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連載コラム

第42回 躍動するアジアのフランチャイズ<中国編>

[ 2012年5月28日 ]

中国経済と中国のフランチャイズ

 2010年に、中国のGDPが日本のGDPを逆転したことで話題になった。この数年、世界の企業の目は、一方で米国や欧州を見ながらもう一方の目で中国を見ていたと、言われるほどになっている。いまや世界経済の中で無視できない存在になった、中国のフランチャイズ事情とはどのようなものであろうか。
 中国では、フランチャイズのことを「商業特許経営」と呼んでおり、「フランチャイズとは、商標等のマークや特許、ノウハウなどの経営資源を有する企業(以下「フランチャイザー」という)が、契約の形式でその保有する経営資源の使用をその他の経営者(以下「フランチャイジー」という)に許諾し、フランチャイジーは契約で約定された経営モデルに照らして経営を展開し、またフランチャイザーに対してフィーを支払う経営活動」と定義されている。
 中国におけるフランチャイズの歴史はまだまだ新しく、1987年に北京においてケンタッキーフライドチキンが、そして1990年に深圳においてマクドナルドがオープンしたことによってフランチャイズの歴史が幕を開けたと言われている。日本企業では、合弁企業の形での進出は1980年代から存在するが、フランチャイズという形では1992年の吉野家が最初と言われており、その後、ココスや珈琲館など、外食産業を中心にフランチャイズ方式に拠る進出が進んだ。またコンビニについては、合弁企業の形での進出が多いが、セブンイレブンは2009年に上海においてフランチャイズ方式での進出をしている。日本企業にとどまらず、中国国内におけるその後のフランチャイズの拡大は爆発的で、今日では少なくとも1,600以上のフランチャイズシステムが存在していると推測されており、1,000近いチェーンが中国フランチャイズ協会に加盟している(中国フランチャイズ協会)。

厳しいフランチャイズ規制

 その中国のフランチャイズであるが、実は厳しいフランチャイズ規制が法律で定められている。ここですべての規制を紹介することはできないが、主なルールとしては以下のようなものがあり、毎年これらの届出事項についてアップデートをしなければならないこととなっている。

1 中国国内でフランチャイズビジネスを行うためには、少なくとも直近1年間の間に2店舗以上の直営店(中国国外でも可能であるが、手続きは非常に煩雑)を営業していなければならない。

2 またフランチャズビジネスを行うものは商務部または地方自治体の商務部門に届出を行わなければならない。
 その他、いわゆる事前の情報開示は、他国と同様にルール化されている他、契約書上定めなければならない内容などについても法定されている事項があるなどの規制があり、この厳しいルールが、海外のフランチャイザーの中国進出についての障害になっているとも考えられる。
 中国商務部もこの点は十分に理解をしており、昨今では法改正によって、様々な緩和策が取られているが、現実にはまだまだ厳しいと感じる部分は少なくないであろう。

まだまだ成長する中国フランチャイズマーケット

 そのような規制の中でも、中国国内におけるフランチャイズは益々成長している。その背景には中流階級と言われる層の拡大があるが、識者によっては2015年までに中国の中流層は6億人に達するのではないかという見解もあり、この消費が中国国内におけるフランチャイズ拡大の要因であると分析されている(P. Zeidman "China: 2010 and Beyond")。
 このような状況下であるが故に、中国のフランチャイズビジネスは外食、サービス、福祉、教育など多くの分野で成長が期待できる。
 その中でも特に注目を受けているのは、他国と同様に子どもの教育に関する分野であろう。少し古いデータにはなるが、2009年に中国フランチャイズ協会がフランチャイズエキスパート達を集めて行った「フランチャイズ投資に関する調査」(詳細は図表参照)では、最も見込みがある業種として、子どもの教育が60%、幼児子ども用品が35%の支持を獲得している(図1)。また、投資収益率が高い事業分野でも、子どもの教育や受験指導が圧倒的な支持を受けていることがわかる(図2)。
 一方で、外食や美容、健康といったキーワードも見られ、6億の中流層によって生ずる市場への期待感が見て取れるであろう。

(データ:中国フランチャイズ協会『フランチャイジング投資業種別人気度調査』)

中国でのビジネスの期待と注意

 もちろん、中国のフランチャイズもすべてがバラ色ではないことは注意が必要である。フランチャイズに限った話ではないが、中国と日本では、ビジネスの意識が大きく異なることは指摘しておきたい。知的財産権の問題などについては中国政府もかなり敏感になっているが、それも含めて契約条件をしっかりと詰めることが重要である。また同時に、それをどのように執行するかということのルールを定めたり、文化的背景やビジネス慣習を理解したりしなければならない点などについては、十分に注意をして欲しい部分ではある。
 フランチャイズに関して言えば、中国国内でビジネスをやるのであれば、まずは法制度の違いに理解が必要であるし、裁判等になった場合には、フランチャイズに関する司法判断がまだまだ統一的ではない部分があるなど、トラブルになった場合のリスクも存在することを最後に付け加えておきたいと思う。

(行政書士 川本到)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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