第27回 リサイクルショップ(3)
[ 2011.03.25 ]
エコが追い風のリサイクルショップ。一口にリサイクル事業といっても、取扱商品や業態の特徴によって、事業の仕組みは異なります。それぞれのフランチャイズ事業の背景と仕組みを押さえましょう。今回は、在庫不要の、貴金属類などの買取り専門店、わずか数坪のインショップで展開する中古携帯電話ショップをご紹介します。
[事例1]買取り専門店「おたからや」
(フランチャイズ本部:株式会社いーふらん http://franchise.otakaraya.net/index.html)
~商品は、買取った当日~10日後には現金化!迅速に利益を出してリスク抑制~
おたからやでは、金・貴金属、宝石、古銭、ブランドバッグ・時計、刀剣など幅広い分野の商品を買取り、これを専門業者に売っています。おたからやは、各種リサイクルショップの仕入れ先なのです。取扱商品が増えるほど、顧客層が広がるので経営は安定しやすくなります。商品の真贋を見極めたり、売買価格を決めたりする査定は、未経験者にとっても難しいものではありません。査定するための、商品のチェックポイントは比較的限られています。まず、研修で、どういうポイントがあるのか、それぞれのポイントの何に注意して見るかを学びます。それから加盟者専用サイトで、どういう偽物が出回っているかという、最新の商品真贋情報や、買取り・販売価格の参考値を確認すれば、未経験者でも査定できるようになります。念のため、本部では、査定で迷った時に担当者に相談できるホットラインを設けています。実際のところ、ホットラインは、加盟したばかりの加盟者が、使う程度だということです。買取った商品のうち、金、プラチナ、銀などの貴金属は、買取った当日、遅くとも3日後には業者に売ります。これらの商品は短期間で価格相場が変動するため、早く売って、買取った時点より価格が下がり、利益が失われるような事態を避けるのです。これら以外の商品も、買取りから大体10日後までには業者に売却するため、売上が早く上がるようになっています。研修は9日間。接客や査定を学ぶ6日間と、スタッフとして既存加盟店に入り、実習する3日間で構成されています。開業後は、電話、訪問などを通じ、必要に応じて加盟店指導を実施します。おたからやの顧客は富裕層。SV(スーパーバイザー)による指導の中心は、彼らをリピーター化するための接客方法です。
<買取り専門店「おたからや」>
フランチャイズ展開開始年 | 2008年 |
直営店舗数 / 加盟店舗数(2011年3月7日現在) | 20店舗 /200店舗 |
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率 (個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース) |
個人約60%、法人約40% |
加盟者における業界未経験者の比率 | 99% |
標準店舗規模 / 標準投資額(店舗取得費別) | 5坪/ 約330万円 (※3種類の加盟プランがある。 投資額はシルバープランの場合。 商品買い取り資金として、別途50万円~100万円必要。) |

(いーふらん代表取締役 渡辺喜久男氏)

