第69回 「第6回マカオ・フランチャイズ・エキスポ」参加レポート
[ 2014.08.04 ]
フランチャイズ研究会では、4年前の第2回からマカオで行われているフランチャイズ展示会(マカオ・フランチャイズ・エキスポ:MFE)に連続で参加している。2014年は第6回目の開催になるが、本年もマカオ政府(貿易投資促進局)より招待を受け、開催前日のレセプションを含めて7月3日(木)から6日(日)までの4日間、マカオを訪れた。4年前の展示会の様子も振り返りながら、マカオの様子をレポートしてみたい。
【MFE2014のHP】 http://www.mfe.mo/mfe2014/index.html
年間3,000万人に迫る入込客を迎え入れるマカオ
マカオは1999年にポルトガルから返還された中国の特別行政区であり、面積は東京都杉並区とほぼ同じで、最新の人口は約62万人(2014年)。ここ数年、前年比15%近い伸び率を示しており、各所で住宅開発が続いている。
ご存知のように、現在のマカオを支える基幹産業は世界一の「カジノ」である。年間にマカオを訪れる入込客は2,930万人であるが(2013年)、その大半はカジノ目当ての客であり、中国本土からは連日富裕層の団体客が大挙して押しかけている。
マカオの1人当たりのGDPは51,700USドルで(2013年)、約40,000USドルのわが国の上を行く。これは取りも直さずカジノからもたらされるものであり、年間3,000万人に迫る全世界からの来訪客の飲食・購買行動を担うのは、マカオのホテル・飲食・小売業者ということになる。
中国本土・東南アジアへのゲートウエイを目指すマカオ
ならば、マカオの街中ではさぞ全世界的に有名な飲食・小売チェーンが目につきそうであるが、現実はそうでもない。もちろん、マクドナルドやセブン-イレブンなどの有名チェーンは要所で見かけるが、香港には出店しているチェーンでも、マカオに出店しているチェーンは少ない。香港と比べれば人口規模が10分の1以下になることもあるが、それでも60万人の居住人口および3,000万人の年間入込客を考えれば、今後の出店可能性は高いといえるだろう。
マカオ政府(貿易投資促進局)としては、これらのポテンシャルに対応するため、日本をはじめとする東南アジアおよび全世界的に有名なチェーンの出店を積極的に誘致したい考えである。また、マカオを中国本土および東南アジアへ進出する上での足がかり="ゲートウエイ"として位置づけるべく、マカオに出店を考える事業者に対して、ワンストップサービスで経営支援を行う体制を敷いている。
【マカオ貿易投資促進局のHP】 http://www.ipim.gov.mo/index.php
MFE2014の出展社は商品・食材の供給を中心とした軽い業態が中心
本年のMFEも第3回目からと同様、マカオ随一のホテルであるザ・ベネチアンリゾートのコンベンションホールで開催された。4年前と比較してみたのが下表である。
昨年は160社の出展があったが、今年はHPに掲載された出展者数からすると昨年より少なくなっている。筆者らの訪問団のメンバーの印象でも、今年は一昨年・昨年と比べて会場の広さが若干縮小されていることを指摘する声が上がっていた。
出展社を業種別にみると、設備事業者・不動産業者・コンサルティングサービス・業界関連団体などその他に分類される出展者数が増えており、その他を除く飲食業・小売業・サービス業3分野の割合では、小売業が半数以上を占める。4年前と比較しても小売業の構成比が大きく増えていることがわかる。MFEで小売業の割合が高くなっているのは、代理店に近い出展社が含まれているからであり、4年前からさらにこの傾向が強まっていると推察される。全体的にみて、わが国のようにビジネスモデルそのものを売り物にする出展社は少なく、商品・食材の供給を中心とした運営自体も軽い業態が中心になっている。
■第2回MFEと第6回MFEの比較
項目 | 第2回MFE(2010年) | 第6回MFE(2014年) |
---|---|---|
(1)会期 | 7月8日(木)・9日(金)・10日(土)の3日間 11:00~20:00(最終日は18:00まで) | 7月4日(金)・5日(土)・6日(日)の3日間 11:00~20:00(最終日は18:00まで) |
(2)会場 | マカオタワー コンベンションセンター | ザ・ベネチアン マカオ |
(3)出展規模 | 123社 飲食業 :37社(39.8%) 小売業 :31社(33.3%) サービス業 :25社(26.9%) その他 :30社 | 134社 飲食業 :21社(24.1%) 小売業 :51社(58.6%) サービス業 :15社(17.2%) その他 :47社 |
(4)来場者数 | 7,412人 | 17,000人 |
MFEは東南アジア進出にあたっての実地調査の場
今回は日本からは9社が出展した。そのうち、幼児教育を展開する「コペル」と襖の張替ビジネスの「金沢屋」については、筆者らのフランチャイズ研究会が情報提供を行った。また、日本のフランチャイズショーの主催者である日本経済新聞社も出展されていた。
日本からの出展社の話では、3日間ではすぐに契約に結び付くような商談はなかったが、マカオをはじめ東南アジア地域からの来場者に直接市場調査を行うことができ有意義であった、とのことであった。特に上記の両社のブースには多くの人だかりができ、来場者は熱心に質問を投げかけていた。
日本での出展と異なり、海外の展示会で有力パートナーを見つけるのは容易なことではないが、海外展開を成功させるには、継続して進出対象地域の人脈づくりを行っていくことが肝要であろう。MFEは展示会としての機能だけでなく、その前後に行われる海外の要人とのレセプション・名刺交換会等の場が公式に準備されていることが特徴である。フランチャイズ研究会としても、マカオをはじめ東南アジアへ進出を計画している本部・事業者に対して、今後も継続的に情報発信を行っていきたい。
(中小企業診断士 西野公晴)
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- 執筆者:フランチャイズ研究会
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