連載コラム

第90回 中国フランチャイズ事情

[ 2016年5月2日 ]

中国フランチャイズをめぐる現状

 皆様は中国のフランチャイズ・ビジネスをどのように考えているだろうか。
 フランチャイズ・ビジネスの管理を担当する中国商務部の統計(2016年4月18日現在)によれば、中国当局にフランチャイズ登録をしている企業は2,973社である。上記統計は1週間毎に更新されており、同月11日時点比+4社であった(単純計算すると、1年間で200件近い新規登録があることになる)。そのうち、小売業(約1,000社)と飲食業(約900社)を合わせると全体の68パーセントを占める。なお、今後成長の見込みのある分野の1つと考えられている教育関連は132社と全体の4.5パーセントとなっている。
 日本における2014年度フランチャイズチェーン数が1,321社(前年比17チェーン増)であること(出典:日本フランチャイズチェーン協会「2014年度『フランチャイズチェーン統計調査』」)と比べれば、総チェーン数も増加傾向も中国が日本を圧倒していることがわかる。

中国におけるフランチャイズ規制

 中国では、フランチャイズを「商業特許経営」と称し、「商業フランチャイズ管理条例」等の関連法令を制定するなど、その経営を厳しく管理している。その主なものについて以下紹介する。

 ①フランチャイザーになるための条件が法律で定められていること
 主な条件として、「登録申請の時点ですでに直営店を2店舗以上有し、その経営期間が1年を超えること」が求められる。もっとも近年の法改正において、上記資格審査に当たっては海外での店舗経営実績も含まれることになり、すでに日本においてフランチャイズ経営を行っているフランチャイザーであれば、決して高いハードルではないといえる。

 ②フランチャイザーはフランチャイズ契約締結後15日以内に商務主管部門に届出を行うことが義務付けられていること
 届出先商務主管部門は、フランチャイズを展開する地域によって異なる。具体的には、省、自治区、直轄市の各地域内でフランチャイズを行う場合は所在地を管轄する人民政府商務主管部門に、これらの地域を超えてフランチャイズを行う場合には商務部に届出を行うことになる。これに違反した場合、罰則等も規定されているので注意が必要である。また、届出に当たっては、フランチャイズ加盟に当たって要する加盟金等の金額や今後の出店計画等の提出も求められる。契約締結から届出までの期間が短いため、事前に必要書類を用意し、届出先商務主管部門の住所等を確認しておく必要がある(上記フランチャイザーになるための条件を有していることを証する資料の準備には時間がかかることが多く特に注意が必要である)。

 ③フランチャイズ契約書において法定記載事項が複数定められていること
 その中でも特に注意が必要な点は、フランチャイズ契約締結後一定期間内はフランチャイジーが一方的に契約を解除できる旨を約定する必要があることである。筆者が実際に商務部に登録申請を行った際も担当官から真っ先に確認されたのはこの期間の有無であった。

 ④管理当局に対する毎年の報告が義務付けられていること
 フランチャイズ登録が認可された後も、毎年、フランチャイズ契約の状況等を報告することが義務付けられており、注意が必要である。

中国におけるフランチャイズ・ビジネスの可能性

 中国では、富裕層を中心に、価値があると認めたものには惜しみなく対価を支払う傾向が強く、日本以上にブランド志向が強いといえる。たとえば、スターバックスは中国の生活スタイルを一変させたといっても過言ではない。店舗数は日本に比べてはるかに多く、また1杯当たりの価格も日本に比べて割高であるにもかかわらず、店舗には行列が絶えない。スターバックスのカップをもって街を歩くことがもはや一種のステータスとなっている。もちろん、飲食業を中心に淘汰の激しい市場(店舗の入れ替えも多い)ではあるが、一方で新しく、魅力的な価値を提供できれば、中国はまだまだ可能性の高い市場と評価できるものと思う。
 実際、中国・北京にある法律事務所に日本国弁護士として駐在している筆者の個人的感覚からすれば、ここ最近、中国でフランチャイズの展開を検討している日系企業からの問い合わせが増えている印象を持っている。現在も、日系企業から依頼を受け、中国当局に対してフランチャイズ登録の申請手続きを行っているところである。
 日本にいるだけでは得られる情報が限定されてしまう。日本にとどまって中国を眺めるだけでなく、一度は現地に足を運びその様相を実際に見聞する価値は十分にあるのではないだろうか。

(弁護士 五十嵐充)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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