連載コラム

第29回 高齢者ケア(3)

[ 2011年5月27日 ]

最近、ますます、高齢者ケア関連のフランチャイズが存在感を増してきました。今回は売上高の上限が高い「通常規模」施設を展開する通所介護事業、コスト削減で高利益率を実現した訪問介護と通所介護、理学療法士を置きリハビリ効果と顧客、及びケアマネからの評価を高めるリハビリ特化型デイサービスを取り上げました。

[事例1]通所介護サービス(※)「デイホーム『ゆりの木』

(フランチャイズ本部:株式会社日本エルダリーケアサービスhttp://www.yurinoki-fc.jp
~通常規模で、売上を確保。人繰りも容易化。加盟店へのスタッフ派遣も可能(※)~
※現在、スタッフ派遣は東京23区限定。

 ゆりの木では、利用者に食事、入浴などの介助、レクリエーション、送迎サービスを提供しています。介護保険法により、通所介護施設は、「小規模」「通常規模」「大規模(Ⅰ)」「大規模(Ⅱ)」と4種類に分かれています。現在、通所介護施設の主流は、約20坪の小規模施設ですが、小規模は定員数が平均10人と少ないため、売り上げの上限も低くなっています。一方ゆりの木が力を入れている、通常規模施設は、定員数が25人~30人。安定的に売り上げ確保ができるため、既存施設では、初期投資を2年6カ月前後で回収してきました。
 通常規模施設の場合、スタッフ数も多くなるため、ゆりの木では、利用者への手厚いケアや、容易な人繰りを実現しています。国の基準では、通所介護においてはスタッフ一人(ナースを含む)が5人の利用者を世話することになっていますが、ゆりの木では、一人のスタッフが2.5人~3人(利用者25人~30人の場合。介護スタッフ8人、ナース2人)をケアする体制です。また、多くのスタッフを確保しているので急病などでスタッフが休んでも、代わりに働けるスタッフを見つけやすくなっています。
 通所介護は、労働時間が一定なので比較的人材確保は容易です。必要であれば、本部の教育を受けたスタッフの、短期(1日から対応)・長期派遣も可能です(東京23区限定)。 正社員スタッフ研修は45日。介護保険の解説から事業所運営ノウハウなどを指導。開業後はスーパーバイザー(SV)が基本的に月一回訪問指導。ケアマネージャー(※)への同行営業。レセプト作成(※)など、事務手続きは本部代行。

通所介護:デイサービス、デイホームなど日帰りサービスの総称。デイサービスでは、利用者の食事、入浴などを介助したり、利用者の状態に合わせてレクリエーションを提供したりする。デイホームとは、要介護者を日中預かり、世話をするサービス。
ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者(要介護認定で支援や介護が必要と認定された人)に合わせて、ケアプランを作成したり、自治体や各種サービス事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。一般に高齢者ケア事業者は、ケアマネに営業をかけ、自社の存在やサービスを知ってもらう。知ってもらうことで、要介護者などがケアマネに相談した際、紹介してもらったり、ケアプラン作成時に利用を検討してもらったりする機会をつくる。
※レセプト:介護サービスを提供した事業所、施設が介護保険負担分の料金(利用者の自己負担分以外の料金)を国民保険連合会に請求するための書類。介護給付費請求書ともいう。国民保険連合会は保険者(市町村)の窓口になっている。

フランチャイズ展開開始年 2010年11月
直営店舗数 / 加盟店舗数(2011年5月16日現在) 20店舗/ 0店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)

(法人対象に加盟店募集)
加盟者における業界未経験者の比率 ―(未経験での加盟可能)
標準店舗規模 / 標準投資額(店舗取得費別) 60坪/ 約2,000万円
(日本エルダリーケアサービス管理本部長 通所介護事業部長兼FC事業部長 杉本大輔氏)
(日本エルダリーケアサービス管理本部長
通所介護事業部長兼FC事業部長
杉本大輔氏)
(ゆりの木施設)
(ゆりの木施設)


