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第88回 日経「サービス業総合調査」から見るサービス業FCのトレンド

[ 2016年2月26日 ]

 2015年11月に日本経済新聞社による「第32回サービス業総合調査」が発表された。この調査は同新聞社がサービス業29業種、997社から回答を得て調査レポートとしてまとめたもので、毎年11月に発表される。この調査内容を元に、サービス業フランチャイズの大きなトレンドについて解説したい。

〇調査結果の概要

 同調査によると、2015年度の回答全社売上高合計が前年度を6.0%上回る見通しで、2014年実績のマイナス0.8%からプラスに転じている。そして、29業種のうち27業種が増収を見込んでいて、赤字予測の業種はわずか2業種しかない。2014年実績では7業種が赤字だったことから、この1年で多くの業種の事業環境が好転したことが分かる。これは、女性の社会進出や高齢化の進行など、共働き世帯や余暇を楽しみたい世代のニーズにサービスを提供した結果だといえよう。

【第32回サービス業総合調査・業種別売上高増減率(2014年度実績、2015年度見込)】
第32回サービス業総合調査・業種別売上高増減率(2014年度実績、2015年度見込)

 今後の事業環境についても、回答したサービス業各社は強気の見通しである。1年後に客数が「増える」「やや増える」とした企業の割合は38.8%、「減る」「やや減る」合わせた18.5%を上回る。

○サービス業市場、追い風となる3つのトレンド

①車は所有せずに利用する~カーシェアリング、レンタカー
 同調査において、2014年に最も売上を伸ばしたのはカーシェアリングである。会員間で自動車を共同利用するカーシェアリングは都市部を中心に貸し出し拠点が増え、売上を大きく伸ばしている。また、レンタカーについても売上が増え、車を「借りて」使うシーンが増加していることがうかがえる。
 一方で、車を所有せずとも、借りて済ませてしまうサービスが充実することで、カー用品店や自動車整備など、一般客を対象としていたビジネスにとっては、一層厳しい事業環境になるだろう。

②一億総活躍社会を支えるサービス~家事支援、在宅福祉、住宅リフォーム
 家事支援サービスが好調である。安部内閣が掲げる国家成長戦略の中核に「一億総活躍社会」があるので、女性の社会進出を支える家事支援サービスは待ったなしの状態である。また、高齢者向け介護の分野でも、高齢者受け入れの為の施設を整備するよりも、必要な介護を自宅で受ける在宅福祉の強化が打ち出されていて、これからも需要が高まっていくことが予想される。そして、高齢者の増加に伴って、住宅リフォームの需要も高まっている。消費者にとって、良質な住宅リフォームを提供する事業者を見極めるのは難しいので、知名度のあるチェーンにリフォームを依頼することで安心できるという心理が働き、フランチャイズチェーンにとって追い風となっている面もあるだろう。

③団塊世代が65歳を超え、余暇を楽しむ世代に~リゾートクラブ、カラオケ、カルチャースクール等
 2015年は、日本経済を長らく牽引されてきた、1947~1949年生まれの団塊の世代が全て65歳以上となった年である。そのため、「65歳定年制度」によって、会社勤めから一線を引かれ、余暇を楽しめるようになった方が増えている。
 60代のシニア層はまだまだ元気でアクティブに動き回る方が多い。余暇産業にとっては、旺盛な消費性向を持つ団塊の世代が需要を底上げしてくれることを期待できるだろう。

○サービス業フランチャイズに対する影響

 このように、サービス業全般が好調な状況であり、サービス業フランチャイズにとっても追い風になっている。ただ、全体としてプラスであっても、企業各社が必ずしもプラスであるとは限らない点については注意が必要である。
 例えば、在宅福祉は全体として好調であるが、介護保険制度が2015年に改訂されたことで個々の事業者には影響が出てきている。宿泊を提供するデイサービスについては、施 設にスプリンクラーの設置が必須になっているし、介護度の低い「要支援1・2」の利用者については、介護保険による通所介護の利用を規制する方向に向かっている。
 理美容や学習塾についても、調査に回答した会社は総じて好調といえるが、業界としてはオーバーストアの状態が続いていて、開業する事業者もいれば、昔ながらの事業者は撤退を余儀なくされている面もある。
 もし、サービス業のフランチャイズについて加盟を検討されている方がいれば、追い風の面と逆風の面との両方について情報収集を丁寧に行うべきである。開業にあたって、慎重に事業計画を検討するべきなのは、いつの時代にも共通であろう。

(中小企業診断士 山下哲博)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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