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第98回 アーリーステージ本部へのフランチャイズ加盟に際して

[ 2016年12月26日 ]

 様々なフランチャイズ本部を紹介するコンベンションやWEBサイトを見ていると、よく知られた全国系のブランドを擁する本部がある一方、あまり知られていないブランドで加盟を募っている本部も散見される。今回は、このようなフランチャイズ事業歴の浅い、いわゆる「アーリーステージ」のフランチャイズ本部に加盟する際の留意点を解説する。

●アーリーステージ本部の定義

 どの程度の業歴のフランチャイズ本部をアーリーステージと呼ぶかについては、特に明確な定義があるわけではない。本稿では店舗数では30店舗未満、業歴では5年未満の本部をアーリーステージ本部としておこう。店舗数でいえば、10店舗くらいまでは直営店に加えて従業員への「のれん分け」や知り合いへの「閉じられたフランチャイズ」が中心の展開であり、あまり一般の加盟希望者の目に触れる機会がない。10店舗を超えるくらいから一般の加盟者を募り始めるとして、30店舗になるまではノウハウや指導体制が成熟していないことが多いと考えられ、これら規模の本部がアーリーステージだと言うことができる。

●アーリーステージ本部に加盟する意義

 アーリーステージ本部に加盟するメリットとデメリットについては、ブランドがあまり知られていないからその対価たる加盟金が安い、加盟後のスーパーバイジングの有効性が未検証だからロイヤルティが安いなど、その両者はトレードオフの関係にある。それらの関係を表にしておいたので、本部評価の判断材料としていただきたい。要はフランチャイズ本部に支払う金額が安いのは、それだけ成功確率が高くないということである。評価に際して大切なのは、本部から提供される役務と加盟者が支払う対価のバランスが適正であるかということあり、ただ安いからといって加盟に前向きになるのは剣呑である。

メリットデメリット
加盟金が安い
ロイヤルティが安い
ブランドが知られていない
加盟金等が安いビジネスモデルが確定していない
ノウハウが確立されていない
ロイヤルティが安い
個別に熱心に支援してくれる
指導体制が成熟していない
出店可能エリアが多いチェーンの店舗数が少ない

 むしろ、アーリーステージ本部に加盟する意義は、本部の経営者とともにブランドを育成しビジネスモデルをブラッシュアップして、メジャーチェーンに成長していくことにあるだろう。フランチャイズ本部と加盟者は、資本は別でも価値観や将来的なビジョンを共にする理念共同体である。フランチャイズ本部の経営者の思想に共感し、またビジネスモデルに将来性を感じ、ともに成長していく喜びを分かち合うことこそがアーリーステージ本部へ加盟する意義だと言える。

●アーリーステージ本部に加盟する際の留意点

 アーリーステージ本部であってもフランチャイズ募集をするにあたっては、開業や通常営業に関する運営や管理のノウハウは当然、標準化、システム化、マニュアル化がなされている。そもそもこれらのノウハウがないとフランチャイズ事業自体が成り立たない。従って、アーリーステージ本部においてノウハウが未成熟だと思われるのは、次の2点と考えられる。
 ひとつにはマーケティングに関するノウハウである。特に開業時のマーケティングについては、開業のタイミングは1事業所について1回しかないので、エリア販促やWEB販促の仮説検証が十分にできていないと考えられる。また、リピーター対策や営業不振時のテコ入れの施策など、多くの経験を積み事例を踏まえないとノウハウとして確立することは難しい。
 そしてもうひとつは、売上予測に関するノウハウである。売上予測は、様々な立地や商圏の要素をパラメーターとして、経年の売上データに照らし合わせて統計解析的に導くものである。従ってチェーンの店舗数が少なく業歴が短ければ、それだけサンプル数が少ないわけだから売上予測の精度も落ちる。
 いずれにしろ経営は自己責任であり、加盟者は本部のノウハウを過度に期待せずに、自身の経営努力で課題を乗り切る覚悟が必要であろう。

(中小企業診断士 山岡 雄己)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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