[事例2]訪問介護サービスなど6業態「さくら介護グループ」

(フランチャイズ本部:株式会社さくら介護グループhttp://www.sakurakaigo.co.jp/fc
~通所介護(※)、高齢者住宅など6業態から事業を選択。事業の複合化も容易~

 さくら介護グループでは、通所介護、訪問介護、福祉用具レンタル、温泉旅館を活用したデイサービス(※)など6業態の高齢者ケア事業を展開。加盟者は、これらの中から手掛ける事業を選べます。例えば、最初に通所介護事業に取り組み、利用者需要に合わせて新たに福祉用具レンタルを始めるなど、事業の複合化、拡大も容易です。また、さくら介護グループの通所介護、訪問介護事業はいずれも業界平均を大きく上回る利益率が特長です。平成20年介護事業経営実態調査(厚生労働省)によると、訪問介護事業の平均利益率は0.7%、通所介護事業では7.3%。これに対し、さくら介護グループの訪問介護事業は、平均経常利益率(*)が21.4%、同通所介護事業は34.6%。(*:既存施設の実績値を基に、平均経常利益率を算出。通所介護事業の値は家賃設定により変動する)高利益率は、施設長などの管理者を置かないなど、多様なコスト削減により実現しました。なお管理者を置かないため、管理者の業務は、本部と現場スタッフで分担して実施しています。レセプト作成(※)、人材教育は本部が担当、施設のオペレーション、ケアマネ(※)への営業は介護ヘルパーなど現場スタッフが行っているのです。その結果、スタッフの能力・やる気・収入がアップするため、スタッフ定着率も良くなっています。現場の管理業務はスタッフが担うので、加盟者は施設経営そのものに集中できます。加盟者研修は2日間。介護事業のポイント、運営ノウハウなどを指導。現場見学あり。開業後は加盟者の状況に合わせ、適宜SV(スーパーバイザー)指導を実施。介護保険指定許可申請など専門的で面倒な申請業務、レセプト作成も本部が代行。

通所介護:デイサービス、デイホームなど日帰りサービスの総称。デイサービスでは、利用者の食事、入浴などを介助したり、利用者の状態に合わせてレクリエーションを提供したりする。デイホームとは、要介護者を日中預かり、世話をするサービス。
ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者(要介護認定で支援や介護が必要と認定された人)に合わせて、ケアプランを作成したり、自治体や各種サービス事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。一般に高齢者ケア事業者は、ケアマネに営業をかけ、自社の存在やサービスを知ってもらう。知ってもらうことで、要介護者などがケアマネに相談した際、紹介してもらったり、ケアプラン作成時に利用を検討してもらったりする機会をつくる。
レセプト:介護サービスを提供した事業所、施設が介護保険負担分の料金(利用者の自己負担分以外の料金)を国民保険連合会に請求するための書類。介護給付費請求書ともいう。国民保険連合会は保険者(市町村)の窓口になっている。

フランチャイズ展開開始年 2000年4月
直営店舗数 / 加盟店舗数(2011年5月17日現在) 10店舗/ 240店舗
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
個人約80% 法人約20%
加盟者における業界未経験者の比率 約95%
標準店舗規模 / 標準投資額(店舗取得費別) 訪問介護の場合:事務所の規模不問
/ 約600万円(運転資金含む)
(さくら介護グループ社長室室長
(さくら介護グループ社長室室長 舘山英雄氏<左から3人目>、
開発SVチーム東京本部部長 川口政之氏<右から2人目>)
(温泉旅館を活用したデイサービス「さくら介護湯」)"
(温泉旅館を活用したデイサービス
「さくら介護湯」)

