連載コラム

第68回 成長が続く個別指導塾業界

[ 2014年6月30日 ]

 最近のフランチャイズショーで個別指導塾の出展が多い。2014年3月のフランチャイズショーには個別指導塾の出展が12社にのぼり、業種別でみて最大の出展となった。こうした個別指導塾の出展が多いのはなぜなのか。個別指導塾業界の最近の動向などを解説したい。

拡大する個別指導塾市場

 総務省統計によると、日本全体での学習塾総数は5万教室強で横ばいに推移している。しかし、その内訳をみると、個人経営の学習塾は減少傾向にあり、一方で法人経営の学習塾が増加傾向となっている。最近の学習塾では、教科指導だけでなく、進路指導・受験指導なども求められる。個人塾では進路情報や受験情報をアップデートしつつ運営することは難しい。大手チェーンでは、組織的に進路情報や受験情報を集め、提供していくことができる。こうした背景もあり、大手チェーンが事業所数(教室数)を伸ばしていると考えられる。学習塾は集団塾と個別指導塾に大別できるが、なかでも個別指導塾の大手チェーンがFC展開で事業所数(教室数)を伸ばしている。

学習塾の事業所数

大手個別指導塾FCチェーンの概要

 個別指導塾のFCチェーンは明光義塾を筆頭に、スクールIE、ITTO個別指導学院の教室数が多い。最近では、この3チェーン以外に、城南コベッツ、トライプラスなども積極的に新規開校しており、個別指導塾業界は競争激化の様相を呈している。

主要な個別指導塾FCチェーン

個別指導塾の特徴

 個別指導塾の特徴として、①生徒ニーズへの柔軟な対応、②大学生のアルバイト講師の戦力化、③少額投資、が挙げられる。

①生徒ニーズへの柔軟な対応
 個別指導塾では教える際にマンツーマンであるため、生徒1人1人が異なる教科、異なる進度であっても対応できる。理解が足りない場合は、練習問題を重ねるなどして理解度合いに応じた授業ができることから、生徒・保護者のニーズに合わせやすい。
②大学生のアルバイト講師の戦力化
 集団塾の講師は一度にたくさんの生徒を教えることから、専門的な授業スキルが必要となる。これに対し、個別指導塾ではマンツーマン指導であるため、生徒の理解度合いが把握しやすく、集団塾のような授業スキルは必要でない。よって、大学生のアルバイト講師でも容易に戦力化できる。
③少額投資
 個別指導塾では教室の仕切り壁や黒板を用意せず、机とパーテーションがあればよい。立地は必ずしも駅前の一等地である必要はなく、駅から少し離れた住宅地に近い立地のほうが生徒を集めやすいこともある。こうしたことから、最初の投資金額は1千万円前後で足りる。

 教室運営や進路情報、受験情報などをFC本部がサポートしてくれるため、脱サラして起業しやすいのが個別指導塾FCチェーンといえる。

個別指導塾業界の最近の動向

 個別指導塾業界を取り巻く最近の動向について紹介したい。

①教育制度改革への関心の高まりが追い風に
 学習指導要領が改訂となり、2011年度から小学5年生の英語授業が開始されたが、さらに2年前倒しして、小学3年生から英語授業を開始する計画が発表されている。こうした動きを受け、小学生の英語への関心は高まる一方である。
②ICTの発達で個別指導しやすい環境に
 タブレットやスマートフォンなどが発達し、映像授業などの教育コンテンツが容易に利用できるようになった。個別指導塾でも講師の代わりに映像授業を活用するケースが出ている。
③個別指導塾乱立による競争の激化
 時代の追い風も受け個別指導塾の開校は続いているが、個別指導塾どうしの競争も激化しつつある。これからは、個別指導塾というだけでは生徒は集まらない。従来以上に授業の質が問われるようになる。講師育成などの各種研修で本部がどれだけ加盟者をサポートできるか、如何にして授業の質を高められるか、が問われるようになると思われる。

(中小企業診断士 高橋利忠)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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