連載コラム

第62回 コンビニスタッフの確保と定着化の要素

[ 2014年1月6日 ]

「スタッフが集まらないんですよ」
「スタッフがすぐに辞めてしまう」
「スタッフが育たない...」

 コンビニにとって、店舗スタッフの確保と定着化は、大きな課題だ。アルバイトスタッフは、主婦、学生、フリーターなど、それぞれが様々な立場、事情を抱えながら働いている。働きたい日も時間も様々である。それらをコントロールしながら、スタッフのモチベーションアップにつなげていくのが、オーナーや店長の最も大事な仕事の一つになるわけだが、現実は乗り越えるべき課題も多い。本稿では、スタッフを取り巻く現状と課題を挙げながら、スタッフが働きやすい環境について迫ってみた。

スタッフが集まらない、定着しない要因

●コンビニの業務量が増えたことによる対策不足

 「いやー、意外と大変ですね、コンビニの仕事って」
 私がコンビニスタッフの研修を行うとき、ほぼ必ず誰かが口にする言葉だ。
 コンビニバイトは、「誰でもできる簡単な仕事」というイメージが強かったかもしれない。なぜなら、利用者がどんな要望を出しても、スタッフはいとも簡単に対応してくれるように見えるからだ。しかし、コンビニは日に日に進化している。10年前と比べて、扱う機器もハイテク化した。その分、物販だけでなく、代行収納やネットショップで購入した商品の受け取りなど、サービス面の業務量が増えており、新しいサービスについていけないオーナーは、自身の習得はおろか、スタッフに教えることもできない状況が発生しているのである。
 そうしたサービスの拡充は、利用者にも広まるところとなり、コンビニの仕事はもはや簡単ではない...という声も囁かれ始めている。チェーン本部もサービスレベルの向上に向けて、システムの改良やスタッフ資格制度の導入、マニュアル拡充を急いでいるが、それらを使うのは店舗である。店舗事情に合わせた教育計画を、本部と加盟店でお互いに擦り合わせし、実施していく必要があるだろう。

●職場環境と待遇にも課題が

 雑誌やネットでアルバイトを探すときに、最も見られるポイントはどこだろうか。それは、紛れもなく待遇である。中でも、時給、社会保険の加入の有無などが中心となる。この待遇面と、先述の業務内容とのバランスが崩れてくると、「割に合わない」と思われやすくなる。
 もちろん、そこに良質な職場環境が提供されれば話は変わってくることも多い。現に、3年以上勤続しているスタッフに話を聞くと、「職場環境がいい」「仕事が楽しい」「誕生日に全員でお祝いするなどチームワークを重視する仕組がある」などという言葉が返ってくる。金銭面や福利厚生、スタッフ同士の活発なコミュニケーションを始めとした職場環境の醸成は、切っても切れない要素である。

的確なスタッフ採用計画を!

 年末から年始にかけては、クリスマスケーキや年賀状、おせちなどの予約商材の取り組みはもちろん、学校の卒業などで最も人が動く3月に向けたスタッフの退職事情にアンテナを張り、採用計画の準備をしなければならない。そこで、スタッフを採用するにあたり留意すべき点を今一度確認してみよう。

採用時のポイント

●最低賃金に注意

 採用時、「1か月間は試用期間です」と雇用契約書に書くところも多いが、その試用期間に時給を「−30円」などとする場合、マイナスした時給が、各都道府県の最低賃金に抵触していないかを確認する必要がある。そもそも、マイナスされる期間がある、という時点で、応募をためらってしまう求職者もいるため、導入は慎重に検討したいところだ。

●たくさん働いてくれるスタッフには、公的保険の整備を

 業務中のケガについて補償する労災保険について、スタッフは全員加入となるが、あわせて週20時間以上の勤務になれば雇用保険、週の所定労働時間が正社員のおおむね4分の3以上であれば、健康保険・厚生年金保険の加入対象となる(正社員が週40時間であれば、30時間以上が加入の対象)。採用計画を作成する際に、人員が必要なシフトを確認し、下記のような勤務時間になりそうであれば、保険加入の準備も進めておく必要があるだろう。

2012年度 「JFAフランチャイズチェーン統計調査」

●就業規則で勤務ルールの透明性をもたせる

 労務管理面では就業規則などの職場ルールが作成、周知されているかどうかも大切になってくる。スタッフが10人以上いる店舗は、就業規則を作成し、意見書を添えて所轄の労働基準監督署に届け出なければならない。勤務時間や賃金など、就業上のルールを定め、透明性をもたせておくことも、職場環境を整える上では重要なポイントである。

 以上、簡単ではあるが、コンビニのスタッフ確保と定着化に必要な要素について見てきた。コンビニで働くスタッフは、利用者のあらゆる要望に応えるために、必要不可欠な存在だ。また、利用者と直に接するという点でも、その店舗の噂は良くも悪くも広まりやすい。スタッフが働きやすい環境を整えるということは、多くのコンビニ店舗においてかなり重要であると考える。

以上

(社会保険労務士  安 紗弥香)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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