[事例3]:リハビリ特化型デイサービス(※)
「まちの健康・リハビリステーション『ポシブル』」

(フランチャイズ本部:株式会社ポシブルhttp://possible.jp
~全店に理学療法士を配置。利用者満足、ケアマネへの営業効果高める~

 ポシブルでは、介護保険の対象であるデイサービスをメインにした上で、さらに自費部門のリハビリを加えることで、経営を安定化させています。理学療法士による科学的根拠をベースにしたオリジナルのリハビリプログラムと、リハビリ分野では先を行く北欧・北米から輸入した最新機器を組み合わせ、効率的にリハビリ効果をアップさせます。本部調査によると、およそ半年で約90%の客の筋力・歩行速度が改善していました。全店に理学療法士を置いているので、介護保険利用客から自費リハビリ客まで、適切に対応できるため、リハビリ効果、顧客満足共に高くなっています。また、ポシブルでは理学療法士が、介護保険利用客の改善度などをケアマネに報告します。リハビリのプロである理学療法士が説明すると、説得力も高いため、営業面でもプラス効果があります。
 ポシブルでは、地域特性に合わせ、デイサービスの内容、規模を選べるようになってい ます。例えば、地方では、120坪以上の大規模モデル。定員40人以上、客一人の一日当りデイサービス利用時間は6時間~8時間、提供サービスは、食事、リハビリ、入浴などになります。一方、大都市など人口密集地域では35坪の小規模モデル。定員15人、客一人の一日当りデイサービス利用時間は3時間~4時間。午前中は介護保険利用客、午後は自費リハビリ客に分けるといった対応も可能です。また独自開発ソフトにより、客の体力測定結果などを本部と加盟者で共有できます。本部は結果に基づき、加盟者が客に正しくリハビリを指導できているかどうかをチェックし、必要に応じ、これを改善できるようアドバイスなどをします。加盟者が施設長として現場に入る場合、現場研修は4週間。相談員、トレーナー業務全般を学びます。開業後は加盟者の状況に合わせ、適宜SV(スーパーバイザー)指導を実施。

デイサービス:利用者の食事、入浴などを介助したり、利用者の状態に合わせてレクリエーションを提供したりする。リハビリ特化型デイサービスとは、介護の度合いが軽い人を対象に、主にリハビリ(機能訓練)を指導するデイサービス。
ケアマネージャー(ケアマネ):個々の要支援者や要介護者(要介護認定で支援や介護が必要と認定された人)に合わせて、ケアプランを作成したり、自治体や各種サービス事業者などとの間で連絡調整などを行うケアマネジメントの専門職。一般に高齢者ケア事業者は、ケアマネに営業をかけ、自社の存在やサービスを知ってもらう。知ってもらうことで、要介護者などがケアマネに相談した際、紹介してもらったり、ケアプラン作成時に利用を検討してもらったりする機会をつくる。

フランチャイズ展開開始年 2008年
直営店舗数 / 加盟店舗数(2011年5月23日現在) 16店舗/ 11店舗
(※直営店舗数はグループ、姉妹店含む)
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率
(個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース)
個人0% 法人100%
加盟者における業界未経験者の比率 100%
標準店舗規模 / 標準投資額(店舗取得費別) 小規模(35坪~、定員15人)
/約1,900万円(加盟金含む) 
大規模(120坪~、定員40人以上)
/約2,900万円(加盟金含む)
(ポシブル専務取締役 野口肇氏<右>)
(ポシブル専務取締役 野口肇氏<右>)
(ポシブル施設)
(ポシブル施設)

注目のFC分野・制度紹介!
執筆者:松本陽子

ツーウェイコミュニケーションズ代表。米国オベリン大学留学を経て桜美林大学英語英米文学科卒業。FCプランナー。加盟店、及び顧客開発に的を絞ったWebサイトコンテンツ、各種販促PR企画などの立案・制作・実施を中心に、FC本部のサポートを行う。「日経MJ」などの経営専門誌のほか「レタスクラブ」女性向けサイト「21Lady.com」など一般向け媒体にも寄稿。「フランチャイズ関連セミナー」などのコーディネーター、テレビ番組出演などを通じFC事業の啓蒙活動も行う。主な著書「中高年のためのFC店開業講座」「妻と夫のためのFC店開業講座」(いずれも共著・日本経済新聞社刊)

バックナンバー

PAGE TOP