:株式会社マーメイドベーカリーパートナーズ

 ベーカリーショップ「リトルマーメイド」は、全国で直営24店、加盟店364店を展開中(2009年9月現在)。加盟者のうち、4割は脱サラなどの個人加盟者、6割は法人加盟者です。
 リトルマーメイドは、日本で初めて冷凍パン生地を使ってパンを作る「ベイクオフシステム」を開始。このシステムにより、焼きたてパンを提供することができるようになりました。リトルマーメイドでは、焼きたてを提供するという美味しさの基本に加え、長い年月をかけて、冷凍パン生地から美味しいパンを作る研究を重ねてきました。その歴史の長さだけ、味には定評があり、これを加盟理由の一つに挙げる加盟者も少なくないそうです。
 このベイクオフシステムはまた、未経験者にもベーカリーショップの経営を可能にしました。パンを焼き上げる工程の中で、もっともプロの技術が必要な部分を本部が行い、成型、冷凍した生地を加盟店に配送するため、加盟店は解凍から焼き上げまでの比較的楽な工程を担当すればいいからです。加えてリトルマーメイドでは、加盟店サポート体制の充実で、未経験からの加盟を一層強力にバックアップしています。店舗運営に必要な研修や毎月の加盟店訪問指導に加え、商品の品質や接客面の改善が必要な加盟店には、本部の専門スタッフによる「集中改善活動」を行う体制を整えています。だからこそ、個人加盟者のほぼ100%、法人加盟者の80%が未経験で加盟に踏み切っています。
 リトルマーメイドの標準店舗規模は約20坪、標準開業資金約3,000万円(店舗取得費別)。なお、マーメイドベーカリーパートナーズでは、この他にもフランチャイズ加盟店募集中の業態としてサンドイッチカフェ&ベーカリー業態「カフェデンマルク」(14店)、ベーカリーで差別化したカフェ業態「マーメイドカフェ」(5店)、フランチャイズ準備中の業態として、デニッシュバー専門小型店「デニッシュバー」(2店)を展開中(店舗数は2009年9月現在)。


[事例2]ベーカリーショップ「コンセルボ」

(フランチャイズ本部:岡野食品産業株式会社http://www.okano.co.jp/
~「小開業資金・品揃え自由・面倒見の良さ」で個人加盟者9割~

ベーカリーショップ「コンセルボ」

 ベーカリーショップ「コンセルボ」は、直営4店、加盟店146店を展開中。加盟者の9割が脱サラなどの個人加盟者です。個人加盟者が圧倒的に多い理由の一つに、比較的開業資金が低いことが挙げられます(標準開業資金約2,000万円(店舗取得費別)。標準店舗規模約20坪)。また加盟者の8割以上が未経験から加盟しています。既存店舗の多くが、スーパーなどに出店しているため、店舗の主要客層は30代~40代の主婦層、客単価は450円。
 原則的に、コンセルボでは、各店の立地や客層に合わせて、加盟者が自由に取扱商品を決められます。この点は、客からも加盟者からも評価されています。その理由は、客は、チェーンなのに店ごとに違う商品が楽しめますし、加盟者は自らの考えが店作りに反映できるからです。
 この経営の自由度の高さに加え、多くの既存加盟者が主な加盟理由として挙げているのが、本部の面倒見の良さ。基本的に毎月1回、加盟店を回って経営指導を行いますが、店の状況に応じてよりきめ細かく対応しています。例えば、加盟者は、売上や経費などの数字から、経営状況を把握し、より良い対策を取っていかなければなりませんが、本部はこのような数字が苦手な加盟者には、その読み方や利益を伸ばすために、どういった視点で経費を管理すべきかをアドバイスしていきます。
 未経験での加盟も可能。加盟者の成功を左右するのは、経験の有無より、本人のやる気。他加盟店の成功事例から学び、自分の店にそれを生かすなど、積極的に努力していくことが成功には欠かせないそうです。


[事例3]米粉パン専門店「和良(わら)」

(フランチャイズ本部:アドタッチ株式会社http://www.komekopan.jp/
~国の食料自給率アップ活動も後押し!独特のもちもち感・国産米100%の米粉パン~

アドタッチ株式会社

 米粉パン専門店「和良」は、2009年秋よりフランチャイズ加盟店募集開始。2010年3月現在、直営1店舗を岡山市で展開。月内には都内に直営2店舗オープン予定です。
 最近、流通している米粉パンの大半は、粉の3割のみが米粉であるのに対し、和良のパンは、全品米粉80%以上、しかも国産米100%の米粉を使用しており、専門店として明確に差別化しています。和良の米粉パンの特徴は、まず従来の小麦主体のパンとは異なる独特のもちもち感、米ならではの甘さや美味み。そして小麦パンのように大量のバターを使用しないので、低カロリー。国産米100%の安心感などがあります。現在取り扱っている商品は約60種類、価格帯は80円~450円(岡山一号店の場合)と小麦パンに比べ数十円程度高め。フランチャイズ本部としては岡山1号店の来店数が150名~200名前後だったことから、首都圏では月商800万円は可能だと考えているそうです。
 未経験での加盟は可能ですが、現時点では店舗でパンを作るため、標準店(20坪~25坪)で2名のパン職人雇用が条件になります。パン作りの経験者でも、美味しい米粉パン作りの習得にはおよそ1カ月かかります。しかしこの技術面でのハードルが、米粉パン専門店業態への参入障壁となり、過当競争に陥るリスクを軽減している点もあります。ちなみにパン職人は腕を磨くために転職する傾向が強いため、比較的楽に適切な人材を見つけ、雇用できるということです。
 標準初期投資額(物件保証金除く)は2,060万円。個人、法人を問わず加盟できますが、加盟に際し、自己資金1,000万円は必要。

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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