連載コラム

第49回 低投資FC加盟検討時の留意点

[ 2012年12月28日 ]

 近年のFC加盟店の募集で目立っているのが初期開業コストを抑えた「低投資FC」である。展示会に行くと、「低投資、高回収率!」「低資金OK、未経験OK、資格不要」などと書かれた加盟店募集のチラシを受け取ることができる。例えば、2012年11月に東京で開催されたFC関連の展示会にて「1000万円以下で開業可能」としていたチェーンの数は以下の通りである。

 2012年東京で開催されたFC展示会における「低投資FC」の比率

 このように、展示会に出展していた事業者のうち、6割以上が1000万円以下の低い初期投資額で開業可能としてFC加盟の募集をしていた。開業する側からすれば、初期投資した分は早急に回収したいのだから、低投資で開業できる業態が増えるのはありがたい。しかし、初期投資が少なくても開業できることに注意すべき事はないだろうか?

FC開業時の初期投資費用とFC加盟メリット

 FCで開業するときの費用には大きく2つある。1つは店舗を出すときに備品や什器をそろえるのにかかる費用、もう1つは本部に支払う費用になっている。
 最近、増えているのは「無店舗型」、すなわち、店舗にかける費用を省けて、自宅や10坪程度の事務所で開業できるという業態である。店舗での対面販売でなく、インターネットやFAXで注文を受けて相手方に品物を届ける、出張によりサービスを行う、という商売の仕方である。さらに、初期開業コストを抑えるため、商品や機材の導入が不要だったり、本部に支払う加盟金が極端に安かったりという例もある。
 ただ、フランチャイズとは、知名度あるチェーンの名称や経営のノウハウをお金で買って、本部の指導を受けながら行う事業である。経験のない個人が商売を始めても最初は信用がない。有名コンビニエンスストアのように誰でも知っているお店であれば、誰がオーナーということは重要でなく、誰でも安心して買い物することができる。加盟者は本部にロイヤルティを支払い、本部はロイヤルティを元に商品開発を行うことで、他の店舗とは差別化されたサービスを提供できるようになるのだ。したがって、加盟金やロイヤルティが極端に低いFCでは、本部から十分なサポートを受けることはできないと考えておいた方がよい。

低投資FCへの加盟を検討する時に考えておいた方が良いこと

 低投資FCへの加盟を検討する際、FCに加盟すれば本部からのサポートによって経営していけるという考え方はせず、FCを活用して自分の商売を始めるという心構えを持っておいた方が良い。本部の知名度や集客のノウハウについては、本部によって実力差があるところであり、初期投資が安い本部であれば、その分、本部を頼らずに自分で乗り越えなければならないと考えた方が良い。後から、「本部は何もしてくれない」といっても後の祭りであり、フランチャイズに加盟した後、本部はどういうサポートを提供してくれるのかを十分に比較検討しよう。
 例えば、人通りの多い立地に店舗を構えたりする必要がなく、自宅やビルの事務所で開業できるFCであれば、自分の商売をターゲットとなる利用者層にどうやってアピールできるのか考えよう。自宅等で開業した後、どのように利用者を獲得して、売上を安定させることができるのか、本部の開発担当者から十分に納得いくまで説明を聞いて、本部がサポートしてくれることと、自分が頑張らなくてはならないことを分けて検討してみよう。くれぐれも「この業界は成長産業だから」「このエリアはもうすぐ募集締め切り」という説明を聞いて、契約を急ぐ必要はない。
 展示会等に募集をしているFCの中には、立ち上がったばかりの本部もある。その場合、知名度が低い、まだ十分なノウハウがないという理由で意図的に加盟金を下げて募集しているケースがある。その場合には、どういうところが完全でないのかを確認し、加盟後に一緒にやっていけるかどうかを検討しよう。逆に、成長業界のFCであることなど、本部の実力とは直接関係しない外部環境の魅力を語るのみで「本部が何をしてくれるのか」という本質的なところをあやふやにしている本部については疑ってかかった方が良いだろう。
 どんな人にも完璧に当てはまるFCはない。そのことを肝に銘じて、自分がやりたいこと、自分の経験や資金力でできそうなこと、どうすれば成功できるのかについて自ら十分に検討し、最良のFCを見つけて欲しい。

(中小企業診断士 山下哲博)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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