連載コラム

第55回 レンタカーFCの最新トレンド

[ 2013年7月8日 ]

 最近、「若者のクルマ離れ」など、都市部を中心に車を持たないライフスタイルが広まりつつある。そのため、レンタカーやカーシェアリングといったサービスが、「車を持たずに、借りて済ませよう」というニーズをつかみ、レンタカー業界は活気づいている。その中でも、中古車を利用した格安レンタカーを中心にフランチャイズ展開が盛んになっているので紹介したい。

レンタカーの事業者、車両数とも拡大の一途

 下の図表を見て分かるように、レンタカー事業者数は年々コンスタントに増えていて、この5年間の間に約2,000箇所(2012年/2008年比132.9%)も増えている。貸出車両数についても5年間で10万台弱の増加(2012年/2008年比126.0%)となっている。2011年の東日本大震災後の復興需要に伴い、大手レンタカー会社が東北地方に大規模な営業所を開設したという背景もあるが、全体として事業所数、貸出車両数とも順調な伸びである。

<レンタカー事業者数と貸出車両の推移>

自動車業界からの新規参入

 レンタカー事業者が増加した主な要因と考えられるのが、中古車を活用した「格安レンタカー」といわれる業態の営業店である。格安レンタカー最大手のニコニコレンタカーは2008年に設立され、5年間で店舗数が1,000を超えた。業界最大手のトヨタレンタカーの約1,200店舗に迫る勢いである。店舗の多くはフランチャイズ店で、ガソリンスタンドなど、もともと自動車を取り扱っていた事業者が加盟している。
 格安レンタカーは中古車を活用して車両への投資額を抑え、予約や事故対応などのユーザーとのやりとりを本部が代行する仕組みになっているチェーンが大半である。そのため、車の保管場所があり、車両の受け渡しと料金収受ができれば、本業をやりながらでも事業展開できる。
 特に、ガソリンスタンドは元々車両整備のノウハウがあり、レンタカー利用者が自店で給油してくれる等、相乗効果を見込めることから、「油外収益」を得る手段として格安レンタカーへのフランチャイズ加盟が広まっていった。
 その他にも、「100円レンタカー」をうたっているカーベルは「売り物になりうる車両」をレンタカーとして運用していて、中古車販売店を中心に加盟店を増やしている。中古車を仕入れても実際に売れるまでの期間は収益を生み出さないが、その間レンタカーとして乗ってもらうことで、「気に入った車を買ってもらう」ことを期待しているという。
 業務用の代車についてもレンタカー加盟店が広がっている。自動車修理工場の代車は無償で貸し出されるのが慣習になっていたが、車両の維持費がかかるだけでなく事故時にトラブルになりうるリスクがあった。レンタカーとして有償で貸し出す仕組みをJネットレンタカーが作り、自動車整備業者をターゲットにフランチャイズ展開を進めている。

非自動車業界からの新規参入

 格安レンタカーの有力フランチャイズの一つ、ワンズレンタカーは全国に400店舗を超えているが、加盟事業者の15%は駐車場事業者であるという。 背景として、都市中心部の立体駐車場の中には、背の高いワゴン車を収容できない古い仕様の施設が相当数存在することがある。同社は高さが155cm未満でワゴン車が入らない駐車場を活用する策としてフランチャイズ加盟を呼びかけている。事業者にとっても、安い車両を本部から調達でき、予約や集客を本部が代行してくれるので、通常の駐車場受付業務の中でできる格安レンタカー事業に魅力を感じているようだ。
 その他には、ビジネスホテルやレンタルDVD、書店などにも加盟企業が広がっている。アパホテルやスーパーホテルといった全国的なチェーンホテルに空き駐車場の活用と利用者の利便性向上を呼びかけ、徐々に店舗が増えつつある。加盟事業者と加盟メリットをまとめたのが下の表である。

<格安レンタカーFCへの加盟事業者と加盟メリット>

今後の展望

 航空業界ではLCC(Low Cost Carrier)が市場参入してきたことで、需要の底上げにつながっているが、レンタカー業界も「格安レンタカー」事業者がフランチャイズを活用して住宅地に隣接する地域や中心街の立体駐車場など、バラエティに富んだ貸出拠点が増えたことで市場が活性化されている。
 従来の大手レンタカーは保有台数も多く、専業でないとフランチャイズ加盟できないが、格安レンタカーなら保有台数も少なく、専業でなくてもフランチャイズ本部のサポートを得ながら容易に開業できるというメリットがある。当初はガソリンスタンドを中心に増えた格安レンタカーだが、今までの発想にとらわれない分野での加盟店開発が進んでいる。しばらくは自動車とは関係のない事業者のレンタカー加盟が増え、レンタカーFCは引き続き活況が続くのではないかと展望している。

(中小企業診断士 山下哲博)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

バックナンバー

PAGE TOP