(おたからや店舗)
[事例2]中古携帯電話ショップ「エコたん」
(フランチャイズ本部:日本テレホン株式会社 http://www.ecotan.jp/fc/)
~200万円で開業OKのインショップ!簡単査定だから、アルバイトスタッフで対応可能~
エコたんでは、持ち込まれた携帯の査定を、パソコンを使って独自開発のシステムで行います。最初に携帯電話の携帯キャリア名(NTTドコモなど)、機種名などを入力、次に外装の汚れや傷など、商品の状態について当てはまる項目にチェックを入れていきます。すると自動的に参考買取り・販売価格が表示されます。加盟者は、これらを参考に価格を決定します。店舗に、ローン未払いなど、問題のある携帯が持ち込まれる可能性もあります。エコたん本部は、携帯キャリア全5社の正規販売代理店を展開してきた経験と知識、直営店での試行錯誤を踏まえ、トラブル携帯の、きめ細かい買取り防止策を確立しました。その結果、現在ではこうした携帯を間違って買い取ってしまう確率を0.1%未満に抑えています。
エコたんでは、個人情報保護の観点から、携帯のデータ消去には万全の態勢で臨んでいます。買い取った携帯は、店頭で客によるデータ消去、店舗スタッフによる消去の確認を行った上で、除菌、データの完全消去を行うクリーンセンターに送ります。センターでは、独自開発のデータ消去ソフトで、完全にデータを消し去ります。処理された携帯は、各店舗に返送されます。店頭では、携帯が返送されてきた時、販売時に、データ消去の確認を改めて行ってから客に渡しています。なお、クリーンセンターに携帯を送ると、エコたんが運営する中古携帯販売サイトに自動出品されるようになっています。加盟店は、店頭とネット、2カ所の販売拠点を持ち、販売機会を増やせるようになっているのです。エコたんの研修は2日間、携帯に関する基礎知識を学ぶ教育プログラムと、査定システムの使い方を学ぶ業務プログラムが用意されています。開業後、疑問点などがあれば、業務専用コールセンターを通じ、エコたん担当者に直接問い合わせることができます。
<中古携帯電話ショップ「エコたん」>
フランチャイズ展開開始年 | 2010年 |
直営店舗数 / 加盟店舗数(2011年3月末予定) | 16店舗 /39店舗 |
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率 (個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース) |
法人100% (※法人のみ募集) |
加盟者における業界未経験者の比率 | 100% |
標準店舗規模 / 標準投資額(店舗取得費別) | 1坪~2坪/ 約200万円 |

(日本テレホン第二営業本部リユース事業部
FC営業部担当部長 佐藤良則氏)

(エコたん店内)
[事例3]中古携帯電話ショップ「エコモショップ」
(フランチャイズ本部:株式会社フルキャストマーケティング http://www.eco-mo.net/)
~在庫不足、客からの注文があった際には、本部から、3カ月保証の中古携帯仕入れ可能~
エコモショップでは、参考買取り・販売価格情報の提供や、中古携帯のデータ消去を行う一連の仕組み「ECOMOシステム」に沿って、査定、データ消去を行っています。携帯が持ち込まれたら、まず店舗スタッフが、査定マニュアルに則って、目視で商品の汚れなどを確認、商品をランク分けします。次にパソコンに入っている、独自開発の査定ソフトを立ち上げ、商品の型番、ランクを入力すると、参考買取り・販売価格が表示されます。加盟者はこの価格を基準に、自らの判断で価格を決定できます。ローン未払いなど、問題のある携帯については、各携帯キャリアが提供している、携帯ユーザー情報照会サイトでチェックします。このサイトで携帯電話の個体認識番号を入力すると、トラブルのある携帯はすぐ分かるということです。個人情報の消去については、まず店頭で客自らに、携帯に備わっている消去機能を使って、データ消去してもらいます。次に、携帯本体をクリーニング、殺菌処理、携帯の動作確認をしてから、店舗スタッフが、業務用のデータ消去ソフトで、携帯のメモリー上のデータ全てに、無意味な数字や文字を上書き、データを読み取れない形にして、データを完全消去します。その後、店頭に並べます。なお、加盟店は、本部から中古携帯を仕入れることも可能。本部仕入れの携帯は、3カ月保証付き。不具合があれば同等品との交換もできます。逆に余剰在庫を、本部に買い取ってもらうこともできます。開業前研修は5日間、ECOMOシステムの進め方、携帯のクリーニング方法、接客などを指導します。開業後は電話、メールにより随時サポート。
<中古携帯電話ショップ「エコモショップ」>
フランチャイズ展開開始年 | 2009年 |
直営店舗数 / 加盟店舗数(2011年3月17日現在) | 2店舗 /20店舗 |
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率 (個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース) |
個人約30%、法人約70% (※現在は、法人のみ募集) |
加盟者における業界未経験者の比率 | 90% |
標準店舗規模 / 標準投資額(店舗取得費別) | インショップ形式3坪~5坪/ 約250万円 (※加盟店100店舗まで加盟金無料 (加盟金300万円免除)キャンペーン中。 加盟金無料の場合の標準投資額) |

(フルキャストマーケティングECOMO事業本部
ECOMO営業推進部 課長 宮坂浩一氏

(ECOMO店舗)
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- 執筆者:松本陽子
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ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)
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