連載コラム

第43回 出口からのFC選び

[ 2012年7月2日 ]

 フランチャイズに加盟して事業を始める場合の「理由」は様々だが、だれもが「成功」を期待してFC加盟契約書にサインすることに変わりは無い。ところで、フランチャイズに加盟しようとするとき、フランチャイズビジネスを「卒業する時のことを考える人は少ない様に思える。一般的にFC加盟希望者が、加盟する本部をいくつかの候補から選択しようとする場合の検討項目は以下の通り。期待利益とリスクのバランスで最も納得できる本部を選ぶと思われる。

1 本部に対する信頼度・ブランド価値 
2 収益モデル 
3 投資額と投資回収期間 
4 自分自身と本部やその事業との相性  など

FCビジネスの出口とは

 フランチャイズビジネスが加盟者にとっては大きな「投資」であることを考えれば、「投資の回収モデル」を十分検討することは当然だが、本当にそれだけで十分だろうか?現状の一般的なフランチャイズ契約書では、FC本部は「自社の事業の全部もしくは一部を第3者に譲渡することができる」と定められているケースが増えているはずだ。これは、見方を変えれば「本部の出口戦略の自由度を確保する」ための項目である。
 一方で、加盟者側が自社の事業を第3者に譲渡できる(制限付きではあるが)という契約書を整備しているFC本部はまだまだ少ない様に思われる。本部は事業の出口をある程度想定している。加盟者は「出口」を考える必要は無いのだろうか?
 最近は「●●を卒業する」とい言葉がよく使われるが、FC加盟を自分「未来として考えるとき、「貴方がFCビジネスを卒業するとき」を考えることも事業家として大切なことになる。

具体的なイメージとしての「卒業」

 例えば、コンビニチェーンに加盟したオーナーを想像して欲しい、30代前半でCタイプ(店舗を自己所有しない契約)として加盟し、幸いにも経営も順調。年商は2億5千万円を超え標準以上。年間のオーナー総収入は1000万円を超える。60歳を目前としたとき、コンビニオーナーとしての「卒業」を意識したとき貴方は何を考えるだろうか?
 個人事業者としての契約の場合、貴方の店舗を第3者に譲渡することは多くの場合契約上認められない。幸いにもオープンアカウント上の負債は無いが、退職金も無い(事前に中小企業向け退職金掛け金をしていれば別)。もし、法人契約であれば、法人の株式を譲渡するという形で営業権を譲渡できる可能性はある。この時の譲渡金がハッピーリタイア(幸せな卒業)のための退職金となる。
 個人で加盟するか、法人として加盟するかとう選択で、何十年か先の「出口」で差が出るとすれば「出口」の問題は最初に十分検討すべき課題では無いだろうか?

事業戦略としての「出口戦略」

 アメリカのFCビジネスにあって日本であまり見られないものに加盟店(ユニット)のM&Aがある。この根本的な原因は、日本のFC本部が基本的に加盟者の事業譲渡を認めていないことにある。
 例えば、飲食FCに加盟するケースを考えてみる。ラーメンチェーンに加盟し、月商450万円程度、営業利益が90万円程度出ているという店舗の場合だ。事業譲渡を認めていない本部に加盟したケースでは、事業を止めるときはFC契約を解除し、店舗はスケルトンにして賃貸契約を解除するか、本部が買い取るか、いずれにせよ大きな見返りは期待できない。本部としても優良な加盟店を1店舗失うか、直営店が1店舗増加するかという選択になる。
 事業譲渡を認めているケースでは、既存加盟者は事業の引受人を自分で探し、本部の了解を得た上で事業を譲渡することで譲渡金を得ることができる可能性がある。譲渡請け人は既に収益の確定した店舗を得ることで事業リスクを圧縮することができる。本部は、譲渡請け人と新たにFC契約を締結することでFC加盟金を得た上に、優良なFC店舗を失うことを回避できる。
 もう一つの可能性として、譲渡請け人は既存の優良FC店舗をM&Aで取得することよって自身の事業を急速に拡大することが可能になる。メガフランチャイジーを指向する企業にとっても魅力的な戦略になるはずだ。

出口が最後の事業価値を決める

 基本はスモールビジネスであるとはいえ、フランチャイズ加盟は「投資で有り、事業参入の戦略である。当然、投資の出口は重要で、投資の意思決定に当たって十分検討されなければならないテーマである。これからは、「出口戦略」という視点でFC契約書を検討し、交渉できる部分は交渉して将来の利益を担保しておくということが、「自分の事業」の将来価値を決める大きな要因になること念頭に、FC本部を選ぶべきだろう。

中小企業診断士 池田安弘

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執筆者:フランチャイズ研究会

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