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連載コラム

第102回 フランチャイズ事業における人材の確保

[ 2017年5月10日 ]

 現在,フランチャイズ(以下,FC)ビジネスの現場では,必要な人員が確保できず計画通りに事業展開ができなかったり,時給の高騰が経営を圧迫したり,採用してもすぐに辞められてしまうといった,人手不足が経営上の大きな課題となっている。原因として我が国の生産年齢人口(15~64歳人口)の減少が挙げられ,この減少傾向は一層深刻になることが予想される。

【1】開業に必要な人員の把握

 FC事業の運営に必要な人員数は,業種や事業所の規模・数,営業日や時間等によって異なるので,加盟業種を選択する前の段階である程度の目安を把握した上で,人員計画を立てておいたほうがよい。例えば,出店地域の商圏人口や店舗の立地等によっても異なるが,一般的には以下のような目安がある。

<主な業種における平均的な必要人員数>
業 績平均的な必要人員数
コンビニエンスストア 15〜20人
居酒屋 10〜20人
学習塾 10〜15人
ラーメン店 5〜10人
アイスクリーム、クレープ、たこ焼き 5〜10人
清掃、宅配弁当 2〜3人

 オーナー自らやその家族が現場のオペレーションにどれだけ加わるかによっても,必要な人員数は異なってくる。自らが現場に入ると必要なスタッフ数は減少するものの,マネジメントに充当する時間が減少することから,オーナーが現場業務に縛られて動けなくなることは避けたい。また,客数や販売数が計画通りでなかった場合による人員の過不足や,一定数のスタッフの退職なども想定されることから,当初は少し余裕を持った人員数の確保が望ましいといえる。

【2】必要な人材を確保するための求人広告

 実際にスタッフ採用の募集を行う時に重要なのは,時給の設定である。出店予定地域や同業他社の時給相場,あるいは応募者が比較検討しているであろう業種の時給の相場を,事前に調査しておく必要がある。募集を行う媒体はインターネット,求人誌,新聞折り込み広告,ポスター,ハローワークなど様々あるが,募集する年代によって効果がある媒体は異なるので注意が必要である。若い世代はインターネット,シニア世代は紙媒体の反応率が高い傾向にあるので,採用したいスタッフ像に合わせた媒体の組み合わせを計画しなければならない。

 また,学生,主婦(主夫),フリーター,シニア,外国人等の属性や,フルタイムに近いシフト,部分的なシフトなど,どのような働き方を求めるのかによって,応募者に響く求人内容や条件が異なってくるので,以下のように採用したい属性に配慮して求人広告の文面を作成する必要がある。

<属性別の求人広告における主なポイント>
属性募集時によく見られる点
学生 ・週1〜2日の少ない日数でも働けるか
・学業との両立が図れるかどうか
主婦(主夫) ・配偶者の扶養範囲で働けるかどうか
・家事、子育て、介護等との両立が図れるかどうか
フリーター ・長期勤務や正社員への登用が可能か
・社会保険への加入ができるかどうか
シニア ・未経験からでも大丈夫なのかどうか
・中高年でも働けるのかどうか
外国人 ・日本語がどのくらいのレベルで求められるのか
・外国人でも積極的に採用し、受け入れてくれるのか

【3】FC本部の採用に関する動き

 スタッフの確保に苦慮しているのは,直営事業を行っているFC本部も同様で,最近では各本部の様々な採用政策が新聞で報じられている。
 例えばモスバーガーを展開するモスフードサービスでは,社員やキャスト(店舗で働くアルバイト・パート)が自分の知人や友人を紹介し,採用へつなげる人材紹介制度を今年度開始し,人材の採用と定着を目指している。すき家を展開するゼンショーホールディングスでは,すき屋の店長を転勤なしの正社員や契約社員に置き換えていくが,大部分はパート・アルバイトからの登用を行うことによって,採用の際のPRポイントやモチベーションの向上に繋げようとしている。
 このように,FC本部が様々な人材確保を支援する制度を設けているので,加盟時や人材募集時にFC本部ともよく相談し,協力を仰ぐのも一考である。

 ここまでFC事業における人材の確保に関するポイントを解説した。しかしながら,採用してもすぐには戦力にならなかったり,早く辞めてしまったりすることが多いのも事実である。そのような中でFC加盟者に求められるのは,スタッフの育成,定着化,戦力化への取り組みであるが,紙面の関係上,本件についての考察は機会を改めたい。
 本コラムの内容が,FC事業における人材戦略に資することを願ってやまない。

(中小企業診断士 木村 壮太郎)

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執筆者:フランチャイズ研究会

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