連載コラム

第75回 フランチャイズ加盟のステップ

[ 2015年1月30日 ]

はじめに

 個人が起業したり、既存事業者でも新たな事業を始めたりするには優れた経営ノウハウが必要であり、これを一から準備するのは容易ではないし、多大なリスクが伴う。その中で、コンビニエンスストアや学習塾、飲食店、介護事業等のFCチェーンに加盟することは最初からFC本部の経営ノウハウや経営資源、ブランド力等を活用することができるので、新事業のリスク軽減と成功確率の向上を図ることが期待できる。
 そのため、FCビジネスは新たにビジネスを行う者にとっては魅力あるビジネスに映るが、残念ながらFCビジネスに対する理解や自身の認識、適性が不十分であったために失敗し、「こんなはずじゃなかった」と後悔する事業者も後を絶たない。ここでは、FC加盟に際して重要なポイントや留意点について解説するので、FC加盟を検討する時に失敗することのないようにして頂ければ幸いである。

FC加盟のステップ

 FC加盟を検討するにあたって重要なこととしては、FCビジネス及び自己について十分に理解した上で、FC業界や本部の情報を広く深く収集し、自分に合ったFCチェーンに加盟することである。その流れは大きく分けて①FCの理解と自己分析、②情報収集と業種・業態の選択、③本部情報収集と絞込み、④本部の評価・選択、⑤最終決断と加盟契約締結、という5段階に分けることができる。以下、段階別に概要を述べることにする。

①FCの理解と自己分析

 まず重要なのはFCビジネスの理解である。FCとは、本部(フランチャイザー)が加盟者(フランチャイジー)との間に契約を結び、本部が加盟者に商標、経営ノウハウ、経営指導・支援等のFCパッケージを提供し、同一のイメージの下で商品の販売その他の事業を行う権利を与える見返りに、加盟者が加盟金、保証金、ロイヤルティ等を対価として支払う継続的な関係をいう。

FCの契約関係

重要なのは、本部と加盟者は互いに独立した事業体であり、契約に基づく共同事業を行うパートナー、理念共同体であるということである。加盟者は本部に雇用された労働者ではなく、全ては自己責任の独立した事業主であるから、本部へ依存するのではなく、自ら経営責任を追ってビジネスを行うということに注意が必要である。
 そのため、ただ儲かりそうだとか、よさそうだからという理由だけで本部を選んではいけない。自分自身が今後どのようなビジネスを行いたいのかという目標や、持っている強みや活かせそうな経営資源など、自己分析を行う必要がある。自己を棚卸した結果、目標や理念を共有でき、自らの能力も活かせ、末永く一緒に歩める本部を選択することが重要である。FCの理解と自己分析は非常に重要であり、入口を間違えたらFCビジネスで継続して成功していくことは難しいので、時間をかけてでも徹底的に行わなければならない。

②情報収集と業種・業態の選択

 次に、FCに関する情報収集を行うが、まずは色々な業種・業態の動向や、業界の特徴、業界内での企業について情報を幅広く収集する。新聞・雑誌やFCに関するセミナー、業界HPを通じて、FC加盟のための基礎材料や判断基準を蓄積するとよい。

③本部情報収集と絞込み

 続いて、各FC本部のHPや事業説明会、セミナー等に参加して、今度は深く情報を収集する。そして、関心を持った本部及び既存加盟店には実際に訪問して実態を確認する。ここで重要なのは、複数の本部を比較して見ることと、各本部が不振店や訴訟等の自らに不利な情報をどのくらい開示しているかということである。よいことばかり話す、あるいは、都合の悪い話をしない本部は要注意である。本部の紹介した店舗以外の加盟店も見た方がよい。

④本部評価

 具体的にFC本部を評価するにあたっては、本部の経営姿勢、情報公開度(特に不利な情報)、複数店舗の展開可能性、加盟店の支援度、店舗の収益性、加盟店の満足度という6つの評価基準で客観的に、複数の本部を評価する。そして、自らの適性や能力の他に価値観、相性といった主観的な要素も含めて総合的に評価・選択を行う。

本部評価のポイント

⑤最終決断と加盟契約締結

 最終的に加盟する本部を決定することになるが、ここで急いで契約させようとする本部は注意が必要である。法定開示書面を基に、適切な情報が十分に開示されているか確認しなければならないし、店舗の出店候補地についても立地や条件(曜日・天候等)別に徹底して調査することを忘れてはならない。
また、本部責任者と面談した時に、理念や姿勢についても共感できるかといった要素も重要である。本部からの資料だけでなく、独立した事業体として、自らも事業計画を作成し、本当にこの本部とならやっていけるという確信を持って初めて加盟契約を締結しなければならない。

おわりに

 以上、大きく5つの段階に分けてFC加盟のステップや留意点について解説してきたが、重要なのは、繰り返しになるが加盟者は独立した事業体であり、全ては自己責任で契約と事業活動を行うということである。FC本部のいい話や、「今どの業種が儲かるのか?」といった、トレンドとなっている業種にばかり目が行っているようではいけない。自らの責任で、明確な判断基準を持って選択する必要がある。
 そのためには、やはりFCビジネス及び自分自身について十分に理解した上で、FC業界や本部の情報を広く深く収集し、自分の強みや価値観、方向性とも合致するFC本部を選ぶということが重要なのである。FCビジネスは適切な本部選択と努力次第で、多店舗展開や複数事業のFC加盟、ゆくゆくは自らの事業立ち上げなどいくらでも可能性が広がるビジネスモデルである。本記事が、FC加盟検討時にお役に立てることを願ってやまない。

(中小企業新診断士 木村壮太郎)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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