連載コラム

第71回 焼肉チェーン

[ 2014年9月24日 ]

 BSEや食中毒、放射性セシウム問題などの発生により2000年代中頃から厳しい市場環境に置かれてきた焼肉チェーンであったが、数年前から始まった円安・株高に伴う景気回復の影響を受け、近年市場は回復傾向にある。今回、焼肉フランチャイズチェーン店の現状に注目した。

焼肉市場の動向

 日本フードサービス協会の調べによると、2013年度の焼肉店の売上高は前年比112.5%と、2012年に引き続き2年連続で前年度を上回る結果となった。2011年には、国産牛肉から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された問題や、牛肉の生食による食中毒事故が発生するなど、焼肉店のイメージを低下させる出来事が相次ぎ、焼肉店業界では市場が急速に冷え込んだ。しかし、最近ではこれらの影響が一巡し、アベノミクスによる景気回復期待などもあり、焼肉店業界には追い風が吹き始めている。直近2014年7月の焼肉店全体の売上高は、前年同月比106.3%増となっており、2012年3月以来、29ヶ月連続で前年売上高を上回り続けている。
 一方、店舗数は売上回復に遅れて2013年9月から前年同月比増加に転じている。注文して席まで料理を運ぶテーブルオーダーバイキング等の多様なサービスが生まれており、今後の競争環境は激化していくものと予想される。

【焼肉店の売上高・店舗数の前年同月比推移】

焼肉店の売上高・店舗数の前年同月比推移

(出典:日本フードサービス協会 統計資料)

焼肉フランチャイズ業界

 前述のように、近年の焼肉店市場は回復傾向にあるものの、2012年度の実績はピークであった2008年と比較すると85%程度にとどまっている。
 1997年からレインズインターナショナルが「牛角」のフランチャイズ展開を開始し、5年も経たないうちに500店舗に到達するなど、焼肉店ブームを生み出した。それにともない、2000年代前半には焼肉フランチャイズ店の売上高、店舗数が大きく伸長した。
 しかしながら、2000年代の初頭に発生したBSE問題の広がりや、2006年から開始された飲酒運転取締強化など、2000年代中盤には焼肉店の周辺に様々な困難が相次いで発生し、市場の伸びが鈍化した。そして、2008年にはリーマンショックが世界経済を襲い、元々景気の影響を受けやすい焼肉店市場は大打撃を受け、各社の業績低迷につながった。
 そのような厳しい市場環境の中、フランチャイズチェーン各社は、新しいサービスの開発に乗り出している。その最たる例が、お客様が注文した料理を店舗スタッフが席まで運ぶテーブルオーダーバイキングである。従来の焼肉食べ放題といえば、テーブルに並べられた各種の料理を、セルフサービスで各自の皿に取りわけて食べるバイキング形式であったが、現在はテーブルオーダーバイキングが主流となっている。

【焼肉フランチャイズ店舗数と売上高推移】

焼肉フランチャイズ店舗数と売上高推移

(出典:日本フランチャイズチェーン協会 統計資料)

最近の各チェーンの動向

 近年の景気回復の恩恵を受け、焼肉フランチャイズチェーン各社は出店攻勢に乗り出している。コロワイドは今後5年間で「牛角」を約100店出店する計画である。「焼肉きんぐ」「焼肉一番かるび」などを運営する物語コーポレーションも2014年度は25店と、2013年度よりも4店舗出店を増やす。安楽亭も10店を出店し、10年ぶりに店舗数を純増させる計画となっている。
 また、新たな動きも見られる。焼肉店「牛角」を運営するコロワイドは、食べ放題を中心とした郊外型の新業態「牛角ビュッフェ」を2014年4月に出店した。3つの価格帯のコースをそろえ、家族連れが利用しやすいように6人席を中心とし、席数も既存店の2倍に設定されている。従来の「牛角」では取り込めていない顧客層を開拓する狙いである。中部地方を中心に展開するあみやき亭も、ファミリー層向けの郊外型店舗に加え、今後都心部で若者向け小型店を本格展開する計画である。市場開拓余地のある関東への重点配置で事業を拡大していく狙いがある。今後の動向が注目される。

最近の各チェーンの動向

(各社HP等から筆者加工)

(中小企業診断士 髙木 悠)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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