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連載コラム

第37回 躍動するアジアのフランチャイズ事情(マレーシア編)

[ 2011年12月27日 ]

マレーシア経済とフランチャイズビジネスの発展

 毎年5%を超える経済成長率を維持するマレーシアは、東南アジア諸国でも早くから工業化に着手し、社会インフラの整備も進んでいる。クアラルンプール市内にそびえたつペトロナスツインタワーは、この国の急速な経済成長の象徴ともいえよう。
 この急速な経済成長を背景に、マレーシアのフランチャイズビジネスもまた著しい成長を遂げている。
 今回は、このようなマレーシアのフランチャイズ事情について見てみたい。

 マレーシアのフランチャイズビジネスの歴史は1940年代のシンガーミシンからだと言われている。その後1980年代に入り、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドのような外食産業が本格進出をはじめ、フランチャイズビジネスが広まっていった。1998年には、現在のフランチャイズ法が制定され、フランチャイズビジネスのインフラ整備が進んだことから、急速にマレーシア国内でフランチャイズが発展した。その結果、2000年にはわずか67のフランチャイズチェーンしか存在しなかったものが、2010年には349チェーンへと、わずか10年間で5倍になっており、また、フランチャイズ関連の市場規模は、マレーシア全体のGDPの2.3%を占める規模に拡大した(出典:Franchise International Malaysia)。

マレーシアのフランチャイズの現状

 アジアの他の国にも同様の傾向が見られるが、マレーシアもフランチャイズビジネスの発展は外食産業が牽引してきたといえる。そのため、チェーン数を見ると現状でもマレーシアのフランチャイズビジネスに占める外食産業の割合は32%と非常に高く、次いでアパレル産業(14%)、教育産業(11%)、サービス業(10%)、健康・美容産業(10%)などが続く(図1参照)。
 売上規模をみても、外食産業は11,700万リンギット(約30億円)、サービス産業は11,300万リンギット(約28億2,500万円)と突出しているが、その他の産業においては教育産業が3,300万リンギット(約8億4,125万円)、健康・美容産業が2,200万リンギット(約5億7,100万円)となっており外食産業の割合が高いことがすぐにわかる。
 これは、ケンタッキーやマクドナルドなどのような外資系の外食がかなり早い段階から市場参入をしており、フランチャイズビジネスがこのような外資系外食を中心に発展してきたからであると考えられている。

今後マレーシアにおける有望な業種は!?

 しかし、昨今ではこの傾向にも大きな変化が生じ始めている。現在マレーシアのフランチャイズビジネスで有望産業と言われている分野は教育産業やサービス業、健康・美容産業である。特に教育産業については、2009年と2010年では市場規模もフランチャイジーの数も5倍以上に増えており、サービス業も市場規模は3倍に拡大、健康・美容産業も堅調な伸びを示している。
 一方、外食産業などは加盟者の人気は高いものの、市場規模は頭打ちの傾向にあり、一定のパイを奪い合うような状況が出てくる可能性もあり、また、サービス業についても市場規模の拡大の割に加盟者数は伸びていない。また小売業分野では、市場規模も加盟者数も縮小傾向にあるなど、業種・業態によっては市場動向を見極める必要がある(図2参照)。
 マレーシアでは、個人の平均月収が3,000~4,000リンギットと言われているのに対し、フランチャイズの平均的な初期投資額は10~50万リンギットということから、個人でフランチャイズビジネスを始めるには少なくとも個人の3年分の平均年収程度が必要ということであり、これは決して安くはないと考えられるが、それにもかかわらず、起業家の数も増えるなど、益々フランチャイズを利用しての起業は過熱しているようである。

最後に

 日本からマレーシアへ進出している企業は大手メーカーが中心であり、あまりフランチャイズの分野では強い結びつきがあるようには聞かないが、毎年7月に東南アジア最大級のフランチャイズエキスポを開催するなど、フランチャイズビジネスの分野にも力を入れているようである。こうして改めて見ると、マレーシアにおけるフランチャイズビジネスは、国の経済を牽引する原動力になるほどの市場規模になってきたといっても過言ではないのではなかろうか。

(行政書士 川本 到)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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