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連載コラム

第101回 フランチャイズにおける事業譲渡の現状と今後

[ 2017年3月28日 ]

 近年,中堅企業に置いては経営資源の選択と集中による事業再編,また中小企業においては事業承継問題がクローズアップされ,その具体的解決方法として事業譲渡などのM&A手法が再認識されてきている。フランチャイズビジネス(以下,「フランチャイズ」を単に「FC」と記す)においても,同様の問題に直面する企業が少なからず存在するものと考えられるが,通常のFC契約においては,フランチャイジー(以下,FC加盟者と呼ぶ)は,フランチャイザー(以下,FC本部という)の承諾を得ることなく第三者にFC事業を譲渡することはできない。本稿では,過去の事例を踏まえながら,FCビジネスにおける事業譲渡の現状と今後について考察する。

■FCビジネスにおける事業譲渡の現状

 FC加盟者によるFC事業の譲渡はFC契約によって原則禁止されているが,FC本部の許可があれば全く不可能というわけではない。FC本部はFC加盟者に対し,FC契約の中途解約による違約金の請求はできるものの,法的手続きの煩雑さや労力を鑑みるに,一定の条件下で事業譲渡を認めチェーンを維持するというのは,ひとつの選択肢として考えられる。
 最近のFC本部か介在した事業譲渡等の事例としては,以下のようなものが挙げられる。

① 同一チェーン内での,加盟者間の企業買収/事業譲渡
➢ CCCの加盟者であるトップカルチャーによる,他の加盟者であるアンフォルマの吸収合併。(2009年)
② 加盟者が,他の新規参入企業へFC事業を譲渡
➢ 食品スーパーヤオコーが加盟者となっていたTSUTAYA事業を,ブックオフコーポレーションに事業譲渡。(2008年)

 これらはいずれもFC本部の働きかけがあり,端的にいえばFC本部が介在するFCチェーンの再編である。これに対し,メガジー(一定エリアにおける複数店FC契約をしているFC加盟者),あるいはエリアザー(一定エリアにおいてFC本部の一部機能を分担するFC加盟者)による事業譲渡の例もあり,これらの全てが必ずしもFC本部の了承のもとに行われているわけではなく,中には係争に発展したものもあった。

■FCビジネスにおいて成立しうる事業譲渡

 現実的に見られるのは,FC本部が仲介する同一チェーン内での加盟者間の事業譲渡である。FC加盟者である中堅企業が,コア事業への経営資源の集中などの理由でFC事業から撤退するとした場合,FC本部としてはチェーンのスケールメリットを活かす意味でも,ロイヤルティ収入を確保するうえでも,チェーン内での事業譲渡を許可することがある。あるいは過去の事例をみると,新規参入の企業への譲渡を許可する場合もありえる。
 また,個人事業主を対象とした小規模なFCビジネスにおいては,FC加盟者が高齢となり事後の継続が困難であるとして,FC本部が新規加入するFC加盟者への事業譲渡を仲介することもある。その他,FC本部が直営店舗を,「盛業店引継ぎシステム」などの名称で,新規加盟者に譲渡するといった仕組みもある。

 ただし最初に断ったように,FCビジネスにおいて事業譲渡は原則禁止であり,上記のような例が多いわけではない。FC契約によって,事業譲渡のキャスティングボードはFC本部に握られているわけであり,FC本部にとってメリットがあると判断しない限り,FC事業譲渡は成り立たない。
 一方,FC本部よりFC加盟者のほうが企業規模が大きい場合は,FC加盟者が強引にことを進めてトラブルになるというようなこともある。そういう意味で,FCビジネスにおける事業譲渡は,現実的にはFC本部とFC加盟者間のメリットデメリット,そしてパワーバランスの上に立脚した課題であると言えるだろう。

■FCビジネスにおける事業譲渡の今後

 環境変化への対応という観点から,企業は生き残りを賭けて状況に応じて柔軟に,事業譲渡を含む企業再編を行わなければならない時代に来ている。また,少子高齢化の進む日本においては,中小企業の事業承継は深刻な問題となりつつある。M&Aが盛んな米国においては,一般の事案と同様にFCビジネスのM&Aが行われているように,日本においても今後FCビジネスの流動性が高まり業界が活性化することを期待したい。

(中小企業診断士 八木原 隆)

最新フランチャイズマーケットトレンド
執筆者:フランチャイズ研究会

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