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連載コラム

第92回 フランチャイズ・システムにおける加盟店会・オーナー会の位置づけ

[ 2016年6月28日 ]

1.加盟店会(オーナー会)とは、フランチャイズ・チェーンのフランチャイジーが組織する団体で、フランチャイジー同士の経営情報の交換や親睦を主たる目的とするものである。その形態は様々であり、①フランチャイジーが自主的に組織するもの、②フランチャイザーが主導的に組織するもの、③第三者が組織する団体に加入するものなどがある。労働組合の場合は使用者の参加は認められないが、加盟店会の場合はそのような制約はないため、②の形態もありえる(むしろ、②の形態のほうが多いのが実態である)。③の場合は、複数のチェーンを横断する組織になり合同組合的傾向が強まる。

2.フランチャイザーの中には加盟店会が労働組合化したり圧力団体化することを危惧し、加盟店会の結成を禁じている企業もある。
 しかし、フランチャイズ契約書上でフランチャイザーとフランチャイジーとの共存共栄をうたいながら、加盟店会の結成を禁止するのは望ましい態度ではない(金井高志「本部はフランチャイジーの横のつながりを禁止できる!?」『FRANJA』59号52 頁参照)。
 むしろ、チェーン全体にとってのプラス面に着目すべきである。加盟店会が有効に機能すれば、①ベテランのフランチャイジーが経験の浅いフランチャイジーの模範となり、運営上のアドバイスが得られる、②加盟店会としての販促活動が実現される、③チェーン全体でのノウハウ開発ができる、などの効果が期待できる。また、フランチャイザーの経営陣が加盟店会に出席すれば、①スーパーバイザー等を介さない直接の対話ができる、②直営店では得られないチェーンの問題点を知ることができる(直営店の従業員は苦情やクレームを隠そうとするから)、③フランチャイジー間にたまった不満のガス抜きになる、④新規出店の契機となる、などの効果も期待できる。
 その意味で、フランチャイザーとしては、むしろ、加盟店会の結成と運営に積極的に参加して、そのプラス面をチェーン全体の利益として伸ばすべきである。最近では、フランチャイジーが自由に書き込めるWebサイトを開設し、フランチャイジー間での交流を支援するフランチャイザーも出てきた。
 他方、加盟店会もチェーン・システムの中で存続する以上、チェーン・システム自体を害してはならないという内在的制約を受ける。徒党を組んでチェーンの統制を乱したりフランチャイザーに意図的に損害を与えることは、契約解除や損害賠償の対象となる(大阪地判昭61.10.8判タ646-150、横浜地判平13.5.31判時1777-93)。

3.こうした中、いくつかの地方労働委員会で、フランチャイジーによって組織された団体が労働組合にあたるか否かが争われた(平成26年3月13日岡山県労働委員会命令、平成27年4月16日東京都労働委員会命令)。地方労働委員会は、フランチャイズ契約であっても、フランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を提供していると評価できる場合もあり得ると考え、フランチャイジーによって組織された団体も労働組合にあたると判断している。
 実は、これらの救済命令の前に、業務委託契約上の受託者の団体や独立事業者の団体が労働組合にあたるか否かが問題となった事件について、最高裁はそれらの団体も労働組合にあたると判断している(最三小判平成23年4月12日労判1026.27、最高裁第三小法廷平成24年2月21日判決労判1043.5)。地方労働委員会の救済命令もこれらの最高裁判決を踏襲したものであった。
 しかし、地方労働委員会としては、もっとフランチャイズ・システムの実態を踏まえたうえで判断すべきだったのではないか。特に、小売業におけるパートタイマー比率が70%に達している現状に照らせば、フランチャイジーは会社の管理職と同視できるかそれ以上の地位に立つのであり、そのような管理職以上の地位にある者で組織された団体を労働組合と呼べるかは疑問が残るところである。
 いずれにせよ、同一チェーン内にこうした対立構造を持ちこむことは望ましいものではない。むしろ、フランチャイザーとフランチャイジーとの対話を促進する場として加盟店会やオーナー会を活用することが望まれる。

(弁護士 神田孝)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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