連載コラム

第20回 お手頃イタリアン

[ 2010年8月23日 ]

商品品質、サービス、店舗の雰囲気など店舗が全体として提供するものの対価として価格を見た時に「お手頃感」を感じてもらう。それぞれの取り組み方で独自のお手頃感を創り出してきたフランチャイズチェーンをご紹介します。

[事例1]イタリア料理店「イタリア料理 カプリチョーザ」

(フランチャイズ本部:株式会社WDI JAPAN http://www.wdi.co.jp/ja/fc-capri.html)
~「伝説のシェフの味」をボリューム満点で提供~

株式会社WDI JAPAN

 カプリチョーザ創業者の故本多征昭氏は1962年料理修業のため渡伊。研鑽を積み、ヨーロッパのコンテストで多数の賞を受けるようになり、イタリア政府からも評価され、1970年に大阪で開かれた万国博覧会のイタリア館シェフに抜擢されました。本場イタリアで認められた本多氏のレシピと味をカプリチョーザは今も守っています。
 主なメニューは前菜、サラダ、スープ、パスタ、ピッツァなど。料理の基本となるトマトソースはイタリアの契約農場で作られたトマトを直輸入して作り、オリジナルの味わいを出しています。加盟店には未経験者でも料理をマスターできる45日~50日の開業前研修が用意されているほか、開業後は3カ月に一回開かれるパスタ、ピッツァなど基本メニューの講習会への参加が義務付けられています。さらにある程度以上経験を積んだ調理担当者を対象に、料理の基礎から学ぶ研修も設けています。調理研修の徹底で創業の味を保持しているわけです。
 一般のパスタ専門店ではレギュラーサイズでパスタの量は100g程度と言われますが、カプリチョーザでは150g。価格帯は910円~1,160円。本場のおいしさをたっぷり楽しめるお手頃感がカプリチョーザの魅力になっています。なお大量仕入れによるスケールメリットや、一人の従業員が接客から厨房までこなし限られた人数で効率的に店を回す体制により、原材料費、人件費を抑制、FLコスト(※)を56%にまで抑えています。22年間チェーンを支えた原動力は伝説の味と効率経営にあるようです。
※FLコスト:商品原価(Food)と人件費(Labor)の合計。一般に飲食フランチャイズのFLコストは売上の60%以下が望ましいとされている。

<イタリア料理店「イタリア料理 カプリチョーザ」>

フランチャイズ展開開始年 1988年
直営店舗数 / 加盟店舗数(2010年8月現在) 42店舗 / 78店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
法人加盟者100%(※法人加盟者のみ募集)
加盟者における業界未経験者の比率 約20%
標準店舗規模 / 標準投資額
(店舗取得費別)
40坪 / 約4,800万円
 


[事例2]イタリアンカフェ「イタリアン・トマト カフェジュニア」

(フランチャイズ本部:株式会社イタリアントマトhttp://www.italiantomato.co.jp/fc/index.html)
~「速い・うまい・安い」パスタカフェ。NOアイドルタイム、高客単価!~

株式会社イタリアントマト

 白とこげ茶を基調にしたシックで都会的な雰囲気のセルフ式カフェ「イタリアン・トマト カフェジュニア」では、わずか20秒でアルデンテの状態になるパスタを使用。パスタに旬のイタリアトマトで作ったオリジナルトマトソースや厨房で炒めたニンニクなどの野菜類を加えるなど、ひと手間かけて提供しています。しかも価格帯は390円~650円。「速い・うまい・安い」パスタは手早くおいしいものが食べたい客に人気です。セルフ式クイックカフェのケーキは冷凍ものが主流ですが、カフェジュニアでは生ケーキを扱っています。各地域に製造工場があるため、全国の店で生ケーキの「前日注文・翌日配送」が可能だからです。生ケーキはおいしさはもちろん、種類が豊富な点でも冷凍ものに勝っています。また親会社がキーコーヒーなので高品質の生豆を厳選、深煎りしてマイルドな味にしたオリジナルコーヒーを販売しています。味、価格、店の雰囲気に厳しい女性客が利用客の8割を占めるというのも頷けます。
 カフェにも食事にも利用できる店舗なので基本的にアイドルタイムがありません。フードメニューが充実しているため、一般的なカフェの客単価が350円~400円であるのに対し、カフェ利用中心の都市型店舗では客単価500円、食事利用が多い地方のショッピングセンター内の店舗では700円以上になります。
 オペレーションの簡略化、メニューの絞り込みにより、開業前研修はおよそ2週間。有力なショッピングセンターへの好条件での出店情報などを加盟者に紹介しています。

<イタリアンカフェ「イタリアン・トマト カフェジュニア」>

フランチャイズ展開開始年 1995年
直営店舗数 / 加盟店舗数(2010年8月末現在) 48店舗 / 152店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
個人加盟者25% 法人加盟者75%
加盟者における業界未経験者の比率 20%~25%
標準店舗規模 / 標準投資額
(店舗取得費金別)
30坪 / 約3,500万円
 


[事例3]スパゲティ専門店「ゆであげ生スパゲティ ポポラマーマ」

(フランチャイズ本部:株式会社ポポラマーマ http://www.popolamama.com/)
~モチモチ生パスタを相場価格の6掛けで提供~

スパゲティ専門店「ゆであげ生スパゲティ ポポラマーマ」

 前菜、パスタ、ピッツァ、デザートなどを主なメニューとするポポラマーマ。最大のウリは生パスタ。つなぎに強力粉などを使った生パスタが一般的ですが、ポポラマーマの生パスタはおいしいパスタには不可欠とされる「デュラムセモリナ」(デュラム小麦を粗挽きにしたもの)100%。これ以外の原材料は塩、卵白、水だけです。特注のパスタマシーンにより高圧でパスタ生地を作ることで他店ではまねのできないモチモチ感を出す一方、加圧時の熱が品質を落とさないよう粗熱を取り冷蔵庫で寝かせるなどの工程を加え、小麦のうま味をそのまま味わえる生パスタを提供しています。オリジナル生パスタの安定供給を目的に、生パスタ製造・販売を行う自社工場も設立しています。
 お手頃感を出すために相場価格の6掛け程度になるよう、パスタの価格帯は390円~890円に設定しています。6掛け価格でもしっかり利益を確保するために、食材数を絞ったり、4名で店を回せるオペレーションにしたりして原価率、人件費率を抑制、FLコスト(※)を55%にまで引き下げました。またオーダーから最短5分以内で提供できるクイックサービスを徹底し、限られた時間内に品質を落とすことなく最大の売上を弾き出す体制を確立しました。こだわりの生パスタとお手頃価格からポポラマーマは年齢性別を問わず幅広い客層に支持されています。開業前研修は60日。研修で料理、店の運営方法などを学びます。
※FLコスト:商品原価(Food)と人件費(Labor)の合計。一般に飲食フランチャイズのFLコストは売上の60%以下が望ましいとされている。

<スパゲティ専門店「ゆであげ生スパゲティ ポポラマーマ」>

フランチャイズ展開開始年 2005年
直営店舗数 / 加盟店舗数(2010年8月末現在) 78店舗 / 38店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
法人加盟者100%
(※法人加盟者のみ募集)
加盟者における業界未経験者の比率 0%(※未経験でも加盟可能)
標準店舗規模 / 標準投資額
(店舗取得費別)
30坪~40坪 / 約3,770万円
 


注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

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