連載コラム

第80回 バル業態FCの最新トレンド

[ 2015年6月29日 ]

 近年、ワインの需要拡大とともにバル業態が人気だ。その理由は主力のワインやタパス(小皿料理)の価格が安く、気軽に楽しめるところである。大手チェーンの和風居酒屋が低迷しているなか、各社続々とバル業態を展開しているが、バル業態は「個人店っぽさ」が大きな魅力となるため、中小企業や独立希望者にとっては大手と競合しないマーケットを狙える。ただ、一言で「バル」といっても、そのビジネスモデルは多種多様で判断しにくい業態でもある。そこで今回はバル業態のトレンドと見極めポイントを解説する。

何でも「バル」状態。すでに業態の成熟化が進んでいる。

 そもそも、バル(バール:Bar)とは食堂とバーが一緒になったような飲食店を指し、スペインやイタリアなどの南ヨーロッパにおいては酒場、居酒屋、軽食喫茶店をこう呼ぶ。
 バル誕生当初は、「ワインを気軽に安く飲める洋風居酒屋」の総称であったが、現在では細分化が進んでおり、肉ブームから「肉バル」や、「串カツバル」、「唐揚げバル」など、まさに"なんでもバル"状態であり、もはや「グラスワインが安い」だけでは生き残れない状況となっている。
 一般的なモデルは、15~25坪、売上300~600万円、客単価2,500~3,500円程度。メニュー構成は、主力のワインはグラス500円前後とし、2,000円前後のボトルワインを豊富に取り揃えているのがポイント。フードメニューは、タパス(小皿料理)を300~500円で提供することによって気軽さをだし、中心価格帯は600~800円、目玉メニューは1,000円代で提供するパターンが多い。
 以下より、実際の事例に基づき繁盛ポイントをみてみよう。

事例①窯焼きピザを500円均一で提供する「イタリアン&ワイン CONA(コナ)」

 窯焼きの本格ピザ500円(30種類)を目玉に、フルボトルワイン(70種)を1,900円で提供する、という分かりやすいコンセプトで人気のチェーン。オープンカウンターで窯を設置することによって、500円という価格でも本格的なイメージを演出している。ピザは、いわゆる"粉もん"で原価が安いため500円で提供しても原価率は33%程度(同社HPより)と、原価が低いイタリアン業態としては若干高いが、居酒屋業態と同程度の数値で収まっている。料理の高度化が進みフードで差別化を図るのは困難ななか、ワンコインピザというのは非常にシンプルで有効なウリである。

事例② ボランタリーチェーンでオーナーの自由度が高い「ワインバー テラ」

 日替わりグラスワインを380円~、フルボトルワインを1,800円~提供するカジュアルなワインバル。FCではなく、共同で仕入れを行うボランタリーチェーンであるため、メニューや運営方針についての自由度は高く"自分の店を持ってみたい"個人の独立開業に適したパッケージである。
 そして、前項の「CONA」もそうだが、撤退した飲食店を利用して開業する「居抜き店舗」を活用するため、モデル開業投資金額は1,200万円と低いことも加盟者にとって人気の理由だ。ただし、潰れた店を利用するため、空間デザインや、レイアウト等を、"あるべき"状態にすることは難しい。居抜き物件は「安物買いの銭失い」にならないよう、十分な検討が必要だ。

事例③ 板前の料理を提供する"板前付きパッケージ"の「板前バル」

 料理技術をもつ板前による料理が客単価3,500円程度で手軽に楽しめる「板前バル」。同店はFCのセオリーとは真逆のオートメーションやマニュアル化されていない人間力=板前が主力の業態である。よって、同社所属の板前を一定期間派遣してもらえる「板前付きパッケージ」となっているため、加盟者が雇った料理人をこの板前の元で修業させることも可能だ。高度なオペレーションを必要とするため、新業態を他社から買って自ら営業していく能力のある「飲食のプロ」向けのパッケージである。

 以上、バル業態は様々であるが、参考のため上記事例ブランドの概要をまとめた。

各ブランドの概要

 洋風バルは都心部では急激に増加しているものの、郊外では和風居酒屋と比べると圧倒的に数は少ない。また、和食と比較すると調理技術も比較的簡単で原価も低い。成熟しきった和風居酒屋より、マーケットが残された希少な業態といえるだろう。

(中小企業診断士 安藤素)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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