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連載コラム

第72回 フランチャイズ加盟による法人企業の事業多角化

[ 2014年10月28日 ]

 企業はある程度の規模になると、成長戦略として本業とは別の事業に進出することを考える。これを事業の多角化というが、その際にフランチャイズ加盟による多角化というのも選択肢として考えられる。フランチャイズ加盟による多角化にどんなメリットがあるか?成功のためのポイントは何か?その先にどのような展開があるか?を解説する。

フランチャイズで多角化をするメリット

 そもそも企業が多角化をするのは、既存事業での成長が期待できないので新事業に進出するといった理由や、人材や資金などの余剰資源を効果的に関連事業に投入するといった理由などからである。前者は無関連多角化、後者は関連多角化といわれるが、そのような多角化戦略において、フランチャイズ・システムを採用するメリットは、独自で新規事業を開発するよりも成功確率が高い、と考えられることである。
①過去の実績、データを基にした精度の高い事業計画を立てることができる
 一般的に未経験者が新規ビジネスに参入する際に作成する事業計画は、精度が低くなりがちである。フランチャイズビジネスでは本部から過去の実績を基にした計画が出てくる。それを鵜呑みにすることはできないが、比較的精度の高い事業計画となっている。
②人材を短期間で戦力化できる仕組みが整っている
 マニュアルや開店前の研修、開店後のスーパーバイザーによる指導体制が確立されており、店長やスタッフに対する教育を効率的に行うことができる。
③複数店舗の出店をスピーディーに展開できる
 自社のオリジナルブランドの店舗を出店する場合は、事業運営と並行してデータの収集やマニュアル・教育体制の確立を行わなければならない。フランチャイズビジネスではすでに準備されているため、複数店舗の出店を迅速に展開できる。

 無関連多角化としては、靴小売業を営む企業が全く別業種の飲食フランチャイズに加盟して複数加盟ジーとなった例などが挙げられる。また関連多角化としては、ファッションウィッグを販売している企業が、美容室のフランチャイズに加盟し、さらには女性向けフィットネスクラブのフランチャイズに加盟して店舗数を拡大している、といった例などが挙げられる。

フランチャイズによる多角化を成功するためのポイント

 フランチャイズによる多角化はメリットも多いが、成功するためのポイントがある。主なポイントは以下の通りである。
①目的を明確にする
 フランチャイズを活用するとはいえ、事業が絶対に成功する、ということはない。「今の事業との何らかの相乗効果で更に成長できないか?」「既存事業が持つ弱みを補うことができないか?」など、将来の事業プランを考えながら「この事業が失敗したら会社の将来はない」という覚悟を持って取組むことが必要となる。
②社内に人材がいるか
 やりたいという意欲を持って取組む人材がいるか、能力を最大限活かせる業態か、など適任者がいるかどうか見極めることが重要である。また、余剰人員を回すのではなく優秀な社員を店長に配置することが必要である。トップがこの事業に本気であることを示すことで、成功の確率が高くなるからである。
③既存事業の弱みを補う
 季節要因や外部環境などで業績に影響を受けるものがあるが、異なるリスク要因を持つフランチャイズ事業を選択することでリスク分散を図ることができる。例えば、夏の売上が極端に高いが冬の売上が課題となるアイスクリーム事業を展開している企業が、比較的年間を通して安定して売れるシュークリームのフランチャイズに加盟することなどである。

多角化後の展開

 フランチャイズによる多角化を始め、複数店舗の運営が軌道にのってくると、その先の展開として「同じチェーンで多店舗化を進める」「複数チェーンに加盟する」「自社ブランドの展開」などが考えられる。同じチェーンで多店舗化を進めるほうが効率的な経営につながるが、希望するエリアでの新規出店の余地が小さくなり、自社競合のリスクが生じる場合もある。この場合、更なる成長を図るためには新しいチェーンへの加盟が必要になり、徐々に加盟するチェーンが増えていく、ということになる。

複数店経営法人加盟店の加盟チェーン数
(出典)(社)東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会
「法人・複数加盟者に関する調査報告書」

 また、フランチャイズビジネスで成功した企業が考えるのが、自社ブランド店舗による展開である。自由な経営が可能で、加盟金やロイヤリティを払う必要がないため取組む企業もある。この場合は、加盟店として成功することと新たに業態を開発することは、異なるノウハウや能力が必要となることに留意すべきである。
 このように様々な展開が考えられるが、将来の展開を見据えたうえでフランチャイズによる多角化を検討すべきである。

(中小企業診断士 若林和哉)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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