連載コラム

第74回 創業時資金調達のコツ

[ 2014年12月29日 ]

 いわゆる「脱サラ」で勤めた会社を退職して起業する人たちの全てが、それまでの職務経験が活かされる職種業種で独立するわけではない。そのような場合、知名度のあるブランドが使用できたり運営に関するノウハウが享受できたりする、フランチャイズという選択は、一定のメリットがあると考えられる。
 しかしながら、自分に合ったフランチャイズ本部を見つけるのも大変ではあるが、その前に創業資金の調達に苦労するケースも多い。本稿では、初期起業準備者が直面する課題として3番目に挙がっている資金調達について、フランチャイズ加盟によるメリット・デメリットを考察しながら、その傾向とポイントについて概観してみたい。

初期起業準備者が直面している課題
(出展)中小企業白書2014

アベノミクスと創業融資

 自己資金だけでは開業資金が賄えない場合、金融機関からの資金調達が必要となる。アベノミクス"第三の矢"「民間投資を喚起する成長戦略」に掲げる目標の一つに開業率を欧米並みの10%に引き上げるという方針がある。それに伴い、政府系金融機関である日本政策金融公庫の新創業融資制度も2014年2月より自己資金要件をはじめとした各項目が緩和されている。資金調達面での創業にあたっての環境整備はされてきていると言えるだろう。

新創業融資制度
(出典)日本政策金融公庫HP

自己資金がなくても資金調達ができるか

 とはいえ、基準が甘くなるわけではない。自己資金がゼロや事業規模に比較し極端に少ない場合は通常融資は受けられない、もしくは非常に難しい。本気度や計画性が評価できないからである。ここでいう自己資金とは、開業する事業に投入する資金のうち自分の努力で貯めた資金のことである。いわゆる"見せ金"は含まれない。あくまでも計画的に、開業に向けた準備と努力をしてきたバロメーターとなるのが自己資金要件である。

紹介ルートを探す

 さて、金融機関へのアプローチ方法はどのようにお考えだろうか。とりあえず、最寄りの支店へ電話や訪問してみる、創業センターへ相談してみる、など手段はいくつもあれども、おすすめするのは紹介のツテを探すことである。フランチャイズ本部によっては日本政策金融公庫をはじめとした金融機関への紹介ルートを持っていることがある。あらかじめ確認しておき、フランチャイズ本部選定の要件に加えても良いだろう。金融機関で融資を受けるにあたって、特に創業融資であればビジネスモデルの説明に骨が折れることが多いが、あらかじめ金融機関がそのビジネスモデルを理解していれば話が早い。また、既存店実績を参考情報として事業計画や資金計画を組み立てることができれば説得力も増すだろう。

独立とフランチャイズ

 ところで、創業融資では開業する事業の経験の有無が重視される。経験があれば失敗するリスクが少ないだろうと判断をされるためである。これまで経験してきた事業での成功経験があり、それを踏まえての独立であれば相応の評価は得られるだろう。では経験がなければどうにもならないのかといえばそうでもない。フランチャイズ加盟という手段もある。適性は当然必要であるし、事業の経験を補完しうる評価を得ることは困難だが、通常フランチャイズは未経験者の開業手段として採用されるものであり、特にいくつもの加盟者を成功に導いてきたフランチャイズ本部のビジネスモデルと加盟者支援能力、既存店実績をアピールすることは有効である。特に、経験者が実績のあるフランチャイズで開業する場合は早期成功への道筋として説得力が増すといえるだろう。下図に金融機関へのアピールポイントとなるフランチャイズ加盟により期待される効果を示す。加盟金やロイヤルティ等の対価としてこの期待効果を得られるフランチャイズ本部の選定ができるか、が創業資金調達には特に重要である。

フランチャイズ加盟により期待される効果

事業計画は自分で作る

 金融機関へ提出する資料のうち、最も重要なのが事業計画及び資金計画である。事業計画には資金計画が含まれていることもあるが、事業計画は事業収支(およびその根拠となるビジネスモデルを含めた各種資料)を示したもので、資金計画は資金収支を示したものである。この事業計画や資金計画は、できるだけ自分自身で作成することをおすすめする。フランチャイズ本部やコンサルタントに依頼することもあるだろうが、そういった場合でも自分なりの表現で編集したほうが良い。他人が作った見栄えの立派な金融機関向け資料を自分の言葉で説明することはなかなか難しい。美しい複雑な資料を持って意気揚々と金融機関の担当者との面談に臨んだものの、説明や質問への回答がスムーズにできなければ意味がない。

面談に同席が許されることも

 創業融資での最も高いハードルは金融機関の担当者との面談であろう。ケースバイケースではあるが、面談にフランチャイズ本部や顧問税理士等が同席することを許されることもあるので、苦手意識がある方は事前に相談の上で活用すると良いだろう。ただし頼りすぎは禁物である。頼りない印象を与えかねない。

 最後になるが入念に準備をしても計画通りにいかないこともあるのが開業である。半年~1年間程度の生活資金は確保しておくことも忘れないでほしい。

(中小企業診断士 後藤 聡)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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