第57回 第5回マカオ・フランチャイズ・エキスポ」フォトレポート
[ 2013.08.26 ]
昨年に引き続き、マカオ・フランチャイズ・エキスポが開催され、主催者からの招待によりマカオを訪問した。その時の様子を12枚の写真とともにレポートする。
第5回マカオ・フランチャイズ・エキスポが開催
2013年7月12日からの3日間、第5回マカオ・フランチャイズ・エキスポ(MFE)が開催された。MFEを主催するのはマカオの政府機関であるマカオ貿易投資促進局(IPIM)、会場は高級リゾートホテルである「ザ・ベネチアン・マカオ」である。今年のMFEは、合計161(うち政府・協会関係が16)の出展者を、14ヵ国(中国、日本、韓国、イギリス、ポルトガル、イタリア、フランス、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、台湾、香港、マカオ)から集め、来場者も1万7千人を超えたようだ。
【MFE2013のHP】 http://www.mfe.mo/mfe2013/intro.php
カジノ中心のマカオ経済(※データは外務省(マカオ情勢)より)
マカオの経済は非常に好調である。2012年の名目GDPは約290億1,803万米ドル、実質経済成長率は9.9%となっている。マカオ経済において観光及びカジノ産業は大きな地位を占めている(GDPの約8割、政府歳入の8割以上)。2012年現在、マカオでは35ヶ所のカジノが運営されており、カジノ産業全体の売上げは約375億米ドルに達し、ラスベガスの約4倍の規模に成長している。我々の宿泊場所として主催者が準備したホテルも、カジノのある派手なホテルであった(写真1:左下)。
【写真1:夜のマカオ】
カジノの印象が非常に強い経済環境ではあるが、マカオ政府は、観光をベースにしながらも他の産業を取り入れ、幅広く市場展開するためにフランチャイズの促進にも力を入れている。その施策の一つとして行っているのが、このMFEということになる。
今年のMFEのテーマは、『Brand Expansion Continues, Business Opportunities to be seized』
様々なブランドのフランチャイズを取り入れ、ビジネスチャンスを創出し、市場拡大を狙っていくというマカオ政府の意気込みの表れであろうか。マカオ政府は、これからも、フランチャイズの普及に力をいれていくものと考えられる。
前夜祭 〜フランチャイズとハイエンドサービス〜
開催前夜(7/11)には、盛大なレセプションが「バンヤンツリーマカオ」で行われた(写真2:左上)。前半のフォーラムでは、『High-end Service Industries Triggering Business Opportunities』というテーマのもと、基調講演とパネルディスカッションが行われた。
正直、フランチャイズの展示会において、「ハイエンドサービス」をテーマにしている点については疑問があった。フランチャイズといえば、商品やサービスの標準化・システム化・効率化というものを前提にするものであり、属人的要素が必要となるハイエンドサービスとの関連が思いつかない。しかし、これは、日本と海外における「フランチャイズ」「ハイエンド」という言葉の定義の違いからくるものであろう。通常、日本における「フランチャイズ」は、ビジネスフォーマット型を指す。一方、海外ではライセンスビジネスなども含め「フランチャイズ」と呼ぶ。また、基調講演では、各国のハイエンドサービスの事例が紹介されたが、どれも日本では当たり前のものばかりで、特にハイエンドという印象は受けなかった。パネルディスカッションでは、フランチャイズ研究会の嶋会員が登壇し、前述のような点も踏まえつつ、ハイエンドサービスの定義や日本特有のビジネス展開、フランチャイズとの関わりなどについて意見を述べた(写真2:右上)。フォーラム終了後には、出展者と関係者を交えた前夜祭が執り行われた(写真2:下)。
【写真2:前夜祭】
日本企業の出展は1社のみ
7/12には展示会会場を視察した(写真3)。前夜祭同様、盛大な開幕式に参加したあと会場を一回りした。今回、日本からの出展者はHobson'sの1社のみという状況であった(写真3:左下)。昨今の日中関係の影響に加え、人口が約58万2千人(2012年)というマカオの市場規模にも原因があると思われる。
しかし、マカオ政府におけるフランチャイズに対する取り組みは積極的であり、投資環境の整備や海外資本の誘致にも積極的である。また、魅力あるフランチャイズを探している企業家、投資家も存在する。今回のマカオ滞在中、マカオで「稲庭うどん」チェーンを展開する企業家と面談したのだが、彼もまたブランド力のある日本の飲食業態の招致を望んでいた。中国本土やアジア諸国への展開を図る前の足がかりとして「まずはマカオから」ということも選択肢として考えるべきであろう。
【写真3:展示会会場】
今回はマカオ視察のあと、隣接する国際都市である香港も視察した。そこで暮らす香港の人々の生きようとする(稼ごうとする)パワーは強烈な印象だった。日経MJ(平成25年7月24日)では、2012年度コンビニ調査をまとめられていて、その1面には「コンビニ アジアに沃野」という見出しで、コンビニ各社が東南アジアへの出店に力を入れているという記事が掲載されていた。コンビニに限った話ではないが、フランチャイズ戦略におけるアジア圏でのビジネスが、これまで以上に重要なものとなっていくことは間違いない。今後も、フランチャイズビジネスのグローバル化、特にアジアにおける動きには注目していきたい。
中小企業診断士 高木 仁
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- 執筆者:フランチャイズ研究会
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