日経メッセ > フランチャイズ・ショー > 連載コラム > 最新フランチャイズマーケットトレンド > 第45回 第4回「マカオ・フランチャイズ・エクスポ」に出席して ~目指すは「an ideal showcasing platform」~

連載コラム

第45回 第4回「マカオ・フランチャイズ・エクスポ」に出席して ~目指すは「an ideal showcasing platform」~

[ 2012年8月27日 ]

第4回MFEは成功裏に終了

 2012年7月6日からの3日間、第4回マカオフランチャイズエキスポ(MFE)が開催された。昨年に続き、主催者から招待されマカオを訪問した。MFEを主催するのは、マカオの政府機関であるマカオ貿易投資促進局(IPIM)、会場は一流ホテルとの呼び声が高いベネチアンホテルである。
 今年のMFEは、14ヵ国(フランス、香港、日本、マカオ、中国、マレイシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイ、ベトナム、英国、米国)から、合計156の出展者を集め、来場者も1万3千人に迫ったとのことである。
 ここで頭をよぎることは、人口56万人、東京世田谷区の半分の面積しかない小国(特別行政府)が、こうしたイベントを開催することにどのような意味があるかということである。

マカオ経済は絶好調

 こうした疑問を解くカギはマカオの経済構造にある。最近のマカオの経済は絶好調である。マカオ特別行政府統計監査局によれば、マカオの2011年のGDPは対前年比で20.7%増、一人当たりのGDPは約6万6千米ドルとなる。この数値をIMF(国際通貨基金)が公表するデータに当てはめると、マカオの一人当たりのGDPはルクセンブルク、カタール、ノルウェー、スイス、アラブ首長国連邦に次ぐ世界第6位。マカオは東アジアで最も豊かな国なのである。

マカオの経済構造とその危うさ

 マカオ経済の原動力になっているのは言うまでもなくカジノである。マカオには、世田谷区の半分の面積に、34のカジノが乱立している。カジノといえば、かつては米ラスベガスだったが、マカオは今、ラスベガスの5倍もの売上高を持つ世界最大のカジノのメッカになったのである。
 2011年のカジノを中心とした賭博業の売上は対前年比で約42%増え、実に特別行政府の歳入の81%がカジノ関連の税収である(マカオ特別行政府統計監査局)。
 マカオのカジノのターゲットは、博打大好きの中国人であることは常識である。大量の中国人が朝から観光バスでカジノへ押しかけ、わき目も振らずにルーレットやスロットマシンに向かう姿には圧倒される。その中で、特に上得意の客とされるのが中国本土の地方公務員や国営企業幹部だと言われている。
 中国に関してしばしば問題になることは、役人や一部の特権階級のその地位を利用した不正である。格差の拡大に不満を持つ中国一般国民の不満を少しでも解消するために、中央政府が公務員や国営企業幹部の粛清を図れば、たちまちマカオの経済は大打撃を受けることになる。ここに、カジノに依存したマカオ経済の危うさが潜んでいるのである。

目指すは観光を基盤としたる経済成長

 今、マカオが目指しているのは、カジノだけに依存しない観光国家の建設である。香港が金融を起点に経済発展したように、マカオは観光を土台にして経済成長をしようとしている。
 マカオは、22の歴史的建造物が世界文化遺産に登録されているだけでなく、中心部の8ヵ所の広場が「マカオ歴史市街地区」として世界文化遺産となっている。マカオの観光資源はとてつもなく充実しているのである。
 しかし、観光客は建造物や風景だけでは満足するものではない。美味しい料理も食べたいしショッピングも楽しみたい。ところが、マカオのそうした基盤はまだまだ足りない。

フランチャイズに期待する役割

 IPIM幹部のスピーチには「an ideal showcasing platform」という言葉が頻繁にでてくる。直訳すれば「理想的なショーケースとなる基盤」ということか。私なりに解釈すると、マカオに世界の店が集まり、観光客に対して多様な商品やサービスを提供する。そうした店がマカオを起点として中国本土をはじめとするアジア地域に進出していく。マカオはそうしたプラットホームの役割を担う、ということだろう。
 そして、マカオの特別行政府は、その機能をフランチャイズに求めているのである。マカオの特別行政府がMFEを開催する目的は、こうした基盤を整備する足がかりにしようということなのだ。これからも、マカオ特別行政府がフランチャイズの普及を協力にバックアップしていくものと考えられる。

フランチャイズ研究会として情報発信

 多くの日本のフランチャイズは、市場の拡大が続くアジア地域への進出を視野に入れている。その本命は13億人の人口を有し、目覚ましい経済発展を続ける中国であろう。ところが、日本で実績のあるフランチャイズであっても、中国で受け入れられるかどうかはやってみなければわからない。そのため、まずは進出するためのハードルが低い台湾や香港に出店し、リハーサルをしてからメインランドに進出するケースが多い。
 だが、これからは、選択肢の中にマカオを加えるべきであろう。マカオの人口の95%は中国系だし、メインランドからの観光客は多い。マカオ特別行政府は海外資本の誘致に積極的で、投資環境も整備されている。マカオに現地法人を設立すれば、メインランドに進出する際に優遇措置もある。法人税率は12%で香港(17%)より低く、治安も良好である。
 残念ながら、日本のフランチャイズがマカオに進出している例はごくわずかだし、今年のMFEに目ぼしい日本のフランチャイズの出展は皆無だった。
フランチャイズ研究会として、こうした情報を日本のフランチャイズ本部に対して発信していきたい。


(中小企業診断士 伊藤 恭)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

バックナンバー

PAGE TOP