連載コラム

第18回 たい焼き&団子

[ 2010年6月28日 ]

富士経済の「スイーツ市場のチャネル別需要分析調査2010」によると、たい焼きチェーン市場は2008年度は78億円でしたが、09年になると約5倍の388億円に急拡大する見込みです。急拡大の背景にはたい焼きブームがあります。一過性のブームに終わらず、長く繁栄する事業を目指すなら、加盟前に各フランチャイズの商品力、オペレーション、サポート体制などを比較検討しましょう。

[事例1]たい焼き店「元祖白いたいやき尾長屋」

(フランチャイズ本部:株式会社尾長屋http://www.onagaya-fc.com/
~粉の配合・あん・水にこだわって開発した「白いたいやき」~

フランチャイズ本部:株式会社城南進学研究社

 たい焼きブームを巻き起こしたと言われる白いたい焼き。尾長屋は白いたい焼き開発者の証として、「元祖白いたいやき」の商標を取得しています。
 たい焼きが白いのは、生地に含まれるタピオカの成分によるものです。粉の独自ブレンドにより、これまでのたい焼きにはないもちもち感を出しています。またあんは100%無添加・国産にこだわり、黒あんは北海道小豆、白あんはインゲンマメの一品種「大手亡(おおてぼう)」を使用しています。さらにあんを炊いたり、粉を溶く際に用いる水は、オーダーメード浄水器でろ過した水を用いています。選び抜いた原材料から作る「白いたいやき」は、他社の白いたい焼きとはもちもち感の度合いや、あんと生地とのバランスが微妙に違います。加盟理由の中で一番多いのは「食べ比べると尾長屋のたいやきが一番美味しかった」ことだと言います。
 ひと頃のたい焼きブームは落ち着いたものの、尾長屋の未出店地域はまだ多数あります。現在は空白地帯の中で出店条件を満たす地域を狙って、店舗展開を進めています。調理は容易なので、基本的に研修は2日間です。希望があれば有料で技術指導を追加できますが、およそ半数の加盟者は基本の研修に加え1日程度の技術指導を受けています。開業後は、SV(スーパーバイザー)による月1回の訪問指導のほか、加盟者向け情報誌の配布なども行っています。情報誌では、加盟者によるイベント開催などの成功事例を紹介し、売り上げアップのヒントを共有しています。

<元祖白いたいやき尾長屋>

フランチャイズ展開開始年 2008年9月
直営店舗数 / 加盟店舗数(2010年6月現在) 2店舗 / 146店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
個人約50%、法人約50%
加盟者における業界未経験者の比率 ほぼ100%
標準店舗規模 / 標準投資額
(店舗取得費、内装費別途)
8坪~10坪 / 約350万円
(消費税別)
 


[事例2]鯛焼き処「武蔵家」

(フランチャイズ本部:アークランドサービス株式会社http://www.arclandservice.co.jp/musashiya/shoplist.html
~遊休地活用に最適!わずか3坪で開業できるたい焼き店~

株式会社個学舎

 武蔵家のたい焼きは、甘さを抑えたあんとぱりぱりの羽根(たい焼きの周囲の薄皮部分)が特徴です。市販のあんは糖度がおよそ50度であるのに対し、武蔵家のあんは38度。現代の健康志向にもマッチした、控えめの甘さで小豆本来の美味しさを引き立てています。
 一般に、羽根つきのたい焼きは焦げやすいため火加減が難しいといわれますが、武蔵家ではマイコン制御の電気式焼き台を開発、誰でも簡単に焼けるようにしています。ガス式では調理に10分ほどかかりますが、電気式では5分~6分程度。調理時間が半分ですむため、ピーク時でも作り置きをすることなく焼き立てを提供できます。最初に開発した焼き台は清掃に2時間もかかっていましたが、生地の液がかからないように熱源導線の位置を変えるなど焼き台の開発を重ね、現在の4代目の焼き台では清掃時間は20分にまで短縮しています。
 本部のアークランドサービスは、とんかつ専門店フランチャイズ「かつや」も展開しています。かつやで粉類の取引があるため、武蔵家で扱う粉の原価を引き下げることができました。競合するたい焼き店の原価率は平均35%~40%ですが、武蔵家では30.5%になっています。また、武蔵家の加盟店は、かつやの全国に広がる物流網やSV(スーパーバイザー)など基本的なインフラを活用できるようになっています。武蔵家は、フランチャイズ展開を開始したばかりですが、フランチャイズ本部としての体制は整っているため、展開当初から加盟店に手厚いサポートができるわけです。なお、武蔵家の店舗規模は3坪程度なので、特に駐車場などの遊休地活用ビジネスとして最適だということです。

<鯛焼き処「武蔵家」>

フランチャイズ展開開始年 2010年
直営店舗数 / 加盟店舗数(2010年6月末現在) 13店舗 / 1店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
― (※個人、法人ともに加盟可能)
加盟者における業界未経験者の比率 ― (※未経験での加盟可能)
標準店舗規模 / 標準投資額
(店舗取得費、内装費別途)
3坪 / 約700万円
 


[事例3]団子・たい焼き・たこ焼き「米乃家」

(フランチャイズ本部:株式会社サムライズhttp://www.yonenoya.jp/index.php
~巧みな商品提案力で対前年度比売り上げ103%アップ~

株式会社TRGネットワーク

 米乃家は、昭和23年に創業。現在ではメイン商品の団子に、たい焼き、たこ焼きを加えた3品が店の看板商品となっています。また立地に合わせてお好み焼き、焼きそばなどの商品を扱うこともでき、本部の了解を得れば、加盟店で独自商品も取り入れられます。幅広い商品構成で、ブームに左右されない安定感のある店舗運営を目指しています。
 看板商品の人気の理由は、団子は冷めても柔らかく美味しいこと、たい焼きはぱりぱりの皮と十勝産小豆のあん、たこ焼きは中はとろとろ、外はふわふわの食感ということです。7日間の研修で未経験者でも容易に調理を習得できます。
 売上高の前年割れも珍しくない飲食業界の中で、米乃家は例えば、暑さを感じ始めると「冷やしたい焼き」や「おろしねぎポン酢たこ焼き」など涼感ある商品を投入したり、ひな祭りの限定商品として「ひな団子」を販売するなど、商品提案力で需要を喚起し、対前年度比売上高103%アップを実現しています。
 米乃家ではロイヤルティを設定しておらず、開業後の定期的な加盟店の訪問指導は実施していませんが、年4回の商品メニュー変更時には必ず加盟店を訪ねて指導に当たっています。またコスト管理など加盟店経営の根幹に関わる課題については、随時対応しています。なお、商品開発、商品供給を行う対価として原料供給費(毎月の仕入額の5%)を設定しています。

<団子・たい焼き・たこ焼き「米乃家」>

フランチャイズ展開開始年 2006年
直営店舗数 / 加盟店舗数(2010年6月末現在) 19店舗 / 38店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
個人約40%、法人約60%
加盟者における業界未経験者の比率 約70%
標準店舗規模 / 標準投資額
(店舗取得費、内装費別途)
6坪 / 約600万円
 


注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP