連載コラム

第78回 「放課後等デイサービスFC」

[ 2015年4月28日 ]

 2015年の介護保険制度改正により、要支援者の介護報酬額が大幅に削減された。このところ、軽度の介護を必要とする方に向けた短時間型デイサービスのFCが増えていたので、それらのFCにとっては逆風になったことは間違いない。
 一方で、「放課後等デイサービス」という似た名称のサービスを展開するFC本部が今年のフランチャイズショーに複数出展していた。昨年まではなじみのなかった業態であるので、その内容と市場規模について解説したい。

○放課後等デイサービスとは

 放課後等デイサービスについては、平成24年の児童福祉法の一部改正により、障害児の学齢期における支援を強化するために新たに創設されたものである。学校の授業終了後又は夏休み等の長期休暇中に、預かり(レスパイト)、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供している。学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所作りを提供する施設である。
 事業者に対する報酬は児童福祉法に基づいたものであり、施設の認可を受けるためには人員基準および設備基準をクリアしなくてはならない。特に、施設に「児童発達支援管理責任者」の配置が義務付けられるので、保育士などの専門資格プラス障害児入所施設等での実務経験の両方を満たす従業員が必要になる点は留意しなくてはならない。

○市場規模

 視覚障害や知的障害を持つ子供は、特別支援学校、通常の学校の特別支援学級、通常の学級内での特別指導によって教育がなされている。表1にあるように、その数は316,556人(2013年5月時点)である。ちなみに、小学校と中学校の生徒数の合計は10,213,102人(同時点)であり、障害を持つ子供の割合は約3.1%である。
 それに対して、受け皿となっている児童発達支援事業については利用者数ベースで65,980人、放課後等デイサービスは73,985人で合計139,965人しか受入実績がない(2014年3月時点)。学校がないときの預かりや教育は自宅で行っているという家庭もあるだろうが、女性の社会進出などを考えると、受け皿となる施設は必要であり、市場としては潜在需要がまだまだありそうな分野である。FC展開できる分野としては数少ない有望な市場ということがいえるだろう。

(表1:特別支援教育の対象生徒数と受け皿になっている施設の利用者数)
表1:特別支援教育の対象生徒数と受け皿になっている施設の利用者数

○収支モデル

 フランチャイズショーに出展していた2社の資料を見ると、放課後等デイサービスの初期投資費用は1,500万円程度である。これには、加盟金、物件取得費、内外装工事、備品類に加えて、開業2か月前からの運転資金が含まれている。ただ、実際の開業にあたっては、開業の前々月末日までに行政に施設内部の写真を付けて申請しなくてはならない。施設物件の契約は3か月前に行って内装工事に入る必要があり、家賃発生費用はもう少し余裕をもって見積る方が良いだろう。
 収支モデルは2社のうち、慎重な情報開示をしていた方を紹介したい。開業10か月目の1日平均利用数を10名として、月間売上192万円と算出していた。経費は165万円(うち人件費約95万円、家賃12万円、リース車両費15万円)で、売上から差し引いて約27万円が残る計算だ。なお、明細はないが、2年目以降は収支の差引が月当り100万円超と記載があり、売上が更に伸びるものと推測される。
 なお、このような収支計算は前提条件を変更することで数値が大きく変わるので、FC加盟を検討する際には、売上の内訳、費用の明細を納得がいくまで確認してほしい。

○放課後等デイサービス出店時に参照すべき計画

 実際に施設を出せるかどうかについては、行政当局からの認可が必要になる。(施設新設の申請窓口は都道府県または政令指定都市)。どの地域に施設が足りないのかについては、インターネットから調べることができる。各自治体は「保健福祉計画」(名称は自治体によって異なる)を立てているので、この先の需要について数値計画を立てているからだ。
 例えば、筆者が居住する東京都杉並区の場合は、「保健福祉計画」という名称であり、表2にあるように、資料編で今後3年間の需要予測を参照することが出来る。需要が増えるということであれば、受け皿となる施設を新たに認可することが予測される。
 実際には、どの地域に出店するかをFC本部に相談して決めることになるだろうが、自治体ごとに今後の需要が数値化されている点は他のビジネスとは決定的に異なり、出店のリスクを抑えることができると言って良いだろう。

(表2:保健福祉計画の例)
表2:保健福祉計画の例

 このように、放課後等デイサービスについては、当面のところは需要が旺盛であり有望な市場といえる。ただし、障害児の数はそれほど多いものではなくニッチな市場であり、公的な補助によって成り立っている事業でもある。自治体の判断で出店に規制がかかる可能性や、施設に支払われる報酬の水準が制度改正によって下げられるリスクを抱えている点については指摘しておきたい。

(中小企業診断士 山下 哲博)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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