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連載コラム

第82回 「商標・ブランドの基本と加盟者でもできる商標チェック」

[ 2015年8月27日 ]

 2020年東京オリンピックの公式エンブレムがベルギーの劇場のロゴに類似しているとして問題になっている。世間の注目は専ら著作権侵害があるか?という点に集まっているが、商標権の側面からこの問題を見てみると、いくつかの教訓を得ることができる。問題がここまで大きくなった原因のひとつに、ベルギーの劇場がロゴマークを商標登録していなかった、という事実があるからだ。

商標・ブランドの価値

 ビジネスを展開するうえで商標は欠かせないものだ。フランチャイズパッケージには、ほとんどの場合FC本部の持つ商標の使用権が含まれている。商標がビジネスにどう役立つのかは、マーケティングで考えるとわかりやすい。マーケティングの視点では商標はブランドを構成する要素の一つとなる。

 消費者の立場から見ると、ブランドは以下のような機能を持っている。

1)識別する機能ひと目でそのブランドの製品・サービスだということがわかる。
2)品質を保証する機能そのブランドの製品・サービスの品質を信頼することができる。
3)価値観を表現する機能たとえば、環境にやさしいイメージのブランドを選ぶことで、自分も同じ価値観を持っていることを表現できる。

 優れたブランドは消費者を惹きつけ、信頼を与え、忠誠心を高める。これにより企業は消費者との関係を強化し、ビジネスを優位に運ぶ事ができるようになる。したがって、ブランドは経営資源としての価値を持つ。それがブランド・エクイティ(ブランド資産)と呼ばれるものである。しかし、ブランド・エクイティは一朝一夕に形成できるものではない。通常、長い時間と多額の投資が必要だ。FCビジネスにおける加盟者の利点のひとつがここにある。すなわち、本部が形成したブランド・エクイティを利用してビジネスを展開できることである。

商標登録の意義

 商標権に話を戻そう。法的には、商標登録をすることで商標権が発生する。それにより、他者に対して類似商標の使用を禁止することができるのはご存知のとおりである。
 また、商標登録をすることで、その商標の存在を広く世間に知らしめることができるというメリットもある。登録を怠ると商標権が発生しないばかりか、世間への周知も極めて限定的となるため、他者が知らずに類似の商標を使用するリスクも増大する。
 商標権をめぐるトラブルは、近年でもたびたび発生している。
 身近なところでは、有名な九州ラーメン店の事例がある。このケースでは、先に事業を展開していた有名店が商標登録を怠っていたところ、後発の競合が先に商標登録をしてしまい、同名のチェーンがそれぞれ店舗展開を行う状態になってしまった。本家のほうは名称の一部変更を余儀なくされ、ブランド・エクイティが大きく傷ついた。
 また、酒類ディスカウント店の看板で、店名に取ってつけたように1文字加えてあるものをご覧になったことがあるだろうか。この例も同様で、大きく店舗展開したあとで商標についての争いに巻き込まれてしまうと、多大な損害を被ることになる。

商標登録情報の確認

 FCに加盟したあとで商標が使えなくなったとしたら、そのダメージは非常に大きい、万が一にもそんなことのない様、加盟する前にFC本部がきちんと商標登録をしているか確認しておくべきである。法定開示書面には商標に関する事項の記載が義務付けられているので、この情報をもとにチェックしてみることをおすすめする。商標登録されている場合は商標登録番号が記載されている。この番号をもとに詳しい情報を知ることができる。もし、商標登録番号が記載されていない場合は、FC本部が商標権を持っていない可能性がある。商標名(呼称)を元に検索することで、類似商標を確認したほうがよい。
 商標の検索には特許庁が提供している特許情報プラットフォーム(通称J-PlatPat)を利用する。(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
 以下に簡単な手順を示す。

①商標登録番号からの検索方法

①商標登録番号からの検索方法

②商標名(呼称)からの検索方法

②商標名(呼称)からの検索方法

※より詳しい方法は同ページのヘルプを参照されたい。
https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/will/HELP/TM0/TM1/index.html

 なお、フリーネーム制を謳うFCチェーンの場合は、オリジナルな商標を使用できるが、そのブランド・エクイティは極めて小さい。また、商標の保護も自己責任で行わなければならないという点で注意が必要である。加盟金やロイヤリティが比較的低いケースが多いが、FCパッケージにブランド・エクイティの使用権が含まれていないと考えれば、当然であろう。
 このように、本部への支払いにはブランド・エクイティの使用対価も含まれる。FC加盟の検討段階では本部の持つブランド・エクイティの大きさを見極め、それに見合った対価が設定されているかどうかも検討すべきである。

(中小企業診断士 三谷誠一